本日発売!40年振りのバンダイ製“ゴジラ”新作プラモデルについて企画担当にインタビュー! モンスター・ヴァース版ゴジラ[ゴジラ(2024) from「ゴジラXコング 新たなる帝国」]がついに登場
2024.12.14●骨と外皮、こだわりの設計
──骨となるフレームに外皮を被せれば、嵌合次第ではストレスにより外れやすくなることもあると思います。このあたりの調整にはかなり気を配られたのでは?
藤本 今回、ゴジラの魅力を、骨格を通じてより感じてもらい、プラモデルの良さも同時に知ってくれる方々が多くなればいいなと考えたことも企画を始めた理由のひとつです。扱いやすさを含めて簡単に組めるように、なるべく少ないパーツ数になるように意識しました。プラモデルを何年も触っていない方、これまでプラモデルを作ったことがない方、ゴジラ好きな人たちがより簡単に手にとれるような設計にしています。
──パーツ数はどれくらいですか?
藤本 約110パーツほどですね。パーツ数のほとんどは骨で、外皮自体は非常に少ないパーツ数です。特に外皮はパーツが少ないだけにどの部分か形でわかるところもあって、あまりいい表現かわからないですけど、それこそジグソーパズル的。見た目でどこに何をはめるかわかるようになっているので、組みやすいはずです。それこそ自分で作っていても、組みやすいと思えます。
──実際、キットを見るとパーツの合わせ目などが目立たなくなっていて、パーツ割りにもこだわりを感じます。
藤本 パーツをランナーから切ったときのゲート跡などができるだけ目立たないように工夫させていただきました。そこは設計チームがすごく試行錯誤をして頑張ってくれたところです。
──設計的に特に苦労した箇所はどのあたりでしょうか?
藤本 私がやりたいと提案した箇所なのですが、骨格と外皮を別々に組める仕様が最大の難所であり、設計チームを一番悩ませたところでした。外皮に骨を内蔵するためのクリアランスや嵌合の問題、さらに外皮だけで組む場合はフレームがない状態で保持させるなど物理的な難しさがありました。このあたりはポージングにも関わるところなので、どうやったら実現できるか、チーム全体で考えていきました。
──実際、ゴジラをプラモデル化することのハードルは高かったのでは?
藤本 ゴジラはロボット的な角のある形状ではないので、プラモデル化は難しかったですね。特に外皮は原型からプラモデル化する際、2wayのディスプレイ方式にしたこともあり、ゴジラの特徴的な外皮形状をどうパーツ割りして商品に落とし込んでいくかが大きなハードルになりました。ゴツゴツした皮膚感がパーツとして抜いた時にどうしても形状が崩れてしまう部分もあって。どの方向で金型から抜いたらいいかみたいな、通常の先細りとなるテーパーではなく、逆テーパーを試したり、設計チームと協議しながら成型に至るまで考えながら開発しました。
──足の造形もすごいリアルですよね。よくこの形状で抜けたなと思いました。
藤本 スライド金型を使ってもらったり、ゲートの位置を気にしてもらったり、私の無理難題に応えてもらいました。
──プラ製ながら外皮らしい質感もありますよね。
藤本 ガンプラなどでも使用されているKPS製です。ただ表面にできるだけプラスチックの光沢感が出ないように意識しました。美少女プラモデルなどでも採用されていますが、設計チーム以外にも金型チームなどにも協力してもらい、テカリが少なくマットな質感になるような金型処理をしています。骨も表面の形状みたいなところは原型の段階からかなりこだわっていて、部位によってはツルっとした感じではなく、ボツボツとした処理にしてもらったり、左右の足で非対称にしてもらったり現実の骨を意識しています。骨はみんなが共通認識できる現実部分だと思っていて、そこはできる限りリアル感が出るようにしました。
──骨の背びれはクリアーパーツとなっていますが、何か理由があるのでしょうか?
藤本 ゴジラの背びれは劇中の動きから「背骨にくっついてないんじゃないか」と思えるところがあって、(背骨から離れて)浮いているイメージを表現しています。西川さんにも相談したところ、たぶんステゴザウルスみたいな構造で浮いているみたいな話をしてもらいました。今回のゴジラの骨格を想像する際、できるだけ恐竜を参考にしないようにしていたのですが、背骨と背びれがくっついていると劇中のようなダイナミックな動きはできないので、“浮かす”表現を採用しています。
──まさに映像から想像して作っていく作業、動きから骨格を表現する作業ですよね。
藤本 ゴジラらしい胸を張ったポージングなどから躍動感のある肩甲骨などを想像しました。やはり作品の映像こそが正解ですし、そこから逸脱しないもの、皆さんが共通認識できるゴジラのキャラクターを作らないといけないですから。皆さんが“ゴジラの骨”と想起できるものに仕上げられるように映像は最重視しました。それこそ尻尾の骨の太さも、猫など実在の生物では個体に対してそこまで太くはないですが、映像の力強い動きや破壊力を考えれば、きっと耐久力のあるそれなりの太さになるだろうなど、西川さんと話していました。
──その他、企画担当としてのこだわりについてお聞かせください。
藤本 顔の色分けは色プラの技術があって助かりました(笑)。今回のゴジラは顔部分の色分けにもこだわっています。骨格の歯の部分がそのまま外皮の歯になり、ベロなど口腔内は赤1色でもいいとの意見もありましたが、多色成型の技術を活用して、口腔内は濃淡2色の赤でこだわりの色分けをしています。この大きさのプラモデルで色再現できるところは可能な限り追求することを目指しました。あとは台座もこだわりの部分です。尻尾の下に置くだけですが、ピッタリフィットします。
──尻尾との設置面がピタっとハマるように、台座側が尻尾の形状の凹になっていて、かなり精密な設計ですよね。
藤本 キット自体に穴を作ってピンで固定する方法もあったのですが、造形を崩したくなかったですし、展示して下からのぞきこんだ際に穴が見えたら興ざめしてしまいますからね。
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