「L3型 呂57」と「L4型 呂60」竣工時、改装後の3種が1/700スケールでレジンキット化!キットの持ち味を活かしてディテールアップされた日本海軍二等潜水艦を見よ!
2024.12.17日本海軍潜水艦の礎を築いた中型潜水艦
日本海軍二等潜水艦 L3型/L4型
日露戦争後のさまざまな試行の後、1920年代に八八艦隊計画で本格建造が開始された中型の呂号潜水艦がL3型およびL4型であった。ワシントン軍縮条約による計画中止後も継続して整備が進められ、「艦隊型」と呼ばれる大型の伊号潜水艦へと発展していく。日本海軍潜水艦の礎となった初期の呂号潜水艦が、漣工房から1/700レジンキットで一挙に3種類登場。L3型の呂57に加え、L4型の呂60は竣工時と改装後を発売、素晴らしい出来のキットを存分に楽しみ尽くす!
製作・文/齋藤圭吾
■L3型「呂号第57潜水艦」
日本海軍二等潜水艦 呂57(L3型)
●発売元/漣工房●2750円、発売中●1/700、約10.9cm●レジンキット
■L4型竣工時「第59潜水艦」(「呂号第60潜水艦」)
日本海軍二等潜水艦 呂60(L4型)
●発売元/漣工房●2750円、発売中●1/700、約10.9cm●レジンキット
■L4型「呂号第65潜水艦」
日本海軍二等潜水艦 呂60竣工時(L4型)
●発売元/漣工房●2750円、発売中●1/700、約10.9cm●レジンキット
■はじめに
日本潜水艦は排水量ごとに3段階の等級に分けられ「伊号」「呂号」「波号」とカテゴライズされています。一番大きい伊号潜水艦はそこそこキット化されていますが、呂号、波号は小さく、目立った功績もないためキット化は稀です。そんななか、精力的に呂号、波号のレジンキットを作っている漣工房から新たにL3型とL4型潜水艦が発売されました。
■L3型・L4型潜水艦について
第一次世界大戦のノウハウからイギリスが設計した潜水艦がL型潜水艦です。日本がそれをライセンス生産し、L2型、L3型と拡大・改良していきました。L4型はその最終形です。太平洋戦争中はL3型は訓練艦として従事し、L4型は潜水艦籍で活躍しました。
漣工房からはL3型「呂57」と竣工時と改装後の2種類のL4型「呂60」、合計3種類のキットが発売されており、それぞれ「呂号第57潜水艦」、「第59潜水艦(呂号第60潜水艦)」、「呂号第65潜水艦」としてディテールアップ製作しました。
■天幕
大正期の潜水艦は平時は天幕が張られており、第二次世界大戦から現用の潜水艦を見慣れている身にとっては新鮮に見えます。当時の写真を参考に、余りエッチングを加工してジャッキステーを製作しました。
天幕は木工用ボンドを水で希釈し、筆で幕を貼るように塗ります。乾燥後、Mr.カラーのキャラクターフレッシュ(1)で塗装して再現しました。
■艦首デカール
キットには艦首のデカールは付属していないため、ピットロードの1/700日本海軍潜水艦デカールセットを使用し、当時の写真を参考に貼り付けました。ピットロードのデカールは日本潜水艦を作る上で大変重宝していますが、現在絶版です。白帯は吃水線下に潜舵があることを示します。数字は潜水隊番号です。
■アンテナ線
モデルカステンのメタルリギング0.04号を使用。艦首尾にかけて伸びている3本並列のものはアンテナ線です。センターの線→横線→端の斜め線→左右の線→はみ出た線をニッパーで切断といった手順で製作しました。シンプルな潜水艦だけに、ここに手を加えると効果的にディテールアップできます。
金属線はツヤが出てしまいますが、10倍ほどに希釈したXF-86フラットクリヤーを筆で撫でるように塗るとフラットになります。白い玉はガイシです。ゼリー状瞬間接着剤を爪楊枝で付け、タミヤカラーXF-2フラットホワイトで塗りました。
■最後に
今回ディテールアップ作例として製作しましたが、キット付属のパーツは大変精度が高く、基本的にはそのまま使用しています。
漣工房は1/700艦船用改造パーツもラインナップとして展開しており、ディテールや形状の再現度が大変素晴らしいです。各社の装備品セットがリニューアルした現在でも、漣工房は頭ひとつ抜けていると感じます。当キットも例に漏れない素晴らしい出来で、小さいながらも作りごたえのあるキットでした。
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齋藤圭吾(サイトウケイゴ)
実は模型と同じくらい絵を描くのが好きなのですが、社会人になってから描く頻度が増えました。美大生の頃より描いているかもしれません。メカニカルなイラストが得意です。みんなに見せられる日が来るといいなー。