声優・古賀葵『SYNDUALITY Noir』スペシャルインタビュー!ノワールとミステルを演じた想いを語る!!
2024.04.01『SYNDUALITY Noir』ノワール/ミステル役 古賀葵インタビュー 月刊ホビージャパン2024年5月号(3月25日発売)
SPECIAL INTERVIEW
『SYNDUALITY Noir』ノワール/ミステル役
古賀 葵
インタビュー
いよいよ最終回を迎えるアニメ『SYNDUALITY Noir』。これまでカナタといろいろな苦難を乗り越えてきたノワールは、果たしてどこへ辿り着くのか? ノワール/ミステルという二役を演じながらイストワールまでの長い冒険を終えた古賀 葵さんに、この作品にかけた想いを伺った。
古賀葵(こが・あおい)
8月24日生まれ、佐賀県出身。81プロデュース所属。2014年にデビュー後、さまざまなアニメやゲームで活躍。2020年には第14回声優アワード主演女優賞を獲得した。主な出演作に『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』(四宮かぐや役)、『古見さんは、コミュ症です。』(古見硝子役)、『ひろがるスカイ!プリキュア』(プリンセス・エル/キュアマジェスティ役)など。
取材・構成:太田祥暉(TARKUS)
――古賀さんは本作のオーディションを受ける際、作品に対してどのような印象を受けていましたか?
ロボットアニメで機体に搭乗する役を演じることが夢だったんです。一度ロボットアニメに出演したことはあるんですが、搭乗したことはなく…。オーディションを受ける際に『SYNDUALITY Noir』の資料を拝見して、ドリフターとメイガスの関係性も魅力的ですし、近未来になったらメイガスみたいな存在がいるかもしれないと思うととても面白くて、これは絶対に出演したい! と思いながらオーディションに臨みました。
――そして念願の「ロボットに搭乗する役」を射止めたわけですが、本作ではドリフターとメイガスが一緒に乗るというちょっと変わった切り口ですよね。オーディション時はノワールのキャラクター設定に関してどのような印象を持たれましたか?
確か設定資料には「謎の多いメイガス」と書かれていたのかな? 物語上どうなっていくのかはほとんど教えられていませんでした。表情集にも笑顔のものがなかったので、いわゆる無口キャラなのかなと思ったら、ぽんこつであると一言(笑)。その一単語からのほほんとした雰囲気で役作りをしたんですが、スタッフさんから「もっと淡々と演じてもらえますか?」とオーダーを受けたんです。あともう一個、「悪役みたいな印象でできますか?」とも言われて。3パターン演じたので、あまりハマらなかったのかな……と不安に思いながらオーディションを終えたことを覚えています。
――その結果、「もっと淡々と」という方向性でノワールが決まったと。
実際に収録が始まってからも、「感情は見せなくていいです」とか「息のアドリブも入れなくて大丈夫です」と言われましたね。なので、ずっと淡々とした演技を続けていました。
――オーディションの際にもノワールがどうなっていくのかあまり明かされなかったと仰っていましたが、収録が進んでからも先々の展開は教えられなかったそうですね。
だんだん分からない描写が出てきても、山本(裕介)監督も松田プロデューサーも教えてくれないんですよ(笑)! 台本を読んでようやく続きが分かるので、この先どうなるのか収録現場ではカナタ役の大塚(剛央)さんや他のキャストさんと一緒に予想していましたね。
――原作のあるタイトルではある程度先の展開を把握した上で役作りを行うことが可能だと思いますが、オリジナル作品では本作のように台本を手渡されるまで先の展開が分からないものかと思います。古賀さんはオリジナル作品の良さはどこにあると考えられていますか?
原作ものでも、役作りはとても悩むんですよ。原作を読めばどういうキャラクターなのかは捉えやすいですし、先の展開も分かります。でも、原作を読んでいる方ひとりひとりでそのキャラクターや作品に対するイメージが異なるので、皆さんに納得していただける完全解を作り出すことが難しいんです。対してオリジナル作品では、誰も次のエピソードでそのキャラクターがどうなるのか分かりません。キャスト側も一斉に台本を読んで、キャラクターとともに作品を作っていくという面白さがオリジナルアニメにはありますね。また、画のない状態から作品に携わらせていただくので、放送されたときの感動が凄まじいです。『SYNDUALITY Noir』も驚きと感動に溢れたとても楽しい現場だったと思います。
――古賀さんが台本を読んで一番驚いた展開は何でしたか?
ミステルの登場です! 完全にサプライズだったので、ギリギリまで私が演じることも知らされていなかったんですよ。台本を開いたら、私の名前がふたつも書かれていて衝撃的でしたね。ただそこで、オーディションのときに演じた悪役っぽい芝居を思い出したんです。山本監督は「好きに演じてくださっていいですよ」と仰ったんですけど、その演技を見て一人二役にしてくださったのかな? とも思ったので、オーディション時のイメージを踏襲して演じることにしました。
――台本で初めて知ったミステルというキャラクターを、どのように肉付けしていったのでしょうか?
台本に書かれているト書きと台詞をとにかく読み込んで、どういうキャラクターなのか推理しながら組み立てていきました。まさか第2クールの始めで、ミステルがメインの人格っぽくなってノワールが出てこなくなるとは思ってもいませんでしたけど(笑)。すぐにチェンジできる展開になってほっとしました。
――となると、シエルの身体にノワールが移り変わる展開も台本を読んで驚かれましたか?
まさかそんなことが! と驚きましたね。ただ、シエルの身体にノワールが移り変わるわけですから、ノワールそのままとして芝居をするべきなのか、シエルっぽい喋り方に変えるべきなのか気になりました。
――結果的には古賀さん演じるノワールそのままですけど、可能性としては青山なぎささん演じるシエルにお芝居を寄せる可能性や、青山なぎささんが古賀さんに寄せた演技をする可能性もあったわけですよね。
あったと思います。収録を終えた今こそ、山本監督に「最初はどう考えていたんですか?」と聞いてみたいですね。ミステルも私が演じることは収録が始まってから決まったらしいですし、最初の想定からどれくらい変わった部分があるのかが気になります!
――シエルとの関わりでいえば、第21話では「Your Song」の歌唱シーンがありました。
第1クールの後半くらいを収録していたタイミングでレコーディングがあったんです。ですから、シエルとの関わりはおろか、ミステルの存在も知らなかった頃ですね。今はシエルとこんなに楽しく冒険をしているのに、どうしてそうなるんだろうということを想像して、シエルやノワールのカナタに対する想いを考えながら唄ったことを覚えています。
――現在の古賀さんはストーリーの全貌をご存じの状態だと思いますが、今改めてノワールはどういうキャラクターだったと認識されていますか?
ノワールにとって、カナタとシエル、エリーたちと出会えたことは本当に嬉しかっただろうなと思います。彼女にとっては未知との遭遇だったとは思いますが、そもそも一個体として見られるような存在ではなかったノワールが、カナタのような人たちに出会えたということはとても幸せだったはずです。そんなノワールの気持ちを想うとより愛おしく感じられますね。
――2クールの物語を経て、カナタとのコンビも徐々に成長を見せてきました。
カナタと出会った頃のノワールは、まだ自分が何者なのかも分かっていないし、どこから来たのか、何が出来るのかも不明で深い暗闇の中にいた印象があります。そこから、カナタがノワールを理解しようと向き合ってくれて、シエルやエリーたちと出会えたことで、少しずつ彼女の心に陽が射してきたんですよね。自分が何者なのか考える力をくれた存在がカナタだったと思います。そしてノワールは、カナタのドリフターになりたいという夢を追っているがむしゃらな姿に感化されて、自分も夢を持ちたいと思うようになった。そこもとてもいい関係性ですよね。
――古賀さんはカナタ役の大塚さんと一緒に掛け合いをされたことで、演技が変わったなと感じられた瞬間はありましたか?
第1クールのときは大塚さんと別々の部屋で演じていたことが多かったんですけど、第2クールはご一緒できました。大塚さんはカナタをとても表情豊かに演じられるんです。その姿を隣で見ていると、ついつい私も感情を出したくなるんですが、そのたびに音響監督さんから「感情は抑えてください!」と言われちゃって(笑)。ノワールの感情としては変わらずに演じていますけど、大塚さんが豊かに演じてくださったことで、こちらも背中を預けて芝居をすることができました。他にもトキオ役の小林(裕介)さんやムートンさん役の小松(史法)さん、シエル役の青山さんとご一緒するときもあって……。とても楽しい収録現場でしたね。
――収録現場でのエピソードで何か覚えていることはありますか?
先ほど触れたように第1クールでは、コロナ禍の関係で少ない人数で収録していたんです。なので、あまり他のキャストさんと『SYNDUALITY Noir』についてお話をすることができずにいたんですね。そこで、第1クールと第2クールの間くらいの時期にスタッフ・キャスト間でLINEグループを作りたいと提案したんです。そうしたら、大塚さんが「スタッフさんとのLINEグループはもうあるよ」と……。
――まさか古賀さんが教えられていなかったと……。
ハブにされていたとかではなく、分散収録だったので教えるチャンスがなかっただけらしいんですけどね! その後グループに加えていただいて、芝居をする上でのイメージにも一役買ったかなと思っています。でも、もっと早く教えてほしかったです!(笑)
――2クールを振り返って、古賀さんがノワール、ミステルと演じられたなかで、もっとも渾身の演技を魅せたシーンを選ぶとしたら、何話のどこになりますか?
第16話の「消えたくない」って言うシーンですね。ノワールを演じた身としても、あのシーンが一番彼女の内側の感情が外へ出たところだと思うんです。これまでカナタたちから感情を受け取るばかりで、まだ自分の感情に「?」が付いたままだったノワールが、初めて明確にみんなと離れたくないという気持ちを認識して伝えたんですよ。そこを演じたときが、一番身体に力が入ったかもしれません。
――ちなみに、古賀さんが一番好きなキャラクターは誰でしたか?
もちろんノワールとミステルは殿堂入りですけど、マイケルさんとムートンさんが大好きです。マイケルはとにかくおバカキャラなのが可愛いんですよ……! トキオと張り合って出し抜かれるところも可愛いです。それにマイケルさんとボブのやり取りを観ていると、絶対ボブは遊んでいるよなと思えて笑えちゃうんですよね。ムートンさんはやはりおじさまなところが「ありがとうございます!」という気持ちでいっぱいです。カッコいい、可愛いキャラクターがいっぱいいる『SYNDUALITY Noir』という作品の中におじさまがいるのは素晴らしいですよね。トキオとペアというところも絶妙なんですよ! エリーはスピンオフノベライズとコミカライズ(『SYNDUALITY ELLIE』)がありますけど、マイケルやムートンさんのスピンオフもぜひ生まれてほしいですね。
――ドラマCDやノベライズ、コミカライズなど、これからの展開も楽しみですね……! 本作の展開としては、プラモデルやフィギュアも発売されています。古賀さんもそれらのアイテムを手にされたと伺いました。
プラモデルは2~3年前にお城のキットを作ったことがあるくらいなのですが、昔兄がよくロボットもののプラモデルを作っていたので、それを横で見ていた記憶があります。HG デイジーオーガが発売されたときは嬉しかったですね。ちゃんとノワールが付属して、コフィンに搭乗できるという仕様のきめ細かさに感動しちゃいました。Figure-rise Standardのノワールとエリーはとにかく可愛いです! とにかく表情に注目してほしいなと思います。ノワールは目がいいんですよ! 髪の毛の流れもきれいに造形されているので、間近で見て確認していただきたいです。
――さて、『SYNDUALITY Noir』も残すところいよいよ1話となりました。最終回を観て、改めて第1話から観返す方もいらっしゃるタイミングだとは思いますが、古賀さんから改めて『SYNDUALITY Noir』をご覧になる方に向けて、ここを抑えるとより作品が楽しめるよ! というポイントをお教えください。
今、第1話から観返したら、ノワールが最初にカナタと出会った場所にも意味があったことに気づけるはずです。彼女の境遇も、すべてが繋がって気持ちよくなれるはず。カナタの部屋のガラクタひとつを取っても、伏線になるくらいの作り込みになっているので、ぜひ一時停止をして観てください。加えて、キャラクター同士のぶつかり合いや関係性の変化が魅力的な作品ですから、それぞれの成長を踏まえた上で作品を隅々まで観ていただきたいですね。ノワール役としては、無表情な彼女がそのシーンで何を考えていたのかを想像しながら見直していただけると、より『SYNDUALITY Noir』が面白くなるはずです!
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