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モンモデル「BMW R 1250 GS アドベンチャー」精度の高いビックスケールキットスポークの張替えとメリハリのあるカラーリングで仕上げる

2024.06.21

BMW R 1250 GS アドベンチャー 【モンモデル 1/9スケール】 月刊ホビージャパン2024年7月号(5月24日発売)

 BMWのアドベンチャーツアラー、GSシリーズの大型モデルとして30Lという大容量の燃料タンク、特徴的なボクサーエンジンとそれを強力に保護するエンジンガード、無骨なパニアケースを備えたR 1250GS ADVENTUREのキットがモンモデルより発売。これを畠中浩が製作した。キットは大部分がスナップフィットで組み間違いの心配がなく、1/9スケールというビッグスケールのため形状の精度も非常に高いという、実質ほぼ手を加える必要がないほどの良キット。そこで作例的なポイントとしてクロススポークホイールをステンレスピンで張り直すという作業を行った。
 カラーはトリプルブラックを選択。ツヤや明暗が異なる3色のブラックを使い分け、モノトーンながらメリハリのあるカラーリングを再現している。

▲巨体をガードし、ルックス的なポイントにもなっているエンジンガード。プレミアムミラークロームで塗装し強い輝きを演出した

▲ハンドルのスイッチ部は金型の都合でいくつかオミットされているので、プラ板やパテで追加。ハンドル左のリング部に白で塗装を施すと再現度がアップする

▲30Lという大容量の燃料タンク。それだけに形状も独特で存在感を放っている
▲リアに装着するパニアケースの角のリベットは塗装するには大変すぎるため、G S Rのクロームマスターを1mmのポンチで抜いて貼り付けた
▲メーター表面のガラスを再現するために、デカールの上にUVレジンを盛って透明塩ビ板を乗せた。硬化させ周囲をトリミングして仕上げている
▲可変バルブ機構「シフトカム」を備えたボクサーエンジン。キットにはボルトのモールドもしっかり入っているので、作例のように頭頂部を塗るだけでも雰囲気が出る
▲リアスイングアームは右側のパーティングラインが目立つのとゴムパーツの後組みが難しいので、左側と同じ形状になるようプラ板の細切りを貼って対処した
▲今回の作例の目玉として設定したスポークの張り替え。キットのままでもかなり細くはあるが、0.38mmのピンに張り替えるとやはり見違える
▲スポークを編むための治具を製作。エポパテとプラ板でホイールの位置を固定できる台座を作った
▲ハブの穴は目見当で、延長線上の中心部モールドを目指して開口。接着剤を多めに入れたかったので0.38mmのピンに対して0.7mmの穴を開けて角度の余裕も持たせた
▲リム側は元パーツのスポーク穴があるので、ピンを仮に差し込みポリパテでパーツの隙間ごと埋めた。ステンレスのピンなので離型処理をしなくてもその後簡単に抜くことが可能
▲最終組み立て風景。
ピンを刺して接着剤を塗り、慎重にハブへ差し込む。ピン先端はニッパーで傷を付けて抜けにくくなるようにしている

■各部の製作について
 全体的にとても精度が高く、接着剤なしでも組み立てられるスナップフィット状態です。ピンなどの工夫でパーツの向きや左右の違いも細かく考えられているので、よほどのことがない限り誰でも間違いなく組み立てられるのではないでしょうか。もはやガンプラレベル。精度の高さから分解でかなり苦労することになるので仮組みをする場合はあらかじめピンを半分の長さにカットしたり穴の直径やピンの太さを調整して対処する必要がありますし、プラ自体がかなり柔らかめなので強引な組み立てをしないように注意です。パーツの分割もかなり細かく、マスキングが必要なのは全体でもほんの数ヵ所。そのためパーツ数がとても多く、作例は最初にパーツのパーティングライン処理をするため説明書の番号ごとにパーツを小分けのケースに収納してから順番に処理していきました。また、組み立ての順番は変わっても同じ色のパーツは先に組むなどしたほうが管理も楽になりますね。

■ホイールの製作
 スポークを手軽に再現出来る設計で、リムの表裏からスポークをはめて反対側のリムへ引っかける面白い構成です。ただ成型の都合上、若干太めなのと塗り分けが大変、何より完成度の高いキットのため作例としての見せ場がない(!)ということでスポークを張り替えてみました。あらかじめ写真を撮ってスポークの位置関係を確認できるようにしておき、プラ材とエポパテを使って簡単な治具を用意して編み込むという流れ。金属線は1号のインセクトピン(計80本)を使用。実車はリムをスポークが貫通しているのでリムの外側から頭を残したピンを差し込み、エポキシ系接着剤使ってハブへ接着しています。ハブやリムのパーティングラインを消すことも出来ますし、穴の位置も分かりやすいので張り替え挑戦にはうってつけのキットかも。

■塗装について
 カウルのカラーは数種類あるバリエーションからトリプルブラックを選択。名前の通り3種の黒系でコーディネートされているようです。ただ、ツヤを変えたとしてもブラックをそのまま使うと模型として単調になるのでカウル類で3種類、エンジン周りでは段階的にグレー方向に振った3 種類ほどのブラック系で塗装しました。カウル類は基本的にメタリック系のようで(違っていたらゴメン)、フロントやタンク上のブラックは軽くメタリックを確認したので少量のキラキラを加えています。タンクやフレームなども調色したガンメタで塗装、各部のツヤはフラットやセミグロスクリアーを重ねて調整しています。フロントカウルとタンク上のツヤあり部分は塗膜の厚みで苦労しないようラッカークリアーで薄く仕上げています。シルバーも色味を変えた4色を用意して塗り分けていますが、エンジンガードとエキパイはお気に入りのガイアノーツ プレミアムミラークローム。黒→クリアー→クロームの順番で塗装しました。デカールはモンモデルお得意のニス部分が非常に強いものが付属しています。今回は色味にちょっと問題がありましたが台紙離れが早く厚みが非常に薄くて貼りやすい、引っ張りにも強くソフター等もよく効く素晴らしいデカールなので貼るのは容易だと思います。

■最後に
 バイク模型は繊細な部品が多くなりがちで組み立てに少々技術が必要な場合がありますが、スケールが大きいこともあってこのキットはそういう難しい部分がクリアされています。塗装は苦労するとしてもスケールモデルとしては大きい進歩だと思うので今後の展開が楽しみです!

モンモデル 1/9スケール プラスチックキット

BMW R 1250 GS アドベンチャー

製作・文/畠中浩(ももふく模形舎)

BMW R 1250 GS アドベンチャー
●発売元/モンモデル●18700円、発売中●1/9、約25.3cm●プラキット

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畠中浩(ももふく模形舎)(ハタナカヒロシ)

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