HOME記事スケールモデル一部のベトナム戦争フリーク・モデラー歓喜!! PACV(哨戒エアクッション艇)がキット化! 水煙を巻き上げながらメコンデルタを進む迫力ある作品をご覧あれ

一部のベトナム戦争フリーク・モデラー歓喜!! PACV(哨戒エアクッション艇)がキット化! 水煙を巻き上げながらメコンデルタを進む迫力ある作品をご覧あれ

2025.01.08

Walkure【ゲッコーモデル 1/35】 月刊ホビージャパン2025年2月号(12月24日発売)

Walkure

 ベトナム戦争で試験的に投入された水陸両用の哨戒艇(PACV)。航行中の騒音や重要なクッション部分の被弾のしやすさ等もあり、最終的に制式採用には至らなかったため、まさに知る人ぞ知る存在であった。しかしそんなPACVを、ゲッコーモデルがついにプラキット化したということで、近年ベトナム戦争をモチーフとした作品を月刊ホビージャパンで多数手掛けている嘉瀬翔が製作。水煙を巻き上げながらメコンデルタを進む迫力ある作品に仕上げた。

※各キャプションも製作者による。

▲ディオラマ全景。PACVのサイズは33.7cm×21cm。デカイ!作業中、何度か落としそうになる。船体裏に把手を仮止めして作業した。ベースサイズは縦31cm×横45cm×高さ16cm
▲このでかいシャークマウスのデカールは位置決めが難しく何度も貼り直したが、丈夫な素材だったので破れることがなかった。好印象。しかも3種の図柄から選べる
▲船体は濡れた、湿った、乾いたの三様を意識して塗装。兵員の落下防止にスノコを敷いているがこのスノコを無塗装にするかODにするか悩む
▲方向舵をカットして少し左に曲げて接着。2枚の水平翼は可動する設計。停止しようと水平翼を少し立てた状態。プロペラの根本の形状から可変ピッチのよう
▲推進用プロペラをモーターで回転させてみた。ペラをハブに接着するダボだけでは強度不足だったので真鍮線を刺して補強した。ペラを回転させて遊びたいモデラーは必須。水平尾翼の星条旗がかっこいい
▲キャビン内の簡易なシートが精巧に再現されている。パイロットは当時の記録動画を見るとヘリコプタークルーのヘルメットを着用していた。ドラゴンのフィギュアを使用
▲デッキに集まった兵士はマスターボックス製。ヘルメットカバーにゴム製バンドを再現。これは伸縮性のあるマスキングテープをラバーブラックに塗装し使用した
▲銃座のフィギュアはタミヤ・ピバーボートからトレード。タミヤ・カスタマーに注文。足を短くして狭いスペースに座ってもらった
▲波の表現は透明粘土(粘土に促進剤を混ぜて硬化する物)をガラス板に押し付け混ぜる。それをヘラでこそぎ取り、接着剤(今回は透明な模型用セメダイン)で固定した

■今回使用した主なキット

PACV Gecko Models 35GM0101
Jungle Patrol,Vietnum War series Master Box MB3595
Dog Patrol Vietnum War series Master Box MB35238
U.S. HELICOPTER CREW DRAGON 3311

 なんと! 一部のベトナム戦争フリーク・モデラーから羨望のアイテム、PACV(Patrol Air Cushion Vehicle・哨戒エアクッション艇)がゲッコーモデルからキット化された。よくぞ、このようなマイナーな船艇を! 狂喜乱舞! それをゲッコーモデルの譚(タン)社長のご厚意で発売前のキットを手配していただきました。感謝いたします。

■PACVとキットについて
 PACVは広大なメコン川デルタ地域等の沼地や水田を苦もなく進撃し、水辺に潜むベトコンを掃討するために少数生産/実戦投入されました。キットで再現された艇以外、いくつかのバリエーションが存在しました。
 PACVはスカートやパーツが欠損しているスクラップ(?)の存在は知られているものの、詳細は記録動画/画像では確認できないという厄介な機体ながら、キットは細かなディテールまでよくリサーチし再現されている。お見事。
 製作上、このキット最大の難所は上部躯体とスカートの接着。スカートを接着する駆体(パーツK)がキャビンの底とぶつかるのでパーツKの上部をカット。スカートと躯体の接着のガイドにあるハメ合わせのガイドはカット。私の製作が下手なのか、スカートが躯体に比べ小さくなった。前後を合わせて瞬着で強制接着。プロペラはやはり回したくなる、ミニモーターはプロペラより離れた所しか仕込むスペースがなく、真鍮線とシリコーンチューブで連結した。私にもっと技量があればレーダーも回せたのに。

■ディオラマ化
 キットのパッケージの絵がかっこよかったので再現。穏やかな水面を粘土で適度な凹凸を付けた。乾燥後、淡いブルーを主体に吹き付けた。PACVが通過した際に起きる波部分を残して彩色し、さらに泡の筋をホワイトで加筆。そしてタミヤカラーのクリヤーを薄めることなく流し込み、光沢に仕上げた。波の表現は愛用の透明粘土を使用。霧のような水飛沫はディオラマでは再現不可能なので、画像処理にお任せした。
 このキット、残念なことにフィギュアが付いていない。今後もPACVのフィギュア展開はないようにお聞きした。キャビン内のフィギュアはドラゴン製ヘリコプタークルーを使用したが、ほとんど見えなくなった。外のデッキ上のフィギュアはアートボックス製。ベトナム戦争物のフィギュアが少なく苦労した。タイトルの「ワルキューレ」は製作中に見た『地獄の黙示録』のあの曲が頭から離れなかったので。
 次作は以前予告したクレーン物。伸び伸びになったが只今製作中。

ゲッコーモデル 1/35スケール プラスチックキット 米海軍 パトロール エア クッション ビークル(PACV) 後期型 使用

Walkure ワルキューレ

製作・文/嘉瀬翔

米海軍 パトロール エア クッション ビークル(PACV) 後期型
●発売元/ゲッコーモデル、販売元/ビーバーコーポレーション●22110円、発売中●1/35、約33.7cm●プラキット

この記事が気に入ったらシェアしてください!

嘉瀬翔(カセショウ)

オススメの書籍

スケールモデルレビュー Vol.4

ご購入はこちら

名機100選 航空模型百科全書

ご購入はこちら

艦船模型製作の教科書2.0

ご購入はこちら
PAGE TOP
メニュー