ボークス レジンキット「デモール ファティマ搭載タイプ」のクリアー成型を活かし、マットグレー且つ半透明な装甲表現に挑む!【ファイブスター物語】
2024.03.15デモール ファティマ搭載タイプ【ボークス 1/72】 月刊ホビージャパン2024年4月号(2月24日発売)
クリアー成型を活かした半透明のマットグレーに仕上げる
着々とラインナップを増やすボークス1/72スケールレジンキット、HIGH-SPEC GARAGE KITシリーズ。前回のデモール・ゾロに続き、今回はファティマ搭載タイプをお届けする。作例は、そのなかでも商品では「Type B」と表されるマットグレーを基調としたコミックス17巻に登場したタイプを選択。マットグレーでありながらほのかに透けて見える半透明装甲の表現方法を模索している。
前回のデモール・ゾロに続き、今回はデモール ファティマ搭載タイプを製作いたしました。このデモールは数あるGTMの中でも謎が多い騎体で、コミックス17巻でのメヨーヨ朝廷の旗騎・ホウライとの演習シーンが数カット描かれていたのみ。全身像に関しては1カットのみという謎に包まれたGTMです。この限られた情報のみでここまで立体化したこと自体が奇跡で、造形チームの苦労がうかがえます。実際工作工程に関しては、前回のデモール・ゾロと同時進行で行っており、2騎のデモールの違いを確認しながら進めていました。一見すると頭部形状や頭部後方から伸びるスタビライザーの数が異なるだけに見えますが、実際に比べながら製作していると、かなりの相違点があることに驚きました。
さて、問題は塗装です。完成見本やオフィシャルの解説によると「F-35のようなグレー」との指示があったようで、つまりツヤ消し仕上げということになります。この数年、それなりの数のGTMを仕上げてきましたが、マット仕上げの騎体は初めてです。しかも完成見本と同じでは面白みがないので、塗装前の構想には時間をかけ、脳内でイメージを構築してから塗装作業に移りました。米空軍の制空迷彩のように塗装するとはいえ、せっかくのクリアーレジン成型。グレーサフを吹いてからスケールモデルのように塗装したのでは芸がないので、今回も造形村GKサーフェイサー 透明を塗布後、ほんの少しの透明度を残して基本色を塗装することにいたしました。とはいえ中間色であるライトグレーに透明度を加えるのは難儀な調色です。そこで今回はガイアカラーのクリアーホワイトとクリアーブラック、少量のクリアーブルーを基本に調色。この色に通常の(不透明の)ブラックを少量混ぜ、透明度を下げて基本色を作っています。ヒザなどの白い部分は同じレシピのクリアーブラックの配合比を減らし、ライトグレーを調色しています。この部分はデモール・ゾロとほぼ共通したデザインなので、完成見本との差別化を図るため、グロス仕上げとし、他はマット仕上げといたしました。加えて意図的に完成見本と変更した箇所があります。頭部側面に装備されている片側3枚のプレート状パーツ(パーツナンバーb-5L〜b-10Lの6パーツ)です。完成見本ではスタビライザーと同色で塗られていますが、今回は本体と同じグレーで塗装しています。理由はふたつ。ひとつめはこれらの6パーツは外装と同じクリアーレジンで成型されていること。ふたつめは全身の外装パーツに存在するインジケーター状のモールドが彫刻されていること。この2点から外装と同じ色で塗装し、モールドを青に塗装しています。カラー画稿がないため、この辺の配色は完成見本やそれぞれの解釈で塗り分けても面白いと思います。このデモールは今までと塗装アプローチが大きく異なりますので、皆さんも独自の構想を充分に練って、塗装を行ってください。
ボークス 1/72スケール レジンキット“HIGH-SPEC GARAGE KIT”
デモール ファティマ搭載タイプ
製作・文/桜井信之
HSGK 1/72 デモール ファティマ搭載タイプ
●発売元/ボークス●80300円、3月31日〜4月14日 ボークスF.S.S.シリーズ展 in 大阪SR、ホビー天国オンラインストア限定販売●1/72、約34.5cm●レジンキット●原型/造形村F.S.S.プロジェクトチーム
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桜井信之(サクライノブユキ)
著書「たった2日でできる! 週末ホビーライフ」が好評発売中。あらゆるテクニックに精通する模型の伝道師。