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ウェーブ1/72ガリアンを使って「ガリアン重装改」を再現! カラーモジュレーションとウェザリングで重厚感を演出!!

2024.04.23

ガリアン 重装改【ウェーブ 1/72】 月刊ホビージャパン2024年5月号(3月25日発売)

カラーモジュレーションとウェザリングで重厚感ある仕上がりに

 1984年、高橋良輔監督作品『機甲界ガリアン』より、ガリアン 重装改を、ウェーブ1/72スケールキットを使い製作。重装改は未発売ではあるが、特別にイベントで展示したサンプルを工面いただき、ノーマル版のガリアンと組み合わせることで再現することができた。作例は更井廣志が担当。カラーモジュレーションとシリコーンバリアーによるチッピングなどのウェザリングで、1/72スケールならではの重厚感溢れる作品に仕上げている。

機甲界ガリアン

□1984年10月5日〜1985年3月29日□日本テレビ系□メカニカルデザイン/大河原邦男、出渕裕

 高橋良輔監督によるロボットファンタジー第3弾。クレセント大銀河イラスタント太陽系第五惑星アーストを舞台に、マーダルによって国を追われたボーダー王国の後継者ジョルディと、征服王マーダルの戦いを描く。登場ロボットは、超古代文明が開発した大型乗用戦闘兵器を現代アースト人が発掘したもので、中世の騎士を彷彿させる重厚感溢れるスタイルとなっている。

機甲兵ガリアン 重装改
全長/12.48m
重量/27.04t
▲機甲兵ガリアン 重装改。ザウエルらとの戦闘で大きなダメージを受けたガリアンを、クレセント銀河の捜査官のひとり、ヒルムカらの協力で修復・改修。飛装砲、盾、重装砲などが追加され、攻撃力は改修前の4倍にまで強化された。作例は本体に細かなプラ材、マイナスやリベット状のモールドなどで軽くディテールアップ。手首やヒジ関節などに使用されているポリパーツは、ミッチャクロン→Vカラー(クリアー)→サーフェイサーで下地を作り塗装している

▲ガリアン飛装改。これまでの飛装型と異なり、脚部を分離させることで、より高速での飛行が可能に。肩の飛装砲により攻撃力もアップ。キットは腕の伸縮や腰アーマーからの垂直尾翼の展開など、設定に忠実なフォルムを再現できる

▲専用のジョイントパーツで脚部と盾をつなぎ、自走改に変形。提供いただいたサンプルに伝導ケーブルがなかったので自作。スネ側面とケーブルにネオジム磁石を埋め込み、磁力による接続とした。盾と脚部をつなぐジョイントパーツも、同じくパーツが間に合わなかったので自作した

▲レッド・ウィンドウが乗るスネ側面の操縦席もしっかりと再現されている。各モニターは黒く塗り潰した
▲ガリアンの靴部には吶喊(とっかん)機と呼ばれるダッシュホイールが装備されており、高橋良輔監督の前作『装甲騎兵ボトムズ』のATのように、地上を滑走することができる
▲キットは剣と鞭状の両形態を用意。鞭状のほうはドライヤーで熱してゆっくりと曲げて表情を付けている

▲左腕の鉄甲翼に収納される剣(ガリアンソード)は、収納時は無数の刃を持った鞭のような形状で、刃をつなぎ合わせることで剣の状態になる。この鞭状の形態を利用し、敵に巻き付けて糸鋸のように敵の体躯を切断することもできる

▲ハンドパーツは、重装砲のグリップ持ち手を除いて左右3組が用意される。左から時計回りに握り拳、剣の持ち手、平手
▲左腕へは、鉄甲翼の赤いパーツを一度外し、専用のジョイントパーツに差し替えることで接続可能。設定では鉄甲翼が後ろ側に回る形で接続されるが、こちらは模型オリジナルの接続法となっている
▲盾は裏側の造形も抜かりなし。作例では丁寧に塗り分けたのみ。表面はカラーモジュレーション、ウォッシング、チッピングなど、ウェザリングテクニックの見せどころ。面が広いのでその効果は絶大だ
▲固定用の杭は設定どおりスライド。劇中では時に打突武器として使用された
▲長大な巨大銃である重装砲(アザルトキャノン)は、自走砲への合体も考慮して、グリップを真鍮線による取り外し式に。武器持ち手はぐらつかないようにグリップに接着・固定した。伝導ケーブルは前述のとおり、金属線とグラスチューブで自作し、重装砲には開けた穴に、スネには磁石で取り付けられるようにした

▲コクピット着座のジョルディは色剥れ防止のためにコクピット開閉ギミックをオミットしたため省略したが、立ち姿のフィギュアは丁寧に塗装。ベースを自作し、しっかり自立するようにした

▲劇中では盾の上部のパネルが開き、重装砲と合体させて、砲台として使うシーンも見られた。キットでもしっかりと再現されている。作例は上部パネルがはさみ込み式だったため、軸を少し短くカットし、後ハメできるようにした

【カラーリングデータ】
下地色サーフェイサー→シリコーンバリアー(外装のみ)→サーフェイサー各色→本塗装下地サーフェイサー=赤白黄=メカサフ ライト+グレーサーフェイサー
メカフレーム=メカサフ ライト
赤=サーフェイサーエヴォ パステルピンク→3番・レッドでグラデーション
白=GXホワイト→シャドー部にクリアーブラック+クリアーパープルでグラデーション
黄色=サーフェイサーエヴォ レモンイエロー→エヴァイエローでグラデーション
目=スターブライトブラス
額=GXメタルブルー
剣の刃=フレームメタリック2
剣の柄=337番・グレイッシュブルー
武器=ATー04 パープルグレー
バーニア=スターブライトジュラルミン
スミ入れ色
白部=リアルタッチマーカーグレー1、Mr.ウェザリングカラーマルチグレー
黄部=リアルタッチマーカーオレンジ1、ブラウン1
赤部=リアルタッチマーカーレッド1他

■はじめに
 今回は重装備となった重装改のレビューです。追加装備の背中の飛装砲、重装砲(二門)、盾で、より力強さが増していますね。本体は合わせ目消しが必要のない構成ですが、追加装備には必要です。目立つ箇所ですので丁寧に処理しましょう。
 本作例ではさらにディテールを追加し密度感を上げました。塗装は基本的にカラーモジュレーション法で意図的に光と影を演出、立体感を強調し、退色表現も加味しています。スケールモデル的なアプローチで、リアル感を出しつつ1/72スケールということを考慮して繊細な仕上げとしました。チッピングはシリコーンバリアーによる物理的な剥しによるものです。描き込むより自然なので好んで使う技法です。

■汚し塗装など
 Mr.ウェザリングカラー各種でウォッシング、ピンウォッシュ。タミヤエナメルのクリヤーホワイト、クリヤーブラック+クリヤーパープルなどでストレーキング表現。真鍮ワイヤーブラシ、ヤスリ、デザインナイフなどで全身に細かくチッピング。足元には土埃表現としてタミヤアクリルデザートイエローを薄く吹きました。また、チッピングの他にダメージ表現として盾を中心にデザインナイフなどで浅い刀傷を入れました。

■おしまいに 〜ガリアンの思い出など〜
 私の住む地域では日曜の朝に放送がありました。当時の私は16歳。果たして全話観たのかもう定かではないですが、重厚かつスケールの大きなEDソングが印象的で、日常から解き放たれたかのような感覚は今でも覚えています。
 あれから40年以上経ち55歳になりました。マーダルとアズベスの年齢(53歳と54歳)を超えてしまったことに畏怖を感じますが、あのふたりのように信念を持って生きていければと思います。ちなみに我が息子は12歳で偶然にもジョルディ王子と同じ年齢です。不思議な気分です。当作例を担当したことによりあらためて全話を視聴したのですが、その舞台設定や重厚なドラマに痺れました。
 メカもそれぞれ個性的でとても魅力的なので、どんどん立体化してくれると嬉しいですね。当時から重射兵モノコットが好きでしたが、このガリアンの横にはぜひ機甲猟兵ザウエルを並べたいですね。メーカー様どうぞよろしくお願いします。

ウェーブ 1/72スケール プラスチックキット

機甲兵ガリアン 重装改

製作・文/更井廣志

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更井廣志(サライヒロシ)

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