HOME記事スケールモデル新金型のバッカニアを筆塗りで作る! イギリス海軍の艦上攻撃機「ブラックバーン バッカニア」生まれ変わったエアフィックスの1/48キットを繊細なタッチの筆塗りで仕上げる!

新金型のバッカニアを筆塗りで作る! イギリス海軍の艦上攻撃機「ブラックバーン バッカニア」生まれ変わったエアフィックスの1/48キットを繊細なタッチの筆塗りで仕上げる!

2024.12.19

ブラックバーン バッカニア S.2B【エアフィックス 1/48】 月刊ホビージャパン2025年1月号(11月25日発売)

湾岸戦争参加機をリアルな筆塗りで仕上げる

 1960年代に導入、航空母艦の退役により1978年には全機が空軍に移管されたイギリス海軍の艦上攻撃機ブラックバーン バッカニア。その潜在能力は高く、1991年の湾岸戦争でも本来の任務とは異なる高高度精密爆撃でジャギュア、トーネードなどに劣らぬ活躍を見せたことは、弊社刊「バッカニア・ボーイズ」のエピソードでも有名だ。砂漠用のデザートピンクをまとった「グランビィ作戦」のバッカニアS.2Bを、新金型により完全リニューアルされたエアフィックスの1/48キットで筆塗り製作!

▲低高度高速艦上攻撃機バッカニアは、イギリス機らしいユニークな形状だがポテンシャルは高く、空軍移管後も湾岸戦争を経て1994年まで運用が続けられた
▲機首左側には「スカイ・パイレーツ」の海賊旗が描かれる。大判のデカールは高品質で、マーキングはもちろんのこと細かなコーションデータもきちんと再現
▲キットはマーキングにリンクしたウェポンパーツを用意。左主翼下にはペイブウェイIIレーザー誘導爆弾とその誘導システムであるペイブ・スパイクを搭載する
▲右主翼下には自衛用のAIM-9Lサイドワインダー空対空ミサイルとECMポッドを搭載。作戦途中からはAIM-9Lに替えてペイブウェイIIを搭載するようになった
▲前部キャノピーのワイパーはプラ板とピアノ線で作り替え。後部キャノピーの破砕コードは彫刻して塗料を流し込んで再現。配線もソフトワイヤーで追加
▲機首右側に描かれた「ギネス・ガール/ザ・マッカラン/ポーリーン」とキルマーク。射出座席にもディテール追加、シートベルトはデカールが用意されている
▲前脚のライトはクリアーパーツ再現。配線と主脚のブレーキパイプはソフトワイヤーで追加、脚柱タイヤハブもドリルで開口。主脚カバーにも手を加えている

▲尾部エアブレーキは開閉をネオジム磁石で差し替え。さらにエンジン点検パネル、乗降ラダー、インテーク防塵キャップなど、各部に着脱ギミックを仕込んだ

▲湾岸戦争時のデザートピンクはGSIクレオスのMr.カラーから調色。タミヤエナメルとの併用で筆塗りを行い、単色ながら立体感のある仕上がりを目指した

■製作者ファーストでストレスレス
 もう「上下パーツが合わないトラウマ」なんてありません。2021年に完全新金型の海軍型バッカニアS.2C/Dが発売されました。完成度の高さから傑作キットと評されたのは記憶に新しいことです。
 今回発売の空軍型S.2Bは従来のパーツに新規武装ランナーパーツを追加したキットで、空軍型バッカニアS.2Bの決定版です。フォルムは独特の起伏ある胴体、低高度安定飛行を実現した主翼断面をリアルに再現しています。製作者のストレスを解消する「立体的でわかりやすいモノトーンカラーの組立説明書」、「正しい考証に基づいたカラー塗装図」、「組み立て手順に配置されたランナーパーツ」、これらがちゃんとリンクしていてとても作りやすいのです。パーツの合せは唯一、水平尾翼パーツ(C23、C24)のすり合わせが必要ですが、これ以外はまったく問題ありません。組み立てのみであれば多分1日で完了できるでしょう。それほど精度がよいのです。
 大判のデカールは色再現の難しいラウンデルの発色もよく、薄さ、トップコートにも耐える高品質なものです。細かなコーションデータもちゃんと再現されています。

■マーキングとリンクした武装パーツ
 この1箱で代表的な4種のRAFバッカニアが再現できます。武装パーツの完成度もよく考証が行き届いています。詳細は次の通り。マーキングA:XW527、12 Sqn、1993年(シーイーグル4発)。マーキングB:XW544、15 Sqn、1971年(1000lb爆弾4本)。マーキングC:XV352、208 Sqn、1977年レッドフラッグ演習参加機(左右ドロップタンクとパイロン)。マーキングD:XW547、1991年グランビー/砂漠の嵐作戦(湾岸戦争)参加機(ペイヴウェイII、サイドワインダー、ペイヴスパイク2種)。

■筆塗り塗装とマーキング
 作例はマーキングDのRAFミュージアムに現存するXW547を製作しました。全面ツヤ消しのデザートピンク塗装です。単調でフラットになりやすいので立体感のある仕上がりを目指します。
 塗装は筆のみです。塗装手順は、まず平筆で濃い塗料をペタペタと盛り⇒400番サンドペーパーで塗膜のみざっと削り⇒セーブル平筆で塗り⇒ナナコで0.3から0.5のリベット入れ⇒タッチアップ。この工程を全体のバランスを見ながら納得いくまで繰り返します。塗料はラッカー系GSIクレオスMr.カラーとタミヤエナメルを使用します。エナメル塗料の上にラッカーを塗ったりします。
 デザートピンクは62ホワイトに少量の3赤、4黄、5青、33黒、30フラットベースで調色します。類似色としてグレイ系、赤系、サンドイエロー系の塗料も調色し、部分的に色調を変化させます。
 実戦ダメージを黒、黒鉄色等で大胆に汚し、部分的にサンドペーパーで荒砥ぎしたります。主翼前縁などきらりと光る部分はガイアノーツのスターブライトシルバーです。

■2択ギミックは差替えに
・主翼は展開・折り畳みの2択ですが、独特な主翼形状が見て取れる展開状態で製作。
・エアブレーキは開閉の2種製作し、基部にネオジム磁石を仕込み差し替え式に。
・エンジン点検パネルは基のキットパーツを切り出した閉状態と、開状態のパーツに支えとしてピアノ線を仕込んだもの2種製作。
・乗降ラダーはピアノ線を仕込み着脱化。
・インテーク防塵キャップは両面テープで着脱化。

■高品質なキットを追加工作でメイクアップ
 よいキットであればこそ、気づけばいろいろといじってしまいました。
・点検ハッチからのぞくエンジンはパイプ類をソフトワイヤーで追加再現。
・エンジン排気口にアフターバーナーパイプを伸ばしランナーで追加。
・前脚収納部はただのバスタブなので、タイヤバルジ、コード類を追加。
・ブレーキパイプをソフトワイヤーで追加、脚柱タイヤハブをドリルで開口。
・主脚カバーアクチュエーターをピアノ線、プラパイプで追加。
・キャノピー破砕コードは彫刻して塗料を流し込み、バックミラーと前後隔壁フレーム追加。プラ板でスライドレール追加。
・ダッシュボード配線はソフトワイヤーで作り変え、メーターはストックのデカールを貼った。
・ワイパーはプラ板とピアノ線で自作(キットは配置が間違っているようです)。
・アンテナ、センサーなど突起物はすべて真鍮線で補強。胴体前後に点在する空母着艦時のクラッシュバリアーカッターをプラ板で再現。
・機首のストライクカメラは透明ランナーとミラーで再現。

エアフィックス 1/48スケール プラスチックキット

ブラックバーン バッカニア S.2B

製作・文/有賀和雄

ブラックバーン バッカニア S.2B
●発売元/エアフィックス、販売元/GSIクレオス●15620円、発売中●1/48、約40.2cm●プラキット

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有賀和雄(アリガカズオ)

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