HOME記事キャラクターモデル海洋堂から「グローサーフント」初となる1/35プラキットが登場! 横山宏、MAX渡辺による作例やKATOOOの解説、さらに新キット情報も【Ma.K.】

海洋堂から「グローサーフント」初となる1/35プラキットが登場! 横山宏、MAX渡辺による作例やKATOOOの解説、さらに新キット情報も【Ma.K.】

2024.02.06

Ma.K. in SF3D/グローサーフント【海洋堂 1/35】 月刊ホビージャパン2024年3月号(1月25日発売)

シュトラール軍 ヒューマノイド型無人邀撃機 グローサーフント イメージカット

グローサーフント初の1/35プラキット!!

 コンスタントに発売を続ける海洋堂1/35プラキットシリーズにグローサーフントが登場!! シュトラール軍のヒューマノイド型無人兵器として人気の機体が全高約10cmのお手頃サイズ3個セットでの販売とあって、さまざま製作法が楽しめるキットとなっている。
 横山宏は合計4体をすべて異なる塗装パターンの機体として仕上げ、1/35キットに適した塗装で1/20に劣らない完成度に。MAX渡辺はジャングルの湿地帯を進むグローサーフント&メルジーネのビネットを製作。両氏の異なるアプローチを参考に、1/35スケールで初のプラキットとなるグローサーフントを存分に楽しんでほしい。


シュトラール軍 ヒューマノイド型無人邀撃機 グローサーフント 製作/横山宏

シュトラール軍 ヒューマノイド型無人邀撃機 グローサーフント 正面
▲固定キットのポーズを変更した横山氏のグローサーフント。赤く塗られた頭部が不気味で強烈なイメージを与える
シュトラール軍 ヒューマノイド型無人邀撃機 グローサーフント 上半身
▲チンガードは最終的に直径0.8mmの真鍮線に換装。頭部の角度を変え表情がついた
シュトラール軍 ヒューマノイド型無人邀撃機 グローサーフント 背面
▲背部のアンテナは長いタイプに変更。今回は直径0.3mmのピアノ線を使用した
横山氏が屋外で撮影したグローサーフント4体
▲横山氏が屋外で撮影したグローサーフント4体。すべて異なる塗装で部隊マークも違う混成部隊の様相。4体揃うことでグローサーフント特有の威圧感が増幅されている
ウェザリング後
▲デカールを貼ったあとにクリアーを吹いてからGSIクレオスのMr.ウェザリングカラーで激しめの汚し塗装を施した
ボディ アップ
▲マッシブな曲面を持つボディ。筆塗りの粗いタッチの迷彩塗装は、扇情的でもあり凶暴な無人兵器に調和する
頭部後ろアップ
▲︎頭部後ろの塞がっている部分をくりぬいた(丸で囲った部分)。レンズは黒の上にクリアーを塗って透明感を表現
シュレックのフチ
▲シュレックのフチは内側を削ってディテールアップしている
3体を飾り台に固定して展示
▲3体は飾り台に固定して展示している
黒い頭部のグローサーフント
▲黒い頭部に黄色の識別帯が鮮烈
白いラインの入ったグローサーフント 側面
▲前傾姿勢や上に突き出たボディ、関節の多い鳥脚が怪物感を醸し出す
▲シュトラール軍装甲服の定番色であるミドルストーンを基調とした迷彩塗装の9番機
白いラインの入ったグローサーフント 上半身
▲シュレック弾頭やスモークディスチャージャーの先端は赤で塗装している
黄色いラインが入ったグローサーフント 正面
▲赤いハートの12番機はグリーン系×ブラウン系迷彩
黒い頭部のグローサーフント 正面
▲13番機にはシルバーのペンによるひっかき傷も

 今回取り上げた海洋堂1/35グローサーフントは原型を担当したのが谷明さんです。小スケールなのに精密感があって実にいい感じに完成することができます。固定ポーズなので3体並べて飾る時にどれも同じポーズだと不自然でしょ。なのでポーズをほんの少しでいいので変えて組みましょう。まず最初に海洋堂のスタッフに組んでもらった3体を受け取りました。関節部に直径0.8mmの真鍮線を使って軽く角度を変えてみました。もう1体の顔の赤い機体はランナー状態から自分で組んだので腕も首も腰も好きなだけ角度を変えてみました。いずれの関節もわりと簡単にポーズを変えられます。
 1/35スケールのキットということでディテールアップできるところはできるだけ手を加えておきました。面倒なので普段はやらないけどアーマーのフチやシュレックのフチを削って薄く見えるように加工しました。チンガードの太いフックを真鍮線に置き換えようと最初は直径0.5mmで作ったのですが、この太さだとやや貧弱なので0.8mmに付け替えました。すべての関節も0.8mmの真鍮線を軸にして頑丈にします。この工作はウェーブの金属線用ニッパーとタミヤの電動ハンディドリルが大活躍します。頭の後ろの鎖骨みたいなパーツの塞がっている部分は貫通させてみました。
 わしの場合10歳の頃からプラモデル作ってきてカッコいい飛行機や戦車の塗装パターンをそのまんま暗記してきました。その時から今日までの記憶を活かしてマシーネンなど架空モデルを塗装しています。資料を見ながら塗ると机の上の作業スペースが減るし記憶だけで塗れば細かいところが気にならなくてなかなかいいんですよね。最初に塗った3体もそうして記憶のコラージュをもとに塗装したものだし、4体目の赤い顔はソ連のヤコブレフYak-9の赤い機首の機体を思い出してモンキーローズを混ぜた赤で塗りました。本体はヤクトパンサーの迷彩パターンですね。
 ここのところマックスファクトリーのファルケや海洋堂のキュスターなど1/35のキットをたくさん塗っています。このサイズのマシーネンのキットはミニスケールのAFVの塗り方にとても似てるね。今までの1/20のキットとは縮尺の基準みたいなところを変えて塗っているんです。いろいろな塗装パターンを暗記しているおかげで4体あってもすんなり塗装できたし、この1/35というサイズが集中時間が短くても完成できるんですよ。MAXさんに「またすごく上手くなった。1/35の塗り方に開眼した」って褒められたけど、時間のかかる作業になっていなくて、全部新鮮なまま終わる感じがいいのかもしれませんね。作業や塗装の手数が少なくて済むし、小さいパレットで塗っているからすぐ隣の色と混ざって混色も手軽にできる。塗装時間が1/20と同じくらい使えるとしても、1/35のほうがその面積での変化はよりダイナミックなのかもしれないね。ミニスケールだから手を抜いているところが絶妙な引き算になっていていい案配で仕上がるんでしょうね。(横山宏)

海洋堂1/35スケール プラスチックキット

シュトラール軍 ヒューマノイド型無人邀撃機 グローサーフント

製作・文/横山宏

ARTPLA ヒューマノイド型 無人邀撃機 グローサーフント(3機セット)
●発売元/海洋堂●6600円、発売中●1/35、約9.7cm●プラキット●原型/谷明●海洋堂直営店限定の特別カラーver.も販売


シュトラール軍 ヒューマノイド型無人邀撃機 グローサーフント
シュトラール軍 装甲戦闘服M型 メルジーネ 製作/MAX渡辺

シュトラール軍 ヒューマノイド型無人邀撃機 グローサーフント ビネット 正面
▲ジャングルの湿地帯を進む2機のグローサーフントとメルジーネ。以前製作した海洋堂製1/35ラプターのビネットがジャングルの湿地帯だったことから、同じ地域でのちに接遇するシーンを想定し敵を警戒しながら行動するビネットを臨場感たっぷりに作った
シュトラール軍 ヒューマノイド型無人邀撃機 グローサーフント ビネット 側面
▲湿地帯の地形に植栽模型「紙創り」製の植物を配置し、タミヤ透明エポキシ樹脂に泥水色に調合した塗料を少量混ぜて流し込んだジャングルのビネット。各機の沈みぐあいに差をつけ、急に深さが変わる状況を演出している
シュトラール軍 ヒューマノイド型無人邀撃機 グローサーフント ビネット 天面
▲上面から撮影したビネット全景。泥水に浸った植物のレイアウトがみごとだ
オリーブドラブ、ウッドブラウン、ライトグレー、サンドイエローのジャングル迷彩 グローサーフント
▲オリーブドラブ、ウッドブラウン、ライトグレー、サンドイエローのジャングル迷彩
シュトラール軍 ヒューマノイド型無人邀撃機 グローサーフント ビネット 斜め
▲グローサーフント&メルジーネのビネットとラプターのビネットを少し離して置き、別方向から進んでいた両軍が会敵するシーンを撮影。ダブル・ビネットのアイデアが光る
グローサーフント
▲粗い筆塗りのタッチがジャングルのシーンによく合う。「3機セットなのに同一部隊マークが3機分無いのはチョイ困りました。レインボウエッグさん、1/35デカールセットお願いいたします!!」(MAX渡辺)
シュトラール軍 装甲戦闘服M型 メルジーネ ビネット 正面
▲月刊ホビージャパン2020年11月号掲載の海洋堂1/35ガチャーネン ラプターのビネットも再撮影した
シュトラール軍 装甲戦闘服M型 メルジーネ ビネット 天面
▲ブルーグレー×グリーングレーの迷彩もまた湿地帯との調和を見せるカラーリングだ
シュトラール軍 装甲戦闘服M型 メルジーネ ビネット 背面
▲2機の高低差がわかる背面ショット。今回同様、「紙創り」と透明エポキシ樹脂を使用

■令和6年能登半島地震
 あけましておめでとうございます♪ と、コロナ禍もようやくひと段落し新たな気持ちで新年を迎えて……と思っていた矢先の元日、能登半島地震が起きてしまいました。コレを書いている1/12時点で犠牲者は200人を越え、25,000人超の方々が避難所暮らしを余儀なくされているとのこと。石川県は20年ほど前、穴水で釣具屋「釣侍」開業、今も九谷焼のお仕事をさせていただいている所縁の深い土地です。2回出場させてもらった「珠洲トライアスロン」は国内屈指の風光明媚かつタフな名レースです。地域の復活、復興を願わずにいられません。何かチカラになれることはないかとジリジリした焦燥感に苛まれているこの頃です。

■海洋堂1/35グローサーフント登場!!
 さて、切り替えて参りましょう! 1/35海洋堂グロフン、スタッフさんの、そして工場サイドの開発がツボを心得始めたのか、とても良いキットに仕上がっています♪ 嵌合やディテールに問題が散見されたシュトゥルムケーファーと比しても格段の進化を遂げています。スケール比率的には確かに太く厚く見える箇所もあります。しかしながら組み立て時の破損ストレスを考慮したらこの強度確保は正解ですね。腕に覚えのあるヒトには、追加工作、ディテールアップを楽しむ余地が用意されているという「福音」となるでしょう。

■水物ビネットに
 最近キレッキレに腕が冴えまくっている横山センセから画像が送られてきました。いつものお家の壁で撮られたグロフン3機。コレがメチャクチャカッコイイんですよ。とても1/35スケールには見えないソレらを見て「フツーに作ったら勝ち目が、無い!!」と。過去作を流用しようと倉庫で家捜ししていた折に、同スケール1/35のラプター2機をあしらった「ジャングル湿地遡行ビネット」を発見♪ 閃きました! 同一戦場できっとこの後「会敵」するであろうシュトラール部隊を作ろうと。いわば過去作へのAnswerですね。
 先日訪れたオーストラリアに想いを馳せつつレイアウトを考えます。前作(月刊ホビージャパン2020年11月号掲載)はなるべく小さな空間にまとめるべく角材の上面に組み上げたラプター2機で構成しました。今回はデカいグロフン、しかも2機使いたかったので同じ広さでは窮屈に過ぎると判断し断念。その代わりAI機に随伴する有人機メルジーネも加えて絵に変化を与えようと画策しました。
 突然の増水で水に浸かった植物、元の地形は大きな高低差のある熱帯の湿地と想定しました。せっかく水に浸すので大胆に下半身をカットしてズップリと深水にハマるメルジーネがイイでしょ♪ 植栽は以前作例に使った「紙創り」を修繕して再利用しました。水辺表現には「タミヤ透明エポキシ樹脂」を使用。泥水色に調合した少量の有機溶剤アクリル塗料を混入撹拌して2023年末の仕事納め後に流し、年越し。しかし誰もいない工房は気温が低過ぎたようです。年始の撮影当日になってもベタ付きがなくならず、やむなく不完全、未硬化の状態で納品、撮影となりました。ホント、冬場は模型工作には不向きな季節ですな横山さん。(MAX渡辺)

海洋堂1/35スケール プラスチックキット

シュトラール軍 ヒューマノイド型無人邀撃機 グローサーフント

製作・文/MAX渡辺
協力/鈴木孝

ハセガワ 1/35スケール プラスチックキット

シュトラール軍 装甲戦闘服M型 メルジーネ

製作・文/MAX渡辺
協力/鈴木孝

P.K.A.Ausf.M メルジーネ “ヴァルトガイスト”
●発売元/ハセガワ●3520円、発売中●1/35、約6.7cm●プラキット●2体セット


[Ma.K.in SF3D]EXPLANATIONS Vol.123

シュトラール軍 ヒューマノイド型無人邀撃機 グローサーフント

文/KATOOO(レインボウエッグ)

 グローサーフントは全高約3mのヒューマノイド型無人兵器です。初出は月刊ホビージャパン1985年7月号。従来の装甲戦闘服や2足歩行戦車などの無人兵器とは趣の異なるデザインの機体でした。デザインの着想を横山先生にお伺いしたところ、「ヒューマノイドタイプのロボットが昔から大好きで、映画『ターミネーター』を観た次の日くらいからラフスケッチを描いてグローサーフントを作り始めたんです。かかとの球はターミネーターの影響ですね。キャメロン監督がいなかったらグローサーフントもないわけです。キャメロン監督に感謝です。連載後期ということもあってシュトラール側の究極兵器としての側面もありますね。「Ma.K.B.D.」(大日本絵画刊)の最後にも出てくるし、重要な局面に登場する無人兵器という位置付けになってますね」と答えてくれました。
 1985年には日東の『SF3D』プラキットが充実しキットを流用した短期間でのスクラッチが可能に。横山先生はグスタフやA.F.S.、クラッフェンフォーゲルなどを流用して3日間ほどでグローサーフントのオリジナルモデルを完成させたそうです。
 2011年にハセガワからオリジナルモデルと同スケールの1/20プラキットが発売され、さまざまなバリエーション機がキット化されてきましたが、2024年1月には海洋堂製1/35プラキットが発売となります。スケール違いのグローサーフントについて横山先生は「グローサーフントのかかとの球は、足が大型化して安定板の付いたアルタイルやキュクロープでは付かなくなったけど、どっちもいいなと思っているんですよ。1/20では若干心もとなかったかかとの球は1/35だと逆にリアリティが出てくる。スケール感によって説得力が出てくる部分もあるんだという発見がありました」と答えてくれました。
 1/35スケールのグローサーフントは全高約10cmとサイズも手ごろ。各メーカーの装甲スーツと組み合わせてもいいし、キュスターやファルケなどと組み合わせればドラマ性も生まれて、1/35の『Ma.K.』の世界をさらに広げてくれるキットになりますね。


海洋堂から1/35後期量産型グラジエーター発売!!

 1/35スケールでは初のプラキット化となるグラジエーターが海洋堂から発売!
 ラプター型ハッチとレールガンを搭載した後期量産型仕様で、成型色がオリーブドラブとニュートラルグレーの2機セットとなる。海洋堂直営店ではライムグリーンとライトブラウンの成型色の特別カラー版も販売する。

通常Ver.オリーブドラブ

通常Ver.オリーブドラブ

通常Ver.ニュートラルグレー

通常Ver.ニュートラルグレー

特別Ver.ライムグリーン

特別Ver.ライムグリーン

特別Ver.ライトブラウン

特別Ver.ライトブラウン

ARTPLA H.A.F.S.グラジエーター [後期量産型](2機セット)通常Ver.

●発売元/海洋堂●7700円、3月予定●1/35、約13.5cm●プラキット●原型/谷明


ARTPLA H.A.F.S.グラジエーター[後期量産型](2機セット)特別Ver.

●発売元/海洋堂●7700円、3月予定●1/35、約13.5cm●プラキット●原型/谷明●海洋堂直営店(海洋堂公式オンライン、ホビーロビー東京、ホビーロビー門真)で販売

© Kow Yokoyama 2024

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MAX渡辺/横山宏/KATOOO

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