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エアブラシが引き出す「水性ホビーカラー」の可能性!ストライクドッグで分かる、「水性ホビーカラー」のイイところ

2025.04.21

エアブラシが引き出す「水性ホビーカラーの可能性」/X・ATH-02 ストライクドッグ【マックスファクトリー 1/24】 月刊ホビージャパン2025年5月号(3月25日発売)

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水性ホビーカラー エアブラシ塗装スタート

下地のグレーを隠蔽し過ぎないように

▲まずはライジングフリーダムブルーをエアブラシ塗装。下地に吹いている水性サーフェイサーが透けて、若干グラデーションが効果が生まれるようにしよう。パーツの奥まったところやディテール部分が暗めになっていると雰囲気が出る

ライジングフリーダムブルー塗装完了

▲ライジングフリーダムブルーが塗り終わり、いったん組み立て。まだ塗装が終わってないのにパーツを取り付けちゃうの? と思うかもしれないが、このあとの工程のグラデーション塗装はある程度組んだ状態で塗っていきたいので、ここで組み上げることにした。ほぼ単色メカならではの手順

水性ホビーカラーエアブラシ塗装の
ポイント①

希釈率は1:1をキープしよう

▲水性ホビーカラーのエアブラシ塗装における注意点として、ラッカー塗料ともっとも異なる点は「薄め過ぎない」こと。薄め過ぎると塗料の定着が著しく低下する。塗料1:うすめ液1、もしくは少し濃いめにして高圧力で吹き付けるときれいに仕上がる

紙コップに垂らしてみよう

▲1:1を厳密に測るのがイヤだ(私もです)! という方は、塗料を希釈する時に使う紙コップなどに塗料を垂らそう。滑らかに垂れながらもしっかりと色が発色している状態なら、エアブラシ塗装を行っても問題無し

水性ホビーカラーエアブラシ塗装の
ポイント②

エア圧は高めがポイント

▲水性ホビーカラーは押し出すのに力がいる。低圧で吹き付けるとボソボソになりがち。フミテシは0.1Mpaほどで塗っている。ちょっと高いエア圧でも、指先のコントロールを覚えればさまざまな太さの線を描けるようになる。こればかりはハンドピースを使い込んで、自分の感覚を磨いていくしかない。模型を楽しみまくって、どんどんエアブラシと仲良くなろう!

水性ホビーカラーの乾燥時間を見極めよう

▲水性ホビーカラーは溶解力が弱いので、ラッカー塗料よりも塗料がパーツや下地の塗料に食い付き始める時間がやや長い。完全乾燥、もしくは表面が乾いている状態になってから重ね塗りしないと、最初に塗った塗料が動いて汚い塗面になる。この冬の時期でおよそ10分乾燥させれば、表面を触っても問題ない。複数のパーツを塗装しながら、適宜パーツを乾燥させて効率良く塗っていこう

エアブラシによるグラデーション塗装

全体の色味を見るために
ある程度組んだ状態にする

▲単色メカのグラデーション塗装をするなら、ある程度組んだ状態で塗装すると全体の色味も合わせやすい。関節などに塗料がはみ出した場合関節色を筆塗りして塗り潰す


フリーダムブルーを塗装

▲基本色であるライジングフリーダムブルーを塗り潰さないように、明るくしたいところをフリーダムブルーで塗装。退色度合いを激しくしたいところは、他の部分よりもフリーダムブルーが発色するように塗っている

フリーダムブルーを塗り終えた状態

▲インディブルー調の雰囲気を壊したくないので、面の中央や頂点にフリーダムブルーを塗装している。デカールも貼って、このあとのハイライト色や筆塗りに臨んだ

ハイライト&ウェザリングの仕込み塗装

▲ガンダムエアリアル ブルーでグラデーションのもっとも明るい色を描く。それと同時に、エアブラシの細吹きで、雨垂れなどによって退色した部分を描いておく。これがウェザリングの「仕込み塗装」。これをすることで、暗めのウェザリング塗料を塗った時に色が沈まない上に、よりストレーキングの部分にメリハリが付く


ハイライト&仕込み塗装完了

▲ストレーキングだけでなく、ハイライトとして明るくした場所もウェザリングにメリハリを与えてくれる。単色ベタ塗りからウェザリングするよりもはるかに手数が少なく、かっこいい仕上がりになる。基本塗装とウェザリング塗装を切り離さず、ウェザリングを基本塗装の一環として捉えていこう

エアブラシの清潔感が好きなら
この状態で汚してOK

▲エアブラシ塗装だけならここまでの行程で塗装はOK! この状態からウェザリング塗料で汚していっても充分にかっこよくなる。今回はこの状態により重量感やツヤ感を出していきたいので、さらに筆塗りでタッチを加えてみる

水性ホビーカラーの特性が活きる「ハイブリッド塗装」

 エアブラシで塗面が仕上がっているので、筆塗りでタッチを加える際もスイスイ進む。それは、水性ホビーカラーは乾燥後に下の色を溶かしにくいという性質があるから。つまり筆塗りしても塗面がグチャグチャにならないのだ。このおかげで、あなた好みの筆跡を模型に加えて、さらなる重量感を演出できる。

筆塗りはこの3色

▲右から基本色のライジングフリーダムブルー、一番明るいガンダムエアリアル ブルー。薄緑に近く、ライジングフリーダムブルーの明度を上げるのに最適なイザーク専用スカイブルー

適宜パレットで混ぜて好みの色を拾おう

▲混色して使用。この色とこの色を何対何で混ぜるなんてことはしていない。ただし「ライジングフリーダムブルー」は絶対に入れるということは守った。基本色を入れないで塗ると、途端に別の色が塗られた感じになり、もともとの装甲色の変化ではなく、どうしてもちぐはぐな印象の仕上がりになってしまう

重力方向を意識した筆跡を追加

▲今回は基本上から下に筆を動かして重力方向を意識した。筆跡の方向によって丸みを強調したり、傷っぽく見せたりできるので、自分好みのタッチを見付けて塗ってみよう

メリハリあるタッチアップ塗装

▲側面パネル全体はブルーの色味を薄くし、中央の五角形状のパネルはライジングフリーダムブルーの色味を強くして、整備後にパネルを再塗装したという雰囲気にした。またこの段階で各部に明るめのチッピングを加えて、傷表現も追加している

足元はさらにメリハリある陰影に

▲エアブラシの仕込み塗装でも足首は明るめにしていたが、よりハードに色落ちすると考えて、さらに明るい色を塗りこんでいる

エアブラシと筆塗りで汚しにメリハリを付ける

 エアブラシによるツヤのコントロールと、ウェザリングカラーでさらにハードに足元を汚していく。

筆塗りが終わった状態

▲こちら筆塗りで各部にタッチを加えた状態。チッピングは上半身は少なめ(パーフェクトソルジャーらしくキリコ以外からの被弾はほとんど無し! 勝手な妄想です)、足元は稼働によるダメージ感を表現するために強めに施している

足元だけツヤを消して、ウェザリングカラーで汚す

▲エアブラシはツヤ消しトップコートをピンポイントで吹き付け可能。汚れてツヤ感が無くなるように、足パーツにだけツヤ消しを吹いた。乾燥後にMr.ウェザリングカラーでウォッシングする

Mr.ウェザリングカラーのウォッシング

▲ウェザリングカラーの底に溜まった濃い塗料を、ちょんちょんと各所に置いて、それをウェザリングカラー専用うすめ液で伸ばすようにしてウォッシングした

コクピットもハイブリッド塗装

キットのコクピットの完成度はピカイチ

▲本キットはコクピットの解像度も高いのが魅力。こちらをエアブラシ塗装&筆塗りで仕上げる

コクピットの細部塗装は筆塗りと好相性

▲コクピットはジャーマングレーをエアブラシで塗装。細部のカラーリングを筆塗り。その後ジャーマングレーの部分にRLMグレーバイオレットを筆塗りしてタッチを加えていく

筆塗りならリタッチも簡単

▲細部塗装のはみ出した部分も筆で塗り潰している。人が乗って擦れそうな部分は筆のタッチを多めにしている
▲ライト部分もダメージ具合を変えている。向かって左側はハードに汚し、右側は最近取り替えたという脳内設定でチッピングを入れていない
▲必殺のアイアンクローと11mm機関銃だけに、ここは常に整備されているだろうと考えて、汚し塗装を一切せずにきれいめに仕上げている
▲ソリッドシューターもキリコとの戦いにおいてボロボロのものを持たされることはないと思うのできれいめに。エアブラシ塗装した後に、軽く筆跡を追加してスミ入れするのみに留めた
▲バックパックにある推進装置は整備が行き届いていると考えて、他の部分よりも汚しを控えめにし、ライジングフリーダムブルー本来の色味をキープさせている

 水性ホビーカラーを本格的に使うようになったきっかけは筆塗りではなく「エアブラシ塗装」でした。自分が連載に関わっている「筆塗りトライブ」などで本塗料を推しているから、筆塗りきっかけかと思われることが多いのですが、水性ホビーカラーにラインナップされている「3色のジャーマングレー」(513、514、515)をタミヤのティーガーIに塗装したことが、僕の水性ホビーカラーの夜明けだったのです(ぜよ〜)。この3色は順番通りに塗ると、美しいグラデーション塗装ができてしまうという“魔法”が仕掛けられていて、「なんでこんな塗料が出ているんだ……」と衝撃を覚えてGSIクレオスの開発チームに突撃したのです(この塗料は海外ユーザーからの要望で生まれたものだそうです)。
 その3色によって水性ホビーカラーをエアブラシで塗るとすごく調子が良いと分かり、自分のメインカラーとなりました。そして今回はエアブラシ塗装後に知った筆塗り塗装をミックスさせています。それは、月刊ホビージャパン連載コーナーの「Ma.K.in SF3D」でもたびたび提唱されている、ハイブリッド塗装を楽しみたかったからです。エアブラシ塗装と筆塗り塗装の良いところだけを抽出して塗っていくので、エアブラシのきれいな塗面を活かしながら筆塗りならではの重厚感も演出できて最高です。またエアブラシで色をはみ出しても「筆でタッチを加える時に塗り潰そう」ってなるので、ほとんどマスキングもしません。めんどくさがりな僕にはピッタリだし、両方の塗りの楽しい部分だけを味わえるので、ハイブリッド塗装は最高に楽しいのです。おすすめです。

マックスファクトリー 1/24スケール プラスチックキット “PLAMAX”

X・ATH-02 ストライクドッグ

製作・文/フミテシ

PLAMAX SV-01 装甲騎兵ボトムズ 1/24 Scale X・ATH-02 ストライクドッグ
●発売元/マックスファクトリー、販売元/グッドスマイルカンパニー●8800円、発売中●1/24、約17.5cm●プラキット


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Ⓒサンライズ

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フミテシ

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