HOME記事スケールモデル太平洋戦争のなかで激戦に身を投じ続けた金剛型戦艦一番艦「金剛」の戦跡を美麗“カラー”写真とともに知ろう!【日本海軍艦艇カラーガイド1 日本の戦艦12隻】

太平洋戦争のなかで激戦に身を投じ続けた金剛型戦艦一番艦「金剛」の戦跡を美麗“カラー”写真とともに知ろう!【日本海軍艦艇カラーガイド1 日本の戦艦12隻】

2024.08.30

日本海軍艦艇カラーガイド1 日本の戦艦12隻

戦艦金剛の戦跡

戦艦金剛要目

「日本海軍艦艇カラーガイド1 日本の戦艦12隻」掲載金剛型戦艦一番艦「金剛」の写真4

竣工時

[基準排水量]26,330t
[全長]214.58m
[最大幅]28.04m
[喫水]8.22m
[速力]27.5kt
[主缶]ヤーロー式混焼缶36基
[主機]パーソンズ式直結タービン2基4軸
[出力]64,000hp
[航続距離]14ktで8,000海里

[装甲]舷側203.2mm、下甲板19mm、最上甲板38mm、砲塔防盾254mm、司令塔254mm
[乗員]1,259名

[武装]
45口径35.6cm連装砲4基8門
50口径15.2cm単装砲16基16門
40口径8cm砲8門
短8cm砲4門
53cm水中魚雷発射管8門

最終時

[基準排水量]32,720t
[全長]222.05m
[全幅]31.04m
[喫水]9.6m
[速力]30.0kt
[主缶]ロ号艦本式缶8基
[主機]艦本式ギヤードタービン4基4軸
[出力]136,000hp
[航続距離]18ktで10,000海里
[装甲]舷側203.2mm、下甲板95-108mm、最上甲板38mm、砲塔防盾254mm、司令塔254mm
[乗員]1,250名

[武装]
45口径35.6cm連装砲4基8門
50口径15.2cm単装砲8基8門
40口径12.7cm連装高角砲6基12門
25mm 3連装機銃18基54門
25mm連装機銃8基16門
25mm単装機銃30基30門

[搭載機]水上偵察機3機
[射出機]呉式二号射出機1基
[電探]二一号電探1基、二二号電探2基、一三号電探1基


金剛の艦歴


新造時の金剛

「日本海軍艦艇カラーガイド1 日本の戦艦12隻」掲載金剛型戦艦一番艦「金剛」の写真6

 新造時の金剛のシンプルな姿。古き良き巡洋戦艦の姿である。新造時の金剛は世界的に見ても有力な巡洋戦艦であり、第一次世界大戦で英海軍が供与もしくは欧州派遣を求めたことも理解できる。

第一次改装直前の金剛

「日本海軍艦艇カラーガイド1 日本の戦艦12隻」掲載金剛型戦艦一番艦「金剛」の写真7

 改装によって防御を強化して「戦艦」となった金剛の姿。複雑化したマストは新造時よりも重厚で近代的な印象だが、扶桑型、伊勢型と比較すると指揮装置などを近代化しても主砲火力の貧弱さは否めない感がある。その後の運用研究で貧弱な戦艦として主力部隊で運用するか、リスクをとって前衛で運用するかが問われる理由でもある。

レイテ沖海戦の金剛

「日本海軍艦艇カラーガイド1 日本の戦艦12隻」掲載金剛型戦艦一番艦「金剛」の写真5

 レイテ沖海戦時の空襲下での金剛。同艦は作戦の帰路、潜水艦の雷撃によって沈没しているので、これが最終時の姿となる。10月24日の空襲時、栗田艦隊は戦艦を中心とした二つの輪形陣で前進していた。金剛は榛名、護衛艦艇と共に輪形陣を組み、大和、武蔵、長門を中心とした輪形陣の前方に位置していた。

太平洋戦争のなかで激戦に身を投じ続けた金剛

 金剛は大正2(1913)年に竣工し、日本人乗員によって回航された。大正3年に勃発した第一次世界大戦時には、英海軍からの貸与の申し入れを拒否。大正4年に日本が対独参戦した後の青島攻略作戦には、比叡と共に第一艦隊に区分され出撃に備えたが、交戦の機会はなかった。第一次世界大戦後の戦間期に、日本は中国との間にしばしば武力衝突を起こしているが、金剛に出番はなかった。大正12年の摂政宮殿下(後の昭和天皇)の台湾行幸に際して御召艦を務めたが、金剛の艦歴で天皇御召艦を務めていないので、これは珍しいエピソードである。
 昭和16(1941)年12月の太平洋戦争開戦時、金剛は姉妹艦の榛名と共に南方攻略作戦に従事。マレー上陸作戦では、日本船団を捜索する英艦隊に接近する局面もあったが、夜間だったために行き違っている。
 南方攻略作戦後の昭和17年に実施されたインド洋作戦には金剛型4隻が揃って参加し、金剛、榛名はクリスマス島攻略を支援し艦砲射撃を実施。6月のミッドウェー海戦にも出撃しているが、活躍のチャンスはなかった。同年8月にソロモン方面の戦いが始まると、トラック環礁に進出。10月13日には榛名と共にヘンダーソン飛行場砲撃を実施、米軍飛行場の航空機に大損害を与えた。10月26日の南太平洋海戦では空母の前方に展開、航空戦で損傷した米空母ホーネットの撃沈に寄与した。
 昭和19年6月のマリアナ沖海戦は、航空戦の敗北のため対空戦闘を行ったのみである。対空兵装を増強して臨んだレイテ沖海戦では、栗田艦隊の一隻としてレイテ湾を目指した。サマール島沖で米護衛空母部隊との水上砲戦では護衛空母ガンビア・ベイに肉薄、主砲による射撃で撃沈に寄与した。レイテ突入を諦めた栗田艦隊は内地帰還を目指したが、金剛は11月21日、台湾沖で米潜水艦の魚雷2発を左舷に受けて沈没、その生涯を閉じた。


 全3回でお送りいたしました金剛型戦艦一番艦「金剛」の記事はいかがでしたか。金剛以外の戦艦についても詳しく知りたいという方は、ぜひ「日本海軍艦艇カラーガイド1 日本の戦艦12隻」をご覧になってみてください。こちらでは今回ご紹介した金剛以外にも大和や陸奥などの非常にバラエティ豊かな写真と詳細解説を取り揃えております!

■「日本海軍艦艇カラーガイド1 日本の戦艦12隻」

ダイアクロンワールドガイド ロボットベース計画 表紙

 終戦から79年。現在もなお、研究家たちの手で太平洋戦争当時の艦艇の研究が続けられており、日々多くの資料が発見されています。また、新たな知見とコンピュータによるフルカラー彩色が施された写真など、さまざまな表現手段も登場してきています。
 いよいよ発売される『日本海軍艦艇カラーガイド1 日本の戦艦12隻』は、そうした「新発見の資料」と「考証をもとにデジタル彩色された写真」で構成される、令和時代にふさわしい「フルカラービジュアル艦艇百科」です。
 第1巻は、大和、長門、伊勢、金剛といった、日本海軍が誇る12隻の戦艦を総力特集。12隻がそれぞれたどった戦史や外観の変遷、機体色、武装要目などをイラストとカラー写真で丁寧に解説。さらに、太平洋戦争以前に日本海軍に所属していた歴代の戦艦や、同時代を戦った海外戦艦たちのプロフィールも収録! この1冊を読めば、戦艦のことをもっと好きになれることうけあいです。
 「もっと読んでみたい!」と思っていただけた方は、どうぞ本書をよろしくお願いします!

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