『銀河漂流バイファム』の名脇役、ククト軍機動兵器「バザム」を徹底工作! 設定画のイメージに近づける【サンライズ・メカニック列伝】
2024.06.18サンライズ・メカニック列伝 第63回/ARV-C アストロゲーターラウンドバーニアン バザム【BANDAI SPIRITS 1/144】●田仲正樹 月刊ホビージャパン2024年7月号(5月24日発売)
ARV-C バザム
(『銀河漂流バイファム』より)
サンライズ作品に登場する数多のメカを模型作例で再現し、改めてその魅力を探る連載企画「サンライズ・メカニック列伝」。今回は『銀河漂流バイファム』から、ククト軍機動兵器「バザム」の1/144作例をお送りしよう!
ククト軍ARVの中でも特に重装甲を誇る機体がバザムである。腕部大型砲、4連装ロケットランチャーなどの大火力を備え、背部ブースターロケットにより空中の行動も自在。頭部には伸縮アーム付きのカメラ・アイをはじめとした各種探知センサーを装備し、偵察・索敵・調査行動に活躍する。本編では第7話のみの登場だが、ベルウィック星の廃墟で迷子になったルチーナ・プレシェットがバザムのカメラ・アイに発見されそうになるシーンのインパクトは、今なおファンの語り草となっている。
作例は田仲正樹が私物を3セット投入して製作。曲面の表現が巧みなキットのパーツ形状を活かしながら、主に胴体と脚部の形状変更によって全身のバランスを調整。横幅が広いキットの体型を、スマートさと重量感の両方を合わせ持つ設定画のイメージに近づけるべく、徹底工作を行っている。
[製作途中状態]
素組み
作例
1/144バザムはキット単体で見ればフォルムのまとまりはよく、曲面の表現の巧さや、つま先をハの字に開くことが可能な関節機構などが現在でも高い評価を得ているが、設定画や作画によく似ているとは言い難い。作例は「フォルムを縦長に変更しないと設定の雰囲気が出ない」と考え、各パーツの形状を可能なかぎり活かしながら、胸部の形状変更と股関節ブロックの幅詰め、脚部の延長によって全身のバランスを変更し、さらに関節機構を刷新したもの。キットのストレート組みでは満足できないバザムマニアの読者諸氏においては、ぜひ本作例を参考に徹底工作に挑戦していただきたい
[頭部]
劇中作画の印象より大きく感じられるため、縦に3分割して計2mm強横幅を詰め、さらに接着面を1mm削って小型化。額の丸モールドは市販パーツでシャープ化しつつ、より奥まった位置に配置。中央カメラの内部には1/144ゼータプラスのディスクレドームを加工して接着しデコレート。カメラカバーは適当なブリスターパックをヒートプレス加工したものでクリアー化した。サーモセンサーは市販のレンズパーツと1/20グローサーフントの透明パーツを組み合わせて新造。中央下部のダクトはHGUC量産型ザクの口部ダクトに交換し、カメラ・アイを差し込むための真鍮パイプを配した。その両脇のダクトはプラ板で新造し形状を変更している
[胴体]
胸部は前面の角度を垂直に近づけるよう加工しつつ、上下左右に幅増しして形状を縦長に変更。首関節はHGUCグフカスタム、肩関節はHGガンキャノン(№190)のものを移植してボールジョイント化。腰はキットの部品をゲージに使い、横幅を詰めたものをプラ板で新造。股関節はHGギラ・ズールのものに交換して可動範囲を拡大させた
[背部ロケットエンジン]
胴体との接着面を1mm強削り込んで全体を薄く加工。上面の4連装ロケットランチャーはドリルとリーマーで開口し、弾頭ともフタとも解釈可能なディテールを配した。動力パイプはアルミ線を芯にしたスプリングに市販のパイプパーツを被せたものに交換し、ディテールアップ。左右のバーニアアームはキット2セットぶんを重ねて接着し、厚みを出している
[脚部]
太モモ上部はエポパテで側面の丸みを強調し、形状を設定画に近づけた。太モモ下部は細くなるようにくさび形に幅を詰めてエポパテで形状を整え、横ロール機構を追加。ヒザ装甲は横に1.5mm幅増し。スネブロックは上面にプラ板を接着して上下に2mm延長。ヒザと足首の各関節にはHGガンキャノン(No.190)のものを移植し、保持力と接地性を向上させている。足の甲と靴の部分はいったん切り離して整形後に再接着。つま先はエポパテで前方に延長して設定画の雰囲気に近づけた
ⓒサンライズ
田仲正樹(タナカマサキ)
単行本「ダブル・リバイバル編」のズワイの記事ではあんなことを言っていますが、よく考えたらひどい花粉症でしたとのこと。