FIAT 131 ABARTH RALLY
2021.04.03傑作ラリーカーをフルディテールアップ!
F1マシンのイメージの強いタミヤのグランプリコレクション唯一のラリーカー、「フィアット131 アバルト ラリー」が久々の復活。アリタリアカラーの1978年チャンピオンマシン、1980年のチャンピオンマシンに続いて、今回はWRC初参戦の1976年から77年に投入されたOLIO FIATの鮮やかなカラーリングが新規に再現された。今回はこちらのキットを本誌初登場となる廣村英治が製作。内装からエンジンまで再現されたキット本来のポテンシャルをさらに引き立てるディテールアップで見ごたえたっぷりの一台に仕上げた。
FIAT 131 ABARTH RALLY
70年代前半のWRCにおいて、圧倒的な強さを見せたランチアストラトスHFにも陰りの見え始めた1976年、フィアットはフィアット124 アバルト ラリーの後継として、新たに「フィアット131 アバルト ラリー」を投入した。ベース車は1974年にデビューした同社のファミリーカー「フィアット131」。1966年に登場し、高い評価を受けた成功作、フィアット124の後継車ではあるものの、見た目も性能も取り立てて特徴のないセダンだった。しかし、開発を担当したアバルトのチューンによって、最高出力215馬力のパワー、実戦を意識した信頼性の高いサスペンション、徹底的に軽量化されたボディを備えた一流のWRマシンに仕上げられると、瞬く間に高い戦闘力を発揮。1977年、1978年、1980年と3度のワールドチャンピオンを獲得し、70年後半のWRシーンを席巻した傑作マシンとしてその名を残した。
■ボディ
可動するボンネットとトランクは調整が必要です。特にボンネットの仮組みはシャシーや三角形の補強バーを付けて確認することが大切です。金型の年代も古くなりますのでパーティングラインの確認も念入りに。また、ボディは開口と金属メッシュの追加を行っています。ルーフスポイラーの取り付けはそのままでは強度的に不安でしたので、実車風の3点留めに変更しています。
塗装はフィニッシャーズのファンデーションクリームをベースに、TS-47クロームイエローとTS-55ダークブルーを瓶出ししてエアブラシで塗装。ブルーの色が少し暗めと思いましたので濃くなり過ぎないように注意して塗装しています。
■エンジンルー
各部を煮詰めてアバルトチューン最高出力215馬力のエンジンを表現していきたいと思います。行った工作は以下の通り。
●プラグコードの太さ変更、4気筒エンジンの標準的な点火順序1-3-4-2に。
●デストリビューターのプラグコードが入る所の形状をプラ棒を使い変更、色は調色して色感と質感を追求。
●インジェクションポンプからノズルへの燃料配管を追加しガソリンで着色された雰囲気も表現。
●ウォッシャータンクの吊り下げ金具に金属表現を追加。並びにモーターの配線やホースの追加。
●ラジエターリザーブタンクにLLC(ロングライフクーラント)表現の追加とラジエターからのホースの追加。
●オイルキャッチタンクへのシリンダーブロックからのブローバイホースの追加並びにオイルキャッチタンクへのオイル着色表現。
インテークマニホールド(パーツC41)の押しピン跡が目立ちますので処理はお忘れなく。
■室内
スイッチやツマミをメインに形状変更しています。シートベルトは後ろ側が省略されていますので、モールドを削り落として標準的な4点式のシートベルトを作成し、シートサイドには腰ベルトが通る穴を開口しています。
コ・ドライバーの顔は少しドライバー側を向くようにセッティングするとリアリティーがアップすると思います。
■シャシー
マフラーに軽く焼け表現をして出口の肉厚を削り薄くします。マフラー出口への加工は後ろから見た時に効果的ですのでお忘れなく。フロントのアンダーガードとデファレンシャルのガードは少し擦れた跡を汚しで追加していますがボディのきれいさに合わせて軽めにしてます。
ホイールはメッキを落として落ち着いたシルバー(GSIクレオスの8番を選択)に塗装後ゴムタイプのエアバルブ表現の追加。トランクにも関連しますがトランクを開けた時に見る角度によっては地面が見えてしまうのでインナーフェンダーにプラ板を接着し隙間をなくしています。
後ろのマッドガードですが今回はまっすぐ下になる方向を選択し、外側の断面は厚みが気になりますので薄く見えるように加工しました。
■トランク内
燃料タンクへの追加表現をメインにフューエルポンプのホース類を追加してタンクキャップ部にドレーンホースを追加。バッテリーは配線の追加と金属線で作った保持金具を追加しました。エアバルブ表現を追加されるのならスペアタイヤもお忘れなく。
■最後に
1/24よりサイズは少し大きいので、エンジンのディテールアップ等作業しやすいと思います。この機会にチャレンジされてみてはいかがでしょうか?
前後バンパーレスで大きく張り出したオーバーフェンダーが格好良いですね!
タミヤ 1/20スケール プラスチックキット
フィアット131 アバルト ラリー
製作・文/廣村英治
1/20 フィアット131アバルト ラリー OLIO FIAT
●発売元/タミヤ●4840円、発売中●1/20、約20.8cm●プラキット
廣村英次(ヒロムラエイジ)
長年の自動車整備の経験を活かしたカーモデル製作を心掛けています。普段はフェラーリを作ることが多いですが今回の製作でラリーカーに目覚めるかも?(笑)