HOME記事フィギュアMAGI ARTS社長であり原型師も務める阿純氏に特別取材! メーカーの立ち上げや今後についてなどを聞いた!

MAGI ARTS社長であり原型師も務める阿純氏に特別取材! メーカーの立ち上げや今後についてなどを聞いた!

2024.10.26

フィギュアJAPANマニアックス外伝 月刊ホビージャパン2024年12月号(10月25日発売)

▲『東方Project』シリーズは日本でも販売されている。写真左から「華胥の亡霊 西行寺幽々子」「月時計 十六夜咲夜」「永遠の巫女 博麗霊夢」。いずれも1/6サイズ、それぞれ通常版とタペストリーや色紙がつく豪華版などの仕様は中国のフィギュアメーカーらしいところ


中国のフィギュア事情

市場の現状と対応

 では、現在中国のフィギュア市場はどうなっているのだろうか? そのあたりについても伺ってみた。

阿純:今市場が全体的に落ち込んでいるというのは、日本も中国も同じだと思っています。

 以前、中国ではフィギュアが非常に売れていたが、現在はそのフィギュアバブルははじけているという話は、他メーカーの方からもよく聞く。だからこそ、MAGI ARTSはその中で生き残っていくために人気IPの取得と製品のクオリティに重きを置いているという。

阿純:フィギュアはやはりキャラクター、IPの強さが重要なので、日本の良い作品の版権許諾をどんどん取得していきたいです。

 そして、フィギュア価格の高騰は中国でも起こっているため、よりクオリティに対しての要求も高くなっている。そういったフィギュアのコアなファン層、高価なフィギュアを買う層は当然のことながら価格に見合ったフィギュアを求めるのだ。中国における給与事情を加味すると、人によってはフィギュア1体が月給の1/3も占めるともなればそれも当然のこと。そういったファン層を満足させるものを作らなければならない。

阿純:MAGI ARTSのフィギュアはクオリティが高い! という評判を確立させたいんです。

 現状そういったファン層からの反応は、概ね満足で支持されていると自負しているとのこと。

メーカー

 中国のフィギュア市場は少し落ち込んでいるとは言っても、日本のワンフェスでのメーカー展示や上海ワンフェスなどの様子を見ていると、まだまだ勢いを感じるところ。聞けば、中国のフィギュアメーカーは50社くらいあるのではないかと。ただし、潰れたりできたりと入れ替わりも激しく、製品のクオリティもピンキリ。中国メーカーの最大手としてはAPEX-TOYSがある。中国市場では値段も抑えめで版権取得にも強いので、圧倒的にメーカーとして強いのだとか。その一方ですぐに倒産するような泡沫メーカーもある。日本に進出して名を売ろうというメーカーも近年は増えているが、一方で中国国内だけに留まっているところもあって、日本からではまったく情報が得られないメーカーも存在する。

好まれるフィギュアの傾向

 中国で人気なフィギュアというと、1/4といった大きいサイズのものやベースが凝っている派手なもの、高額アイテムでも投資的な意味合いでよく買われているというイメージがあった。実際のところ中国では派手なものが好まれ、家屋も日本より大きめで飾りやすいから、フィギュアも大きいサイズのものが人気だったのは事実だという。ただ、現在は1/4だとどうしても価格が高くなってしまうので、1/6ぐらいのサイズの人気が上がっているとも。

阿純:1/6で販売価格が2万円を超えるか超えないかぐらいで、さらに動きがあって、躍動感溢れるポーズのものが好まれています。

 日本のフィギュアでは素立ちに近いポーズのものも多いが、中国のファンはそういったものより動きの大きなものを好む傾向があるようだ。

海賊版

 中国のフィギュア事情を語るときに避けて通れないものとして、コピー品、海賊版というものがある。ガレージキットのコピー品、完成品フィギュアのコピー品、ガレージキットからの勝手な完成品フィギュア化、サンプル写真を見ての目コピー完成品化など、昔からさまざまなやり方で海賊版が出てきていた。近年はデジタル技術がそこにも導入されてより巧妙なやり口も。さらには、フィギュアとしては何かのコピーではなく独自に原型を作っているものの、版権は取得していない海賊版がこのところかなり増えている。
 残念ながらこういった海賊版はまだまだ蔓延っている。ただ、間違いなく以前に比べれば正規のものを求める人も増えているし、ちゃんと版権取得を行うメーカーも増えているという。

阿純:民度が上がったというか、ちゃんとしたものを作りたいという人が増えてきていると思います。

 他の国、他の業界においても民度が上がるにつれて海賊版が減っていった例もある。また海賊版を作っていたところが正規の商品を出すようになることも。中国でのイベントの様子やネットの状況を見ているとまだまだとも感じるが、今後に期待したい。

阿純氏に聞く!

今後やりたいことは?

 MAGI ARTSとしてのブランドイメージをさらに高めたいです。これは、日本においても、中国においてもです。なので、売上はそんなに見込めなさそうでも、“これをやると会社として箔がつくな~”と感じたらやっていきます。今後もそういった企画があれば、利益が出なくても積極的に挑戦したいと思っています。

あなたにとってフィギュアとは?

 私にとってのフィギュアとは、子供の頃に得られなかった夢の実現ですね。子供の頃に買えなかった、手に入れられなかったものを、大人になった今手に入れる。その夢を実現しているんです。

▲イラストレーターコラボのオリジナルフィギュア各種と、7月のワンフェスでの展示。ワンフェスでは、あみあみブースの一角で展示が行われていた。なお、10月の上海でのワンフェスでは単独ブースで出展しているので、その時の様子はP.237でチェック!

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