ポーランドが生んだガルウイング先進戦闘機
PZL P.11c ポーランド空軍戦闘機
2021.06.24
まだ羽布張りの複葉戦闘機が全盛期の1920年代末、ポーランドのPZL(国立航空工廠)では単葉全金属製の先進的な戦闘機“Pシリーズ”を開発した。P.11cはP.7に続いて1936年から導入された主生産型となる。2021年5月号ではIBGの1/32スケール作例を紹介したが、今回は1/72スケールで発売中のアルマホビーのキットをレビュー。「エキスパートセット」と銘打つエッチングパーツ付きキットでコクピットなどは充実の再現度を誇っている。なお同社では今年に入り1/48スケールでもP.11cをモデル化、いまWWIIポーランド戦闘機が熱い!
■エキスパート版で作るP.11c
ポーランドのアルマホビーから2018年に発売された1/72 PZL P.11cを作ります。今回はエッチングパーツとマスクシートの付属するエキスパート版を製作します。この付属品を省き価格を抑えた通常版の「ジュニアセット」、同じく通常版のデカール替え「東部辺境地域防衛隊」もあります。また今年に入り1/48スケールでも完全新金型キットが発売されました。
キットはコクピットを中心にエッチングパーツを駆使し非常に詳細に再現され、外装も波板外板を見事にモールド。パーツの合いも非常によく、パテの使用は皆無です。ただしエキスパート版ということでエッチングパーツが多く含まれますので注意は必要です。
■機体の工作
コクピットから組み立て始めますが、説明書の初めのページにエッチングパーツの取り付け位置が示されていて親切です。ただなにぶんにも1/72ですから、かなり小さなパーツがあります。組み立て後にまったく見えなくなるものもありますので、ものによっては省いても構わないでしょう。全部使用する必要はありません。とくにメーターパネルはフィルムとエッチングパーツで仕上げる場合と、デカールで済ませる場合の選択になります。作例では見映えに加えて、実機のメーターパネルが結構カラフルなこともありデカール仕上げにしています。
シートの頭当ては左右の胴体接着後に取り付けるので、ショルダー部のシートベルトも頭当て接着後に取り付けることになります。右側胴体にはパーツを取り付けるために穴を開ける部分があるので、忘れずに開口しておきます。
脚部・主尾翼を取り付ければ外形が完成します。エンジン、カウリングは別途組み立て・塗装を済ませておき、最後に取り付ければよいでしょう。
プロペラは固定する場合は何ら問題はありませんが、回転させる場合は難しく、スピナー基部を取り付ける際に工夫が必要です。せめて回転できるようにということであれば、スピナー基部のシャフトを伸ばしてエンジンの裏からストッパーを取り付けることになります。
主尾翼の支柱は、機体の塗装および支柱の塗装を済ませた後で取り付けます。
■塗装およびマーキング
塗装は当時のポーランド空軍機で一般的な「ポーリッシュカーキ」とライトグレーの迷彩を選び、マーキングは塗装例4の機番のものとしました。このポーリッシュカーキという色が難しく、ドンピシャの色はありません。いろいろ試した結果、GSIクレオスのMr.カラーC55カーキとC517茶色3606を5:5で混色したものが一番近いように感じました。
下面のライトブルーもズバリの色がないので、C338をベースにC308を少し混ぜて暗めにしてあります。
まずガイアノーツのサーフェイサーエヴォ ブラックで全面塗装し下塗り。その後主尾翼の下面をライトグレーで塗り、他の部分はポーリッシュカーキで塗ります。
スミ入れ後デカールを貼り乾燥後、3/4ツヤ消しでオーバーコート。デカールは外板が波板ということもあり少々心配でしたが、問題なく馴染んでくれました。後はタイヤ、プロペラ、キャノピーを取り付ければ完成です。
アルマホビー 1/72スケール プラスチックキット
PZL P.11c 「エキスパートセット」
製作・文/山田昌行
PZL P.11c 「エキスパートセット」
●発売元/アルマホビー、販売元/ビーバーコーポレーション●3190円、発売中●1/72、約10.5cm●プラキット