【コードギアス 新潔のアルマリア】プロローグ「世界の明日の前に」後編
2024.12.05『コードギアス 奪還のロゼ』へと続く物語。
『コードギアス 復活のルルーシュ』と『奪還のロゼ』をつなぐ『コードギアス』の新たなるストーリー「新潔のアルマリア」。皇暦2018年。バベルタワーが倒壊したあの日、ゼロは復活した。宗賀ハクバは日本を取り戻すため、再び黒の騎士団の一員として新たな作戦に参加する!
STAFF
シナリオ 長月文弥
キャラクターデザイン 岩村あおい(サンライズ作画塾)
ナイトメアフレームデザイン アストレイズ
プロローグ|『世界の明日の前に』後編
俺は戦争が嫌いだ。
戦争は何もかもを壊し、何もかもを奪う。
家を、家族を、大切なものを。
「なあ、聞いたか? ゼロがついに処刑されたらしい」
「ゼロが? そんなわけ……」
「新しい総督が来たろう? カラレスってやつ。あいつが正式に発表したんだよ」
「ゼロが……」
「おい、お前たち! 手を休めるんじゃない! さっさと働け!」
皇暦2018年。
ブラック・リベリオンの失敗から一年ほど経ち、日本人を取り巻く環境は大きく変わった。ブリタニアに逆らったことで、矯正エリアへと格下げされ、より厳しい弾圧を受けることになっていた。
「ゼロが死んだなんて、そんなことあるわけない。このまま終わるわけが……」
「俺だって信じちゃいない。あいつはきっと日本を取り戻してくれる」
「そうだ。日本の奪還は俺たちの夢なんだ」
「ゼロならきっと叶えてくれる」
ゼロはブリタニアに捕まり、処刑されたと発表されたが、日本人の多くは信じていない。いや、信じられないと言ったほうが正しいのかもしれない。一度、ゼロが見せてくれた“日本奪還”という夢は、それほどに現実的であり、心の支えになっていたのだ。
「ゼロは死んじゃいない。いや、死んでもらっては困る」
俺もその内の一人だった。しかし、俺がゼロの生存を望むのは、かつての日本を取り戻したい、という想いから少し変わっていた。なぜなら、妻の結との間に、新しい命を授かったからだ。
「おかえりなさい、ハクバ。お仕事、ご苦労様」
「ただいま、結。それに……」
明日菜。
俺はこの子のために、日本を取り戻したい。この子が笑って暮らせる世界にしたい。そう強く願った。
そして、その願いが神様ってやつに届いたらしい。
「私はゼロ。日本人よ、私は帰ってきた」
皇暦2018年。バベルタワーが倒壊したあの日、ゼロは復活した。その正体がブラック・リベリオンを引き起こした本物と同じかどうかを知ることは出来なかったが、多くの日本人がその復活に驚き、歓喜した。
「聞け、ブリタニアよ。刮目せよ、力を持つすべての者たちよ。
私は悲しい。戦争と差別。
振りかざされる、強者の悪意。
間違ったまま垂れ流される悲劇と喜劇。
世界は何一つ変わっていない。
だから、私は復活せねばならなかった。
強き者が弱き者を虐げ続ける限り、私は抗い続ける。
そして、私は戦う。
間違った力を行使する全ての者たちと。
ゆえに、私は、ここに合衆国日本の建国を再び宣言する!
人種も主義も、宗教も問わない。
国民たる資格はただ一つ。
正義を行うことだ!」
復活したゼロは、その言葉通りブリタニアと戦い、再び多くの日本人の支持を集めていった。しかし、ゼロと黒の騎士団との間に大きな壁が立ちふさがる。新総督となったナナリー・ヴィ・ブリタニアが提唱する行政特区日本。そう。ブラック・リベリオンの引き金となったユーフェミアが施行しようとしていたものだ。
「すう……、すう……」
「ふっ。明日菜、幸せそうな顔で寝てるな」
「ねえ、ハクバ。あなた、黒の騎士団に戻りたいんでしょう?」
「……確かにゼロが復活した今、力になりたいと思う自分がいる。でも、今の俺には守るべきものがある。結、お前や明日菜が……」
「ハクバ……」
行政特区日本が現実のものとなれば、限定的ではあるが日本人の自治が認められ、日本人がブリタニアに反抗する理由を失う。そうなればゼロも黒の騎士団も存在意義を失ってしまう。そこで、ゼロはある奇策に出た。
「ハクバ、聞いたよ。行政特区のこと。それに、例の作戦のことも……」
「だから何だって言うんだ。俺はお前たちのことを……」
「はい、これ」
「これは、ゼロの……」
「ちゃんとそれらしく作っておいた。これで、参加できるでしょ?」
「参加って……。この作戦に参加したら、しばらくは……」
「わかってる。でも、生まれたばかりの明日菜は連れていけない。だから、あなただけでも行って。そして、取り戻して。私たちのために日本を」
「結……。わかった。行ってくる」
行政特区日本式典で行われたのは、ゼロに扮しての国外脱出。ブリタニアに自身の国外追放を約束させたゼロは、式典会場に集まった百万人の日本人にゼロの扮装をさせ、合法的に中華連邦へと脱出させたのだ。
「結、明日菜。俺は必ず日本を取り戻しに帰ってくるからな」
中華連邦へと渡ったゼロは、ブリタニア本国と渡り合う力を得るべく、中華連邦や反ブリタニアの姿勢を示す国と協力関係を結び、ついには世界最大の連合国家、超合集国を作り上げるまでに至る。武力の保有を放棄した超合集国は、戦闘集団である黒の騎士団に安全保障を委託。最高評議会の議決によってのみ軍事力を行使するとした。
「超合集国では、最高評議会の議決によってのみ、軍事力を行使します」
「それでは、私、皇神楽耶から最初の動議を。我が合集国日本の国土は、他国により蹂躙され、不当な占領を受け続けています。黒の騎士団の派遣を要請したいと考えますが、賛成の方はご起立を」
「賛成多数」
「よって、超合集国決議第壱號として、黒の騎士団に日本解放を要請します!」
「いいでしょう。超合集国決議第壱號、進軍目標は日本!」
超合集国決議第壱號によって日本の奪還を依頼された黒の騎士団が、日本へと進攻を開始する。これを決戦と踏んだブリタニアの第2皇子シュナイゼルは、帝国最強の騎士ナイトオブラウンズを5人も投入。日本は超合集国と神聖ブリタニア帝国との決戦の場と化した。
「俺は、今度こそ日本を取り戻す! 結と明日菜のために!」
「ハクバ、あそこを見ろ! 何か光ってる!」
「あの光は何か不気味だ。みんな、あの光から離れろ!」
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