▲引き出しアームは本体接続部で横方向への展開と上下角度の変更、クローラー側で縦軸回転と上下スイング、前後方向へのスライドが可能になっている

▲車体内部の引き出しアームはプラ棒、プラパイプ、プラ板などを組み合わせて製作。引き出しアームを収納する車体内部は、開いたときにスカスカに見えないようにプラ板、プラ材で隔壁や構造材を追加。ジャンクのフレームパーツを貼り付けてメカモールドらしく見せている

■出来損ないではないぞ！
　今回はRG RX-78-2 ガンダム Ver.2.0特集に合わせて、その脇を固める1機「ガンタンク」を担当させていただきました。飛んだり跳ねたりするガンダムに比べれば、ガンタンクは地を這う鈍重なイメージで、劇場版では宇宙に上がるときにガンキャノンに変わってしまう気の毒なポジションですが、戦車型メカは王道のひとつですし、しかも頼れるハヤト＆リュウのコンビが搭乗するので、非常に心強く好きなメカでもありました！　なんといっても大砲をブッ放しながらダラララ…と砂煙を上げて進撃する姿は問答無用の男のロマン〜!!　もし誰かが「宇宙でタンクなんてナンセンス！」というなら言い返しましょう「そもそも脚なんて飾りです！」（←爆）

■まだまだ現役！
　さて、1/144のガンタンクは『機動戦士ガンダム』で活躍した人気MSであるにもかかわらず、HGUCシリーズ初期に出たっきり（No.7）のベテランキットであります（『THE ORIGIN』版の初期型はあるけど別物ですし）。なので、誰しも夢見る「V作戦」3機そろい踏みを実現させるためには、このHGキットをアップデートするのが必須であります！　幸い、初期のHGUCはカトキハジメ氏がリニューアルデザインを担当していて、非常にまとまりのあるリアルな形状になっており、スタイリングだけなら後発の究極可動を盛り込んだMG ガンタンクと比べても遜色ない出来。ギミックにこだわらなければディテール工作などで割と手軽に最新キットとも並べられると思いますので、チャレンジしてみるといいでしょう！

■ギミックも頑張っています！
「RG ガンダム Ver.2.0と並べられるガンタンクを！」というオーダーだったので、本作例ではギミックにもこだわっています。やはり目玉はMG風クローラーユニットの引き出し＆独立可動ですね。ただし、側板から転輪が直接生えているのは強度的に不自然なので、サスペンション風メカを自作して間を持たせています。引き出しブロック他、車体内部メカもプラ板・プラ材・ジャンクパーツなどで自作。通常では見えないところまで頑張っています（←パチパチ…）。上半身の首、肩、腹部関節は最近のHGキットにならって自由度をアップ。ABSパイプとボール軸の組み合わせによる引き出し式ボールジョイントが一番シンプルで作りやすく便利なので多用しています。

■戦車は根気！
　ガンタンクは頭部で直接観測・照準する有視界の長距離砲戦に特化したメカなので、座高は高いほど有利……と、理屈をこねておいてプロポーションを好みで変更！　腹部の延長、胸部の前後幅増し、フンドシのボリュームアップ、ランドセルの延長などなど。細かなところですが、キットのハヤト君がとてもおおらかな造形なので、交換または細かく彫刻してやると精度アップにとても有効です。全体的に「貼り」や「彫り」でモールドを追加して武骨感を出し、履帯はプラ板＆伸ばしランナーのチップディテールを追加しました。

■汚しの似合うメカですが…
　RG ガンダム Ver.2.0と並べたときに1機だけ浮かないように、今回は「重量感＋清潔感」をモットーに仕上げています。
青＝キャラクターブルー＋ティターンズブルー2
赤＝キャラクターレッド＋白
黄＝キャラクターイエロー＋白
　グレー3色＆白は、サーフェイサーベースの混色で表面処理兼用といったカラーで基本塗装して、アクリル絵の具の赤茶色でウォッシング。ただし、拭き取りにメラミンスポンジを使って強めに落としています。MG ガンタンク用のデカールで小さいものをメインにマーキングを施し、ツヤと濃さを調整したスーパークリアーグレートーンで調子を整えて完成であります。

BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット “ハイグレードユニバーサルセンチュリー”

RX-75 ガンタンク

製作・文／木村直貴

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