『ガメラ2』も手掛けた名脚本家・伊藤和典氏。(自称)弟子の小森陽一がその魅力を語る
2024.11.21 コモリプロジェクトHP
Youichi Komori Official Web(y-komori.net)
皆さん、こんにちは。コモリプロジェクト代表の小森です。これを書いている日はすでに十月だというのに日中は三十度越え、台風が次々にやってきます。先日はクマゼミが高らかに啼いておりました。地球温暖化の進行を肌で感じるとともに、生態系が崩れていることをひしひしと実感します。これはもう地球の生態系を守護する存在がいつ目覚めてもおかしくはありません。ということで、今回取り上げるのは平成ガメラ、なかでも一番好きな『ガメラ2 レギオン襲来』を執筆された脚本家、伊藤和典氏に焦点を当てたいと思います。
この作品が公開されたのは1996年、僕はフリーのディレクターとして過ごしておりました。公共放送のドキュメンタリーや企業の宣伝映像などを作りながら、自分が何を表現したいのかを模索する日々でした。その頃、繰り返し観ていたのは劇場版の『機動警察パトレイバーthe Movie』2作でした。大風呂敷を広げた虚構の世界を緻密に支えるひとつひとつのリアル、それでいて物語は素晴らしいエンターテインメントになっています。伊藤さんの描かれる世界観や手法に強烈に憧れ、どうすればこんな物語が書けるのかをひたすら考えました。そこにドンと『ガメラ2』が公開されたワケです。そりゃもう夢中になりましたよ。レギオンの設定、キャラクターの配置、疑似科学、自衛隊の展開と攻防、そしてガメラの存在。スクリーンを見つめながら何度も手に汗握りました。それから三年後の1999年、『海猿』の連載を開始。以後、『252生存者あり』『DOGxPOLICE』『S最後の警官』などの作品を作り出しました。大風呂敷を広げた虚構の世界を緻密に支えるひとつひとつのリアル、これは伊藤さんの作品に叩き込まれたものです。作り上げるにはとてつもなく労力がいるのですが、今もそれを忘れずに続けられているのはやっぱり好きなんでしょうね、虚構とリアルのギリギリのせめぎ合いが。
伊藤さんとはお会いしたことはありませんが、勝手に弟子の気分でおります。(ご迷惑だったらすみません!)どうかお身体を大切にして、これからも素晴らしい作品を生み出してください。
文/小森陽一
構成・撮影/土井眞一
「Monster Theater 素晴らしき怪獣ガレージキットの世界」発売中!
怪獣ガレージキットを大迫力の特撮写真で小森陽一が解説
小説・文筆家であり怪獣ガレージキットメーカーも立ち上げた小森陽一氏セレクトの怪獣ガレージキット。熱い怪獣愛で怪獣ファンも認める小森氏が、各メーカーの怪獣ガレージキットを塗装完成品と大迫力の特撮写真で解説していく作品集です。
さまざまなガレージキットメーカーの怪獣ガレージキットを円谷特撮作品から厳選して50体、新規撮り下ろしにて掲載。その魅力を小森陽一氏による解説で紹介していきます。
\この記事が気に入った方はこちらもチェック!!/
コモリプロジェクト的遊び
怪獣と情景物は「ツーカー」!コモリプロジェクト的情景空間演出
皆さん、こんにちは。コモリプロジェクト代表の小森です。今回は情景空間演出と銘打って、コモリプロジェクト的遊びをご提案したいと思います。実はちょうど[…]
©KADOKAWA NHFN 1996