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後半戦の主力にして最後の量産タイプ「零戦五二型」の底力を語る!「零戦スペシャル」の最終回!!【いまさら聞けないすごいヤツ】

2024.02.19

いまさら聞けないすごいヤツ!!/三菱 A6M5 零式艦上戦闘機五二型●宮永忠将、大森記詩 月刊ホビージャパン2024年3月号(1月25日発売)

後半戦の主力にして最後の量産タイプ「零戦五二型」の底力を語る!「零戦スペシャル」の最終回!!【いまさら聞けないすごいヤツ】

 三菱 A6M5 
 零式艦上戦闘機五二型 

イラスト/大森記詩

 「名前は知っているけどどんなものなんだろう?」「いまさら聞くのもはずかしいなぁ…」なんて思ってしまう有名な飛行機や戦車、車などのモチーフをサクっと読める解説とイラスト、オススメのプラモとともにご紹介する本連載。
 今回は3回にわたってお届けした「零戦スペシャル」の最終回。零戦五二型をピックアップします。

 前回はコチラ!


三菱 A6M5
零式艦上戦闘機五二型

全幅/11m 
全長/9.121m
全備重量/2733kg 
エンジン/「栄」二一型 

馬力/1130馬力 
最高速度/564km/h 
航続距離/2560km(増槽装着時) 
武装/ 7.7mm機銃×2、20mm機銃×2、爆弾60kg×2


零式艦上戦闘機二一型イラスト左側面
零式艦上戦闘機五二型イラスト裏
零式艦上戦闘機五二型イラスト全体

最後の量産タイプに零戦の底力を見る

解説/宮永忠将

零式艦上戦闘機二一型イラスト右側面

 零戦の最終生産シリーズ 

 零式艦上戦闘機の、実質的に最後の量産タイプとなるのが零戦五二型だ。まず先に三二型という戦闘力向上型があったのだけど、これは短命に終わり、二二型が主流になった。五二型はその後継機に位置づけられる機体。機銃攻撃力を強化した四一型というのもあったのだけど、これは上手くいかず書類のみで終わってしまう。この辺を調べると迷路みたいにややこしいのだけど、そんな零戦の後半戦主力が五二型というわけ。
 五二型は二二型から主翼を50cmずつ削った姿をしている。三二型も同じように主翼の寸法を詰めた形なのだけど、こちらは翼端がスパッと切り落とした角型に近い形になっていたのに対し、五二型では翼端が丸く成型されている。主翼を短くすることで、航続距離は低下するものの、空戦性能は全般的に向上した。また一目で分かる違いとして、エンジンカウルの外径に沿って追加された単排気管があげられる。そんなこんなで五二型は約200kgも重量が増えたけど、最高速度が20km/hほど増えて、上昇性能も増加した。
 零戦五二型の登場は1943年夏で、以後、日本海軍はこれをベースに、20mm機銃の装弾数を増やし、急降下性能を増した五二甲型、機首右舷の7.7mm機銃を13.2mm機銃に変更し、操縦席の防弾を強化した五二乙型と、ハイペースで強化型を開発する。しかし乙型の強化版となる五二丙型になると、運動性能の劣化がひどく、名機零戦の強化もいよいよ限界が見えていた。

 日本海軍の苦闘を刻むゼロの翼 

 日本海軍が躍起になって五二型をいじっていた時期、敵のアメリカはグラマンF6Fヘルキャット、ヴォートF4Uコルセアなど、次々に新型戦闘機を送り出している。
 当然、日本でもいっそう強力な戦闘機を開発――したいところだけど、状況が違った。この時期、航空戦で防戦一方になっていた日本海軍は、零戦に爆撃を兼任させる、戦闘爆撃機化を狙った零戦六二/六三型の開発に力を入れていたのだ。零戦の運動力をもって敵の迎撃を振り切って敵艦に肉薄。爆撃を終えて身軽になった機体で、空戦を実施するという考え方だ。
 しかし最大500kgの爆弾を抱いて敵機の攻撃をかわし、敵艦を爆撃して、帰路は空戦をしながら生還する。そんなスゴ腕パイロットはもうほとんどいなかった。結局、この爆装零戦は戦力にならず、主力の五二型も爆弾をくくりつけての体当たり攻撃に投入されるようになってしまう。
 なぜ零戦は苦戦を強いられたのか。原因は大きくふたつ。ひとつはエンジンの抜本的な強化やエンジンの開発に失敗したこと。これでは劇的な性能向上は望めない。そしてもうひとつは、充分な操縦員を確保できなかったこと。短期決戦型の日本海軍には、長期戦に備えた育成システムが用意できなかった。いくら性能を強化しても、能力を発揮できないまま新米操縦員が次々に撃墜される結果となった。リック・ドムやゲルググに新兵を乗せても使いこなせないのと同じことだ。
 しかしこれほどの悪条件があっても、なんとか前線を維持し続けられたのもまた零戦の底力。やはり零戦は歴史に残る名機なのだ。


零戦とエース❸

岩本徹三
(1916 ~ 1955)


 岩本徹三は、1934年に航空兵の道に進み、日中戦争で実戦デビューする。太平洋戦争では空母「瑞鶴」の戦闘機隊員として真珠湾攻撃や珊瑚海海戦に参加。昭和18年暮れにはラバウルに転属となったが、ここでは実質的な飛行中隊長となって、連日の迎撃戦で活躍した。卓越した操縦員であると同時に、よく部下を掌握して部隊全体で戦果を上げるので、リーダーとしても超一流であった。以後、一貫して零戦に乗り続け、台湾、フィリピン、沖縄、そして本土防空と転戦。総撃墜スコアは200機を超える、日本屈指の大エースであった。


文字

コレクションサイズ究極の五二型

 タミヤの1/72スケール零戦は、主要タイプをコンプリートしています。五二型も見事に特徴をとらえて、作りやすさとカッコよさを両立したプラモとなっています。

タミヤ 1/72 三菱 零式艦上戦闘機五二型 胴体パーツ
▲左右分割の胴体パーツ。非常に美しいラインを持ったパーツです
タミヤ 1/72 三菱 零式艦上戦闘機五二型 翼パーツ
▲二二型から50cmずつ短く、丸形に切り詰められた翼。形状、ディテールともに素晴らしい完成度
タミヤ 1/72 三菱 零式艦上戦闘機五二型 エンジンカウル
▲タミヤ1/72 零戦シリーズのエンジンカウルは、スライド金型による1パーツ成型。とてもカッコいいパーツなので、ぜひゲットしてその姿を堪能してほしいです
タミヤ 1/72 三菱 零式艦上戦闘機五二型 推力式単排気管
▲五二型の最大の特徴とも言えるのが、この推力式単排気管
タミヤ 1/72 三菱 零式艦上戦闘機五二型 パッケージ

1/72 三菱 零式艦上戦闘機五二型

●発売元/タミヤ●1540円、発売中●1/72、約12.6cm ●プラキット


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