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皆さん、いかがお過ごしでしょうか。コモリプロジェクト代表の小森です。これを書いている今は凍えるような寒さですが、この記事が出る頃にはもう桜の開花があちこちで聞こえているでしょう。
さて、今回は『発見と想像』と題して、怪獣ガレージキット製作にまつわるお話をしたいと思います。といってもメイキング的なこと、テクニックの解説などではありません。もっとこう精神的寄りと言いますか、僕が何を思って作っているのかという気分の話です。
はっきりと数えたことはないんですが、これまで製作したガレージキットは、おそらく300体を越えているのではないかと思います。それも怪獣ばかり。一度目は1980年代後半から90年代初頭にかけて、ガレージキットの黎明期に刺激を受け、夢中になって作りました。でも、これは手元には残っていません。すべて友人にあげてしまいました。再び製作熱に火が点いたのは1999年、まさに時は世紀末の頃です。CMプロデューサーのS氏が「今度、自分の好きなものを持って集まろう」と言い出しました。それで久し振りにボークスの店舗に行って、棚に一個だけ残っていたタッコングを買ったんです。本棚から怪獣図鑑を引っ張り出して写真を眺めたり、レンタルビデオ店で新マンのビデオを借りてきて本編を観たり。(瞳ってこんな形状なんだ)(体色は茶色一色じゃなくて、少し紫が混じってるみたい)(吸盤の色って内と外が違う)眺めていると次から次に新しい発見が湧いてきます。自分が知っていると思っている情報が、いかにイメージだけなのかということがはっきりしていきました。この頃、ドキュメント番組のディレクターをしながらマンガの原作なども手掛けており、取材をすることの大切さを学んでいる最中だったことも大いに影響したと思います。そうして発見した情報は塗装で反映させます。すると、その最中に頭の中で物語が繰り返し流れます。(タッコングは海から上がってくるから、身体は濡れているよな)(吸盤からブシューッってオイルを噴き出すから、水とはテカり具合が違うかも)いつしかリアルさだけを追い求めるのではなく、想像を表現することに夢中になりました。
あぁ、もう誌面が尽きますね。今回は何が言いたいかというと、キットの製作は自分の思い通りにやればいいということです。どれが正解なんてありません。愉しければそれが正解です。僕が300体作っても全然飽きない理由はまさしくここにあります。これは究極奥義であり、我が座右の銘です。
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コモリプロジェクトHP Youichi Komori Official Web(y-komori.net) 皆さん、こんにちは。コモリプロジェクト代表の小森です。 早、師走です。これを書いているのが12月の頭、[…]
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小森陽一(コモリヨウイチ)
●1967年生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業後、東映に入社。その後、コラムや小説、漫画原作や映画の原作脚本を手がける。大阪芸術大学映像学科客員教授。『海猿』『トッキュー!!』『S-最後の警官-』『BORDER66』『ジャイガンティス』など著作多数。