HOME記事スケールモデル30年近く運用された海上自衛隊大型ヘリ「MH-53E シードラゴン」をハイスペックなディテール満載で作り上げる!

30年近く運用された海上自衛隊大型ヘリ「MH-53E シードラゴン」をハイスペックなディテール満載で作り上げる!

2024.06.11

海上自衛隊 MH-53E シードラゴン【モノクローム 1/48】●ハルサー 月刊ホビージャパン2024年7月号(5月24日発売)

ハルサー作例「海上自衛隊 MH-53E シードラゴン」

災害救助にも活躍した海上自衛隊大型掃海ヘリ

 海上自衛隊に1988年から11機が導入された掃海ヘリコプターがMH-53Eシードラゴンである。KV-107 IIに代えて導入されたが、最大離陸重量は約3倍に大型化されたことでさまざまな機雷掃海具の搭載が可能となった他、乗員41名の搭乗も可能だった。2017年までに全機が退役したが、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震では災害救助や物資輸送に従事している。モノクロームがリリースしたこの海自大型ヘリ1/48キットを、ハイスペックのディテール満載で作り上げる!

ハルサー作例「海上自衛隊 MH-53E シードラゴン」俯瞰
ハルサー作例「海上自衛隊 MH-53E シードラゴン」リア
▲シコルスキー社の輸送ヘリCH-53Eを米海軍向けに機雷掃海型としたのがMH-53E。胴体両側面のティアドロップ形スポンソンが外観上の大きな違いとなる
ハルサー作例「海上自衛隊 MH-53E シードラゴン」全体
▲キットは作例のように後部ランプに掃海用アパチャーガードを付けた掃海機の他、輸送機としても製作が可能。マーキングは海自機5種類を用意する
ハルサー作例「海上自衛隊 MH-53E シードラゴン」3基のエンジンを搭載したメインローター部
▲3基のエンジンを搭載したメインローター部。3Dプリンターで自作した折り畳み機構を取り付け、銅線によるパイピングなどを加え、視覚の情報量を増加させている
ハルサー作例「海上自衛隊 MH-53E シードラゴン」マーキングは2011年の岩国フレンドシップデーに登場した第111航空隊8623号機
▲マーキングは2011年の岩国フレンドシップデーに登場した第111航空隊8623号機を選択。左側スポンソンには仙台七夕まつりに見られる七つ飾りが描かれている
ハルサー作例「海上自衛隊 MH-53E シードラゴン」右側スポンソンには青森ねぶた祭りの山車を描く
▲右側スポンソンには青森ねぶた祭りの山車を描く。スポンソンには胴体よりも大型のリベットが打たれているので、ウェーブの球ぐり工具で丸いリベットを表現した
ハルサー作例「海上自衛隊 MH-53E シードラゴン」胴体上部のエンジン排気管
▲胴体上部のエンジン排気管はエッジを薄く整形。胴体の細かいリベットなどのディテールアップ箇所が、排気のウェザリングによりさらに際立った状態となっている

海自の大型ヘリを作る!
 ハルサーです。今回はモノクロームから発売された1/48 MH-53Eシードラゴンを製作します。MH-53Eは海上自衛隊の掃海ヘリとして運用されていましたが、元々輸送機として開発された機体がベースということもあり東日本大震災や熊本地震では大量の物資や人員の輸送で活躍し、2017年に30年近い運用に幕を閉じました。キットには震災時に被災者の方々を励ました岩国基地フレンドシップデー2011の特別塗装機のマーキング2種類も含まれます。

胴体の工作
 まずはキットのパーツを見ていきます。1/48ですが実際の機体が大型なため胴体もかなり大きいです。仮組みしてみると胴体の合いは良好ですが、大きさの割に胴体表面のディテールが寂しい感じもします。実機写真を見るとヘリコプターらしいゴツゴツのリベットがびっしりと打たれ、凸凹している外板が排気の汚れで際だっています。この状態を作例で再現してみたいと思います。
 まずは全体にリベットのラインを下書きします。次にそれに沿って砥石を付けたモーターツールで削っていきます。削り終えたら400番の耐水ペーパーで表面を自然な凸凹になるように整えていきます。形状が決まったら耐水ペーパーの番手を徐々に上げていき1000番で仕上げます。次にリベットを打っていきます。今回は北風舍のリベットルーラーを転がしてガイドにし、ひとつずつ自作リベットツールで手打ちしました。気が遠くなる作業ですが、ひとつひとつのリベットの存在感が出るので根気よく打っていきます。リベットを打ったら全体を1000番くらいでヤスリかけしておきます。
 さらに表面に立体感あるディテールを加えたいので、プラペーパーで窓枠などを作って貼り付けます。プラペーパーの裏からリベットルーラーを転がすと凸リベットができるので、より情報量が増します。左右のスポンソンにはより大型のリベットが打たれています。ここはウェーブの球ぐり工具で丸いリベットを打っていきます。
 続いてトランスミッション周りのメッシュ張りの開口部を、実際に開口して真鍮製のメッシュを貼っていきます。メインローター基部周辺は四角形なので簡単ですが、テールローター周りの開口部はすべて複雑な形状な上にRが付いています。開口部に合わせて地道に現物合わせで合わせていきます。
 せっかくメッシュを張ったので、テールローターのトランスミッションも再現したいと思います。正確な写真が手に入らなかったので形は多少フィクションが入りますが、自作の3Dプリントパーツを塗装して内部に仕込んでテールを貼り合わせます。内部はマスキングができなくなるので、先にメッシュ周辺を塗装しておきます。

機体内部の工作
 続いて機体内部の工作をしていきます。こちらもややアッサリした構成なので手の加え甲斐があります。まずはシートベルトを手持ちのエッチングパーツで再現します。次にコンソールパネルの裏側に各メーターから伸びる配線をプラ棒と銅線で再現していきます。この部分はキャノピーからよく見えるので効果的なディテールアップになります。
 貨物室内も銅線で配管など追加しておきます。資料写真で掃海装備と座席がどちらも付いているのを見たので、すべて付けておきます。
 エンジンの排気管は内部の押し出しピン跡が目立つのでパテ埋めしておき、エッジは薄く削り込みます。1本の排気管を胴体に仕込み、操縦室や機体内部のパーツを挟み込んで胴体を接着します。
 メインローターは資料写真を見るとその複雑なディテールに驚かされます。今回は格納のために油圧でローターブレードが折れ曲がる機構などを3Dプリンターで自作して取り付け、さらに配管を銅線で追加して情報量を増やしていきます。

塗装
 合わせ目を消したら各部をマスキングして塗装に入ります。まずは全体をMr.カラーGX2ウイノーブラックで塗装。透け防止になるのでキャノピーパーツにもしっかり色を乗せておきます。続いてC316ホワイトで塗装します。乾燥後マスキングをしますが、境界線には練り消しを使用してボカします。マスキングが終わったら、2色目のC325グレーFS26440を塗装します。
 塗装が終わったら全体をMr.ウェザリングカラーのマルチブラックでウォッシング。拭き取り後に、デカールを貼る下地として光沢クリアーでコートします。
 続いてデカールを貼っていきます。リベットや表面の凸凹に合わせてデカールソフターなどを使用してしっかり馴染ませます。デカールがしっかり乾燥したら、その上からさらに数種類のMr.ウェザリングカラーを使用してウォッシングをしておきます。ローターは塗装後にツヤ消しコート、胴体はオーバーコートも光沢で仕上げ、すべてのパーツを組み付けて完成です。

完成して
 実機写真のイメージを再現できたかと思います。キットはとても組みやすく、ローターやテールブームの格納状態も再現できる素晴らしいキットです。アッサリしたモールドのパーツも手を加えると自分好みの仕上がりで作ることができるので、きれいに仕上げるも良し、作例のようにガッツリ手を加えて汚すも良しの万能素材のようなキットです。ぜひ参考にしてみてください。

モノクローム 1/48 スケール プラスチックキット

海上自衛隊 MH-53E シードラゴン

製作・文/ハルサー


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