航空自衛隊初の本格的ジェット戦闘機「F-86Fセイバー」を初代特別塗装に! 黎明期カラーリングのブルーインパルスが甦る
2024.03.19黎明期の航空自衛隊が放った最初の衝撃波(インパルス)
1956年、航空自衛隊が初めて導入した本格的ジェット戦闘機ノースアメリカンF-86Fセイバーは、国内でのライセンス生産も含めて300機以上が導入され、26年の長きにわたり運用が続けられた戦闘機である。空自のアクロバットチーム「ブルーインパルス」もまたF-86Fを最初の使用機とした部隊。「特別飛行研究班」として発足した1961年から約2年間使用された初代特別塗装を再現したハセガワの1/48キットを製作、黎明期カラーリングのブルーインパルス・セイバーのウイング機が約60年の歳月を超えて甦る!
■はじめに
航空自衛隊の創設から6年後の1960年4月12日、当時第一線の主力戦闘機F-86Fによる初のアクロバットチームが正式発足しました。即ちのちの「ブルーインパルス」、正式名称「空中機動研究班」ですが、翌61年10月22日にはアクロ機塗装を施され式典で展示飛行デビューしました。以前ハセガワからは1/48で当時のリーダー機キットが発売されましたが、今回は塗色の異なるウイングマン機が登場です。
■組み立て
当時の空自F-86FはTACAN(戦術航法装置)未搭載のため、胴体右側冷却用空気取り入れ口は切り取り、機体表面を平滑にします。合わせて説明図通り機首のアンテナは取り付けません。
コクピット部工作では、左側のサイドワインダー用コントロールパネルは削り取り、シートをクイックブースト製別売りパーツに置き換えました。メイン計器パネルは基盤を機内色にし、計器盤デカールからメーター単位に切り取って貼っています。尻もち防止に機首スペース内に5g程度のオモリは必須です。また、キャノピー後部のフレーム、配線などをプラ材で追加してそれらしくしてみました。
そのほか、開いたエアブレーキのアクチュエーターにリード線でホースを取り付け、周囲の機器・パイプ類をシルバーで塗り分け、主脚にはブレーキパイプ、ホースを追加しました。
最後に組立説明書の塗装図を参考に、エンジン排気口上部にアクロ時のスモーク発生用オイル噴射パイプとして0.5mmプラ棒を取り付けました。
■塗装
キット指定塗装は当時公開された映画およびカラー写真より、リーダー機はゴールドとピンクのコンビネーション、ウイングマン機はブルーと水色で、機首帯のみブルーとピンクのスキームとの考証に基づいています。機番選択は資料1に機首レーダーコーン部の塗装の違いが説明されているので、リップが無塗装の“948”号機をチョイスしました。
ベースの機体表面は無塗装なので、銀塗装はパネルの色調を変えましたが、塗料はガイアカラー009番“ブライトシルバー”をストレートに、あるいは混色基本として使用しました。
さて塗装スキームの大判デカールは、広い面積や曲面部には2つ、3つに切り分けて貼るなど、自分のスキルに合わせて作業をすることも検討してください。キットのデカールは破れにくく貼りやすい物ですが、曲面は必要に応じて切れ目を入れて、綿棒など使いマークフィッター(軟化剤)でなじませていきます。最後は指で圧着させるのも有効だと思います。広い面積でもデカール貼りの基本作業として、水を充分敷いてデカールを載せて位置決めをし、マークセッター(のり)を加えて貼り付け、平筆で上から空気、水分をていねいに押し出し、充分密着させることできれいに貼ることができます。
デカールを貼り終わったら今度は同じ色を作り、試し吹きで色調をよく確認して、インテーク内や燃料タンクを塗装します。
■おわりに
ていねいな工作、塗装によってF-86Fの精密スケールモデルとしての存在感をベースにすると、このファーストスキームのマーキング、カラーリングは一層見映えがアップすること請け合いです。初代のアクロスキームは当初案のチーム名称「天竜」にマッチした和の趣も感じさせて、リーダー機以下が編隊飛行する姿は、大空を元気に泳ぎ回る“鯉のぼり”に重なるものがあったのではないでしょうか。
2024年、70周年を迎える空自創立間もない頃のブルーインパルス・ハチロク・セイバー、お薦めです。では、また。
■参照資料
・資料1:「モデルアート増刊No.302 F-86Fセイバー」(モデルアート刊)
・資料2:「自衛隊メモリアルシリーズNo.4 ノースアメリカンF-86F」(酣燈社刊)
ハセガワ 1/48スケール プラスチックキット
F-86F-40 セイバー “ブルーインパルス 初代塗装ウイング機”
製作・文/喜多 章
F-86F-40 セイバー “ブルーインパルス 初代塗装ウイング機”
●発売元/ハセガワ●4290円、発売中●1/48、約23.8cm●プラキット
喜多 章(キタアキラ)
ずっとエアブラシはラッカー系塗料でしたが、いろいろ出揃ってきた水性塗料を今度メインで塗ろうかと思ってます。