HOME記事キャラクターモデルまるでイラストから抜け出てきたかのよう。ペインター・MAマンが“3D2次元彩色”で「ガッツ 狂戦士の甲冑Ver.」を描き出す!!【筆塗りTribe】

まるでイラストから抜け出てきたかのよう。ペインター・MAマンが“3D2次元彩色”で「ガッツ 狂戦士の甲冑Ver.」を描き出す!!【筆塗りTribe】

2025.02.18

筆塗りtribe/ガッツ 狂戦士の甲冑Ver.【マックスファクトリー】 月刊ホビージャパン2025年3月号(1月24日発売)

コラックス・ホワイトで無数の線を引くのだ!!

太い線を引く

▲今回は黒いパーツに無数の白い線を引いて、モノクロイラスト風にしていく。まずはパーツのエッジなどの太い線を引く

エッジから攻めていく

▲エッジハイライトを描くように、どんどん線を引いていこう。パーツの形状に筆を沿わせて、滑らかな線を引いていく

細かな線を引く!

▲エッジ部分の太い線が引けたら、甲冑の内側の細かな線を引いていく。この時の線の太さや線の間隔は、漫画のイラストを参考にしよう

線の修正

▲線が太くなってしまったり、はみ出してしまったりしたら、慌てずに修正しよう

水を含ませた綿棒で拭き取る

▲シタデルカラーは水性塗料。乾く前なら水を含ませた綿棒で拭き取れる

線のバランスで甲冑の立体感がより際立つ!

▲線の方向性や太さ、量によって狂戦士の甲冑の鋭さが際立ってくる。全塗装していないのに、線を引くだけでここまでの表現が可能なのもモノクロイラスト風塗装の面白いところ

さらなる立体感の演出の秘訣は「黒」にあり

▲パーツの奥まった箇所、甲冑の影となる縁部分に黒を塗ってみよう。するとそこだけさらに一段暗くなり、より立体感が出る。この黒によってイラスト風塗装に、より模型的な立体感を乗せることができる
▲ガッチリと太く描かれた線、スピード感が感じられる細くてしなやかな線。見る場所によってさまざまな線が描かれていて、見る人を飽きさせない
▲太モモから足先の塗装は見どころ満点。ヒザの甲冑の棘は、細かく描かれた線によって本当に刺さりそうなほど鋭く見える。そして太モモのガッチリとした線によって、大剣「ドラゴンころし」を持つガッツの力強さがこちらまで伝わってくる

「ドラゴンころし」の塗装


銀も白に塗る!

▲キットの剣は、シルバーで塗装済み。その上から直接コラックス・ホワイトを塗る。2度塗りくらいでささっと滑らかな塗面に塗り上げてしまうMAマンに驚愕


中央も白で塗りつぶす

▲剣の中央部もすべて白に塗りつぶす。この後、細かな黒い線を描いていく

イラストをじっくりと観察してトライ!

▲『ベルセルク』は細部の描き込みが尋常ではない。ドラゴンころしの中央部のパーツだけを見てもかなりの線で描かれている。まずは写真のように細かな斜線を引いていく

弧を描いた線も織り交ぜる

▲直線的な斜線に、横方向や縦方向に弧を描いた線を織り交ぜていく。すると各所で無数の「円」のような形が形成されていき、漫画の“トーン”のような雰囲気が出てくる。あとは納得いくまで線を描いていく

影を描く

▲剣の柄部分の落ち込んだ影部分は、スミ入れをするのではなく、きっちりと黒の線で描き込む。これによって立体感が際立つ。漫画イラストにも見られるような細かな線も描いていく

剣の傷を描く

▲ドラゴンころしには無数の傷が描かれている。こちらも黒で細かい線を引いて表現していく

刃と中央部の境目に黒を塗る

▲別パーツとなっている刃と中央部。この間に黒を塗ることでより立体感が出る。さらに剣のエッジにも黒を塗装している
▲MAマンが立体物を塗る時は「絵のようにも見えながら、しっかりと立体物としてどこから眺めても楽しめるようにする」ことを心がけている。そのためこのガッツも、決めポーズ以外のところから見ても非常に魅力的な立体に見えるように塗装されている

「ぽく見える」を大事に、たくさん発生する矛盾を己の筆で手懐けていく!

──MAマンさんは今でこそ模型やフィギュアを塗装されていますが、そもそもはどのようなホビーが好きだったのでしょうか?
MAマン:当時フィギュアはクレーンゲームで集めたり買ったりするだけだったんですが、ある日秋葉原のレンタルショーケースにぽつんと置いてあったリペイントフィギュアを見つけたのがきっかけでした。こんな色のフィギュアあったっけ? って、調べたらリペイントだったんです。当時の2次元彩色フィギュアはだいぶマイナーな印象でしたが、あるにはあったんですよね。私は絵や字を筆で書く人間だったので、その作品を見てフィギュアにも塗りたくなって翌日くらいに道具を買いに行きました。せっかくだったらこの技法を極めて、広めたいと思って塗装を始めてまもなくYouTubeとX(当時Twitter)を始めました。正直表に出るのには抵抗があったので当時は仮面を被ったりサングラスをしたりで活動していて(笑)。今では仕事としてもやらせていただいているので完全に生活の一部。というか大半になりました(笑)。

──初めて塗った模型を教えてください。また立体物を塗る時に大切にしていることを教えてください。
MAマン:ミニ四駆です。マシンを漫画のイラストのように塗りました。立体物を塗る時に大切にしていることは、フィギュア塗装である、ということにとらわれないことですかね。私の塗装は絵を描いていた経験をダイレクトに活かした塗り方をすることが多いので、そうなると自然と表現の幅が広がりやすくなります。2次元彩色も、一定方向から完璧に絵に見える塗り方ではなく、360度どこから見ても絵っぽく見える塗り方を意識していて、この“ぽく”っていうのがこだわりです。ぐるぐる回しながら塗装しています。たくさん発生する矛盾を、いかに調和させるかを楽しんでますね。やっぱりフィギュアだから、手に取っていろんな角度から鑑賞したいですからね。なので私は、自分がやる2次元彩色は、3D2次元彩色と呼んでいます(笑)。
 締切とかがなかったら、自分のなかで楽に表現できない塗りに挑戦していって、それが思ったように描けずに試行錯誤しながら追いかけている時が1番楽しいですね。でもその時は同時に自分にイライラしてますけど(笑)。でもそれが本当に楽しいんです。

マックスファクトリー ノンスケール プラスチックキット“PLAMATEA”

ガッツ 狂戦士の甲冑Ver.

製作/MAマン

PLAMATEA ガッツ 狂戦士の甲冑Ver.
●発売元/マックスファクトリー、販売元/グッドスマイルカンパニー●7500円、発売中●約18.5cm●プラキット


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Ⓒ三浦建太郎・スタジオ我画/白泉社

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