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メカコレクション 1/144 RX-78-2 ガンダム(REVIVAL Ver.)開発者インタビュー! 「リバイバル」への思いを聞いた

2024.09.21

ベストメカコレクション 1/144 RX-78-2 ガンダム(REVIVAL Ver.)開発者インタビュー 月刊ホビージャパン2024年10月号(8月23日発売)

ベストメカコレクション
1/144 RX-78-2 ガンダム(REVIVAL Ver.)

開発者インタビュー

BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン 開発担当 野澤美奈とベストメカコレクション 1/144 RX-78-2 ガンダム(REVIVAL Ver.)

 元祖ガンプラであり、ガンプラファンの象徴ともいえる存在として長きにわたって愛され続けている「1/144 ガンダム」。「初めて接着剤を使って組み立てた」、「初めて塗装にチャレンジした」、「初めて改造してみようと思った」など、往年のガンプラファンにとっては思い出深いアイテムが、形状は当時のまま、多色成型やスナップフィットなど、現在のスタンダードな技術を取り入れる形で「ベストメカコレクション 1/144 RX-78-2 ガンダム(REVIVAL Ver.)」として生まれ変わる。「ガンダム45周年」アイテムにふさわしい、まさに「リバイバル」感があふれるキットは、どのようにして誕生したのか? 企画・開発を担当したBANDAI SPIRITS ホビーディビジョンの野澤美奈氏に話を聞いた。

BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン 開発担当 野澤美奈

BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン
開発担当 野澤美奈

聞き手・文/石井誠


「あたりまえだけど、ガンプラにとっては大切な技術」に再フォーカスして、それをもう1回皆さんに体験していただきたいという思いはあります

──今回のベストメカコレクション 1/144 RX-78-2 ガンダム(REVIVAL Ver.)は、どのような経緯で企画がスタートしたのでしょうか?

野澤 これまでの周年ごとに発売されるガンプラは、技術の進化をうたっているものがほとんどでした。そうなると、外観やプロポーションが格好よくなったり、各部のハッチが開くとか、そうした新しいアプローチとして「形」が変わることがメインだったわけです。でも、今の技術だったら中身は変わっても「形」をそのまま残すこともできるし、その結果よりしっかりと技術自体を見てもらえるのではないかと。そういう考えが発端となってスタートしました。
 そこで、その意図に沿ってどの機体にするかと企画を進めるなかで挙がったのが、この旧キットであるベストメカコレクションの「1/144 ガンダム」でした。私自身も仕事を通していろんな方にお会いするなかで、「このキット、昔は組んでいたよ」と言われることが多く、最初に発売されたガンプラということもあって、皆さんにとっては思い出深いキットであることはよく知っていました。「ガンダム45周年」に合わせて、最新技術を盛り込んだRG RX-78-2 ガンダム Ver.2.0も発売されるということで、その対比にもなるという部分でも旧キットをリバイバルのアイテムとして選ぶ意味があると思いました。

 
──初期のガンプラに触れた世代にとっては、ものすごく思い出の詰まったキットであることは間違いないですね。

野澤 イメージとしても「ガンプラといえばこれ」と取り上げられることが多いですからね。そして、この形状自体が一周回ってすごく受け入れられているようにも思っていたんです。ガンプラの進化が進むなかで、一時期は「ちょっと不格好だよね」というイメージを持たれながら、今は受け入れられて、愛されている象徴みたいになりつつあるというのを感じられたのも、このキットを選んだ理由です。

──商品の企画開発は、どのような形で進められたのでしょうか?

野澤 この商品の企画を通すまでに苦労もしまして、社内のプレゼンもいろいろ練り直しながら5回くらい繰り返しました。社員も含めて、ものすごく思い入れのあるキットなので、いろんな意見やアイデアが出てきまして、それをまとめるのが大変でした。どのくらいの塩梅で新しくして、どこを残すのかというのは、部署内でも侃々諤々とお話ししたりしています。
 商品開発の作業として、まずは旧キットをデータ化するところから始まりました。旧キットは金型は存在しているのですが、立体のデータは存在しないので、高精度にスキャンをして、それを復元するように金型を新しく起こしています。すでに金型があるものを、完全に作り直すわけですから、設計側も苦労したのではないかと思います。

──商品の仕様としてはシンプルな形に落ち着いたと思いますが、先ほどの社内での意見はどのようなものがあったのでしょうか?

野澤 REVIVAL Ver.は旧キットと同じくらいしか可動しないんです。企画を進めるなかで、「形はそのままで今の技術で可動範囲や可動箇所を増やすことはできないのか?」という意見や「エッジ部分などをもっとシャープにしたほうがいいんじゃないか?」というような意見もありました。そんななかで、まずはこの形そのままが一番いいというところからブレないようにしつつ、可動に関しても当時のままにすることで、もっと技術的な面に着目してもらえるんじゃないかと考えていました。あとは、組み立てることで「そうそう、こうだったよね」ということを思い出してもらえる要素も残すことにこだわりました。一方で、旧キットでは、腕や脚にパーツの合わせ目ができてしまっていたのですが、今回はそれが一切ない。そういう部分はしっかりと今の技術を見せるようにしています。

──旧キットは可動部分や可動範囲が少なく、当時はどうやって劇中に近い形で可動させるかという「改造」をしていた方も多いので、企画としてそうした要素を足したいという意見も分かります。

野澤 企画の意図として、ノスタルジックさも感じてほしいというのが大きなテーマとしてあったので、そうした部分はちょっと外しています。すべてを新しくしたからいいということではなく、やはり当時思っていた不満な部分も思い出として甦らせてほしいなと思っています。

──その他に、現在の技術を取り入れた要素についてはどのように考えられているのでしょうか?

野澤 「イロプラ」と呼ばれるガンプラの多色成型技術はもちろん、スナップフィットやタッチゲートなどに関しては、ガンプラに親しんでいるユーザーにとってはあたりまえになっているものですが、昔はガンプラを組んでいたけどその後離れていった方にとっては結構驚きだと言われることが実は多いんです。その「あたりまえだけど、ガンプラにとっては大切な技術」に再フォーカスして、それをもう1回皆さんに体験していただきたいという思いはあります。

──購入する年齢層など、ターゲット的にはどのように考えて企画されたのでしょうか?

野澤 まずは少年時代にリアルタイムで当時のキットに熱狂していた方たちに手に取ってほしいという思いがあります。旧キットでよく聞くのは、肩の関節部分が難しくて、接着剤を付けすぎて動かなくなったという話で(笑)。それを体験した方が、REVIVAL Ver.を組んで「すごく組みやすくなってる!」と感動しつつ、苦労していた子供の頃を思い出してほしいですね。

──その失敗は、旧キット組み立て経験者の「あるある」ネタですからね(笑)。そうなると、40代以上がターゲットということでしょうか?

野澤 そうなります。なので、よくガンプラを組んでくださっている方には、改めて旧キットの形に新しい技術を組み込んだ部分を味わってもらいつつ、久しぶりにガンプラを手にする方には、技術の進化に加えて、またプラモデルに復帰するきっかけになってもらえるといいなと思いますね。

©創通・サンライズ

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