色と装備の変更で「スコープドッグII」を再現! アニメ画面のイメージで仕上げる!【サンライズ・メカニック列伝】
2024.09.24サンライズ・メカニック列伝 第66回/ATM-09-SA スコープドッグII【ウェーブ 1/24】●田仲正樹 月刊ホビージャパン2024年10月号(8月23日発売)
[腕部]
肩ブロックと上腕外装は頭部と同様にディテールを整理。前腕側面の部品はエポパテで裏の肉抜きを埋め、ヒジ関節内とアームパンチ機構の隙をなくしている。拳は肉抜き穴を埋め、成型都合で浅くなっている一部のモールドを彫り直した
[脚部]
太モモは分割面に1mmプラ板を接着して幅増し。ヒザ関節内には0.5mmプラ板を接着して空間を隠した。ヒザ装甲やふくらはぎなどのリベットモールドは一部を整理。ヒザ関節裏の装甲と、足首関節前後の各装甲は裏面をエポパテで埋めている
[武装類]
SAT-03ソリッドシューターは2005年発売のウェーブ1/24スコープドッグターボカスタムから流用。ブロックごとにバラしたあと、円錐部を市販のバーニアパーツの輪切りに交換し、精度を向上させている。グリップはR3ウォーカーギャリアのバズーカのもの、フォアグリップ基部はMGキットの武装の可動部をそれぞれ移植。両方を可動式にアレンジすることで構えやすくした。イプシロンとの最終決戦での使用が印象的なGAT-22Cヘビィマシンガン改は肉抜きを埋めてグリップを後ハメ化。補足だが通常のGAT-22ヘビィマシンガンとは配色が一部異なるので、製作の際にはご注意を。持ち手はソリッドシューターにキット付属のものを、ヘビィマシンガン改にウェーブ旧1/24スコープドッグ用アップデートセットに付属のものを使用している。宇宙戦用ザック ラウンドムーバーはSAKのラウンドムーバータイプスコープドッグから流用。新1/24の背部に装備できるように接続部を加工し、ネオジム磁石を内部に固定した。形状は基本的にキットのままだが、12個のバーニアはフチが厚く合わせ目消しも困難なため、すべて市販パーツに交換。推進剤タンクは塗装後に組み込めるように分割位置を変更し、パイプをスプリングに置き換えている
[パイロットフィギュア]
キリコのフィギュアは前腕とヒジをつなぐコードをエナメル線に置き換えてディテールアップ。操縦席とはネオジム磁石で接続している。「SAKブルーティッシュドッグ付属のフィアナを乗せられるように加工していたのですが、惜しくも時間切れでした」とのことで、操縦桿基部がSAKのものに置き換えられている
■後継者
引き出しを見ると開けてしまうサンライズメカファンのみなさんは、1983年発売のタカラSAK版1/24スコープドッグを作ったことがあるはず。奇跡と言っても過言ではない完成度が現在でも高い評価を得ている名作ですが、2023年末に登場したウェーブの新1/24は作りやすさ、モールドのシャープさ、可動範囲の広さでかの名作を上回っています。フォルムについてはアレンジの効いたSAKとはまた違った王道の格好よさがあり、高いAT経験値を持つメーカーならではの安定感、安心感を覚えました。「SAKと箱の上面積が同じだから収納しやすいなあ」などと言って積んでおくのはそれほど楽しくないので、入手したらすぐに作りましょうね。
作例は色と装備変更でスコープドッグⅡとして作っています。好みで太モモの幅増しをしていますが、他の箇所はほぼキットのまま。アンテナをシャープ化し、ヒジ関節やマシンガンのグリップ周辺の肉抜きを処理すると完成度はさらに高まります。個人的に気になったのはリベットのモールド。リベットを使えば溶接するよりも簡単に金属板同士を接合できますが、分解する際はドリル等でリベットを1本ずつ破壊する必要があり、強度面では溶接に劣ります。そのため「この部分は整備する時に外れるほうがいいから、リベットでは留めないんじゃないか」「ここは強度が必要だから溶接をしているんじゃないか」と考えた箇所のリベットモールドは削っています(肩装甲のフチを金属板で補強したり、各部の装甲板の表面に金属板をもう1枚重ねたりするのにリベットを使うのは「もう外さない」ので問題ないのです)。ラウンドムーバーはタカラSAKから、ソリッドシューターはウェーブ1/24ターボカスタムから流用。ザックの装備で全体の印象がガラッと変わるのが本当に楽しく、すぐに紫の降下部隊機も作りたくなりました。
■濃緑
本体色は市販の塗料やスプレーから「この色だ!」というものを見つけるのが一番よいのですが、作例はタカラ刊「デュアルマガジン」第8号および、みのり書房刊「ボトムズ・オデッセイ」掲載の劇中画像を参考に調色。イエローにスージーブルー、オレンジ、純色グリーンを混ぜ、ハーマンレッドとクールホワイトで整えました。ラウンドムーバーは自作の青紫系グレー。劇中ではもっと明るいのですが、本体とのバランスをとる意味で少し暗くしています。付属のデカールを少々貼り、スミ入れをしたあとに、半光沢とツヤ消しを混ぜたクリアーで塗膜をコートして終了です。
オープニングやウド編のインパクトが強すぎて「ATはどの機体も汚れてボロボロである」と考えがちですが、実際に本編に登場するのは整備が行き届いているはずの機体や新品が多いので、無理に汚しを入れる必要はありません。もちろん「新型ATは酸の雨に打たれた状態にしてはいけない」といった決まりもないので、他の機体のキットも含めて、好きなように塗って楽しみましょう。
次回は海中での名シーンが記憶に残る、あのメカの作例が登場します。
ウェーブ 1/24スケール プラスチックキット スコープドッグ 使用
ATM-09-SA スコープドッグII
製作・文/田仲正樹
「サンライズ・メカニック列伝 ダブル・リバイバル編」発売中!
古今東西のサンライズメカ作例集、待望の第2弾! 多彩な作品から30体以上が参戦!
ホビージャパン本誌にて連載している「サンライズ・メカニック列伝」のムック化第2弾です。『伝説巨神イデオン』『戦闘メカ ザブングル』などコーナーのレギュラー作品に加え、『太陽の牙ダグラム』『疾風アイアンリーガー』『コードギアス 反逆のルルーシュ』など、魅力的なサンライズ作品から幅広くメカ作例が集まっています。コーナー中のディープな工作&解説テキストも含めた再録に加え、設定画も追加掲載。『機甲戦記ドラグナー』より、単行本だけの作り起こし作例も予定しています!
ⓒサンライズ
田仲正樹(タナカマサキ)
AT輸送用トラック、AT用自走砲、ギルガメス戦闘機、テルタイン等の消しゴムを押し入れから発掘。ATは全然出てこない。