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3Dモデリングの作業工程を簡潔にご紹介!ダークアドヴェント「ソフィア」を追加パーツ製作で魅力倍増!

2023.12.05

ガールズプラモスタイル #01(11月30日発売)

3Dモデリングでソフィアの魅力を倍増させる!

ソフィアのイメージカット画像

 アルファマックスおよびスカイチューブから発売されているDarkAdvent。キャラクターデザインにsaitom氏、素体ボディに浅井真紀氏という強力タッグを開発に据え、豊富な差し替えパーツがもたらす高いプレイバリューと類を見ない“セクシー要素”によってガールズプラモの中でもひと際異彩を放つシリーズです。

 そんなDarkAdventからは「ソフィア リラックスver.」をお届けします。製作はRikkaが担当し、基イラストに近い印象に仕上げてもらいました。とはいえ、塗装だけでは限界はあります。そこで現在は「聖闘士聖衣神話」をメインに手掛ける、月刊ホビージャパンでもお馴染みの南田香名氏および氏が率いるチームミュークリエを招いて、3Dモデリングで表情3パターンを新造。さらにオリジナルの髪型3パターンも造形してもらい、より多様なシチュエーションを演出できるようになりました。3Dモデリングの流れも解説していくので、デジタル造形に興味がある方はぜひ参考にしてください。


まずはキットの内容だけで仕上げる

ソフィアの正面全身とミニドラゴンの画像
ソフィアの顔の画像
ソフィアの後頭部の画像

▲ イラストのきめ細やかな髪を再現するため、髪パーツにデザインナイフで彫り込みを加えて情報量をアップ。やりすぎるとガタガタになってしまいやすいので、ほどほどの塩梅で彫り込んだ

ソフィアのボディの画像
▲ 太ももはパーツ差し替えでガーターベルト仕様にすることも可能。また、ベビードール、二の腕のアームドレスは着脱可能なので、好みのスタイルを堪能できる
机、お酒、お菓子、スマホ、クッションのオプションパーツ
▲ このリラックスver.最大の特徴は小物パーツが豊富であること。テーブルとクッションに加え、スマホ、お酒とポテチが付属するので、お部屋でのリラックスタイムを演出できる
ミニドラゴンの画像
▲ ミニドラゴンの口は開閉可能

3Dモデリングでお好みのスタイルに!

ソフィアのショートヘアの画像
ソフィアのロングヘアの画像
ソフィアのツインテールの画像
▲ ここからは今回の作例のミソとも言える3Dモデリングに入る。髪型は新たにショート、ロング、ロングツインテールの3種を追加
ソフィアの3種類の表情比較画像
▲ 表情はよりイラストの雰囲気に近づけた通常顔に加え、小物類と組み合わせて遊べる流し目、泣き顔の計3種を用意。髪型3種と組み合わせれば9パターンの頭部を作れる
ソフィアのアクションポーズ画像 その1
▲ ロングヘアーと泣き顔の組み合わせに小物もフルセット使用した“ヤケ酒”シチュエーション
ソフィアのアクションポーズ画像 その2
▲ ロングツインテールと流し目にクッションを組み合わせた寝そべり誘惑シチュエーション

3Dモデリングの流れ(解説/南田香名)

 ここからは3Dモデリングの作業工程を簡潔にご紹介。使用するソフトはデジタル原型では王道と言えるZBrush。

ソフィアの3Dモデリングの画像 その1
▲ まずはじめに取説や自撮りの画像を画像加工ソフトで重ね、ZBrushの正面フロアに取り込んで原寸を設定する
ソフィアの3Dモデリングの画像 その2
▲ 側面フロアには横顔の画像を取り込み、採寸して製作したボールジョイントを配置して作業スタート
ソフィアの3Dモデリングの画像 その3
▲ 顔のラフ。タンポ印刷を考慮せず目周りも立体的に。目はディテールではなく面として捉えている
ソフィアの3Dモデリングの画像 その4
▲ これをダイナミックサブディビジョン表示(SDiv3相当)。面が滑らかになって見える
ソフィアの3Dモデリングの画像 その5
▲ 目を早い時点で描いて、見ながら造形できるのがデジタル造形の利点。SDiv6まで上げた状態でポリペイント
ソフィアの3Dモデリングの画像 その6
▲ SDivを行き来しつつ、口などを細かく造形していく。眉毛は別オブジェクトで追加
ソフィアの3Dモデリングの画像 その7
▲ 顔に後頭部や耳を別オブジェクトで追加。これで顔が形になってくる
ソフィアの3Dモデリングの画像 その8
▲ 不要なところを削り取る為のオブジェクトを追加。嵌合部などもここで製作
ソフィアの3Dモデリングの画像 その9
▲ 顔用オブジェクトをバラしてみたところ。これらを順に配置して足したり引いたり(ブーリアン)してパーツになる
ソフィアの3Dモデリングの画像 その10
▲ ブーリアン順。1+2−3+4−5+6−7+8−9。この順で加減をすることで顔パーツになる
ソフィアの3Dモデリングの画像 その11
▲ 実際に足したり引いたり(ブーリアン)してできたブーリアンメッシュ
ソフィアの3Dモデリングの画像 その12
▲ 後ろから。顎裏からジョイント辺りをこの様にするために顔と後頭部を別オブジェクトで製作した
ソフィアの3Dモデリングの画像 その13
▲ おでこの上の凹みは完成後の組み替えでバラす時用の爪かけ
ソフィアの3Dモデリングの画像 その14
▲ 髪の毛の房の製作。だいたいこのくらいのポリゴンで房(毛束)の形を出していく
ソフィアの3Dモデリングの画像 その15
▲ それを順に配置しつつ、前髪を作っていく
ソフィアの3Dモデリングの画像 その16
▲ だいたい前髪が形になったところ。実際には前髪を作りつつ顔も調整したり、目や眉の見え方に応じて髪を調整したりする
ソフィアの3Dモデリングの画像 その17
▲ 前髪のディバイドを上げた状態。髪はひたすらこの作業の繰り返し。後髪を作りながら前髪も調整する
ソフィアの3Dモデリングの画像 その18
▲ ショートヘア完成状態前。3本のアホ毛はソフィアの記号として残してみた
ソフィアの3Dモデリングの画像 その19
▲ ロングツインテール完成状態ロング前。前髪は共通パーツとして製作。ツインテールは流れの綺麗さと空間の埋め方を意識した
ソフィアの3Dモデリングの画像 その20
▲ ロングヘア完成状態ロング前。毛の流れと空間の埋め方を意識しつつ、左右のアホ毛の位置を下げてバランスを取ってみた
ソフィアの3Dモデリングの画像 その21
ソフィアの3Dモデリングの画像 その22

▲ キットのオプションが一人呑みテーマなので、酔っぱらった状態としても使える汎用性が高い2種を用意

ソフィアに使用した自作デカール画像
▲ 目は自作デカールで補完。雰囲気はsaitom氏のイラストのテイストを目指した
3Dプリンターで打ち出したソフィアのパーツの画像
▲ デジタル造形したパーツを3Dプリンターで打ち出した状態
デザインナイフでパーツを調整している画像
▲ パーツ設計通りには出力されないことも多いので、デザインナイフやリューターなどで調整する必要がある
ソフィアのアクションポーズ画像 その3
▲ ソフィア用のスタンドも付属するので、足場が不安定なポーズも取らせることができる

はじめに
 ガールズプラモスタイル刊行おめでとうございます! 南田香名です。ロートルの身でありながらご指名いただきましたので、7年ぶりの作例、老骨に鞭打ってみました!

3Dモデリング
 今回は専門誌として月刊ホビージャパンより突っ込んだ作例を、とのことで、スクラッチパーツで新規表情とヘアスタイルアレンジを提案。また、昨今作例でも見かけるようになったデジタル造形の紹介、というお題をいただきました。普段私がZBrushを使用してフィギュアの原型を作成する過程のご紹介となりますが、ごく一部の機能しか使えていない(汗)ので、その程度の機能でもこのくらい作れます程度にご参照ください。

ソフィア
 さて、そのアイテムとして指定されたのがガールズプラモ界の神、浅井氏が企画に携わっているDarkAdvent。どういうハードルの上げっぷりでしょう(泣)。ヘアスタイルアレンジなので、顔はキットパーツを使用すれば良いのですが、デジタルで顔とフィットするパーツを作るには顔パーツのデータ化が必要です。それはそれで作例としてハードルが爆上がりなので、採寸で済む首のボールジョイントから先を製作する形にしました。せっかく顔も作るのであればさらに表情のバリエーションも欲しい! 編集部の欲望は止まりません(笑)。

改めてキットの髪を見てみると、インジェクション成型に適応したアンダーテーパーのない、それでいて立体感が充分に感じられる見事な匠の造形。それに舌を撒きつつも、成型都合を無視できるので、そういったことを抜きにした造形でまとめてみました。

ひとりではない、この戦い!
 造形補助やアイペイントのデカール化などはミュークリエのメンバーにも手伝ってもらいました。ありがとう! そして、8年前の引っ越しで塗装環境を失ったままの悲しき身。塗装やキット製作は現役バリバリのRikkaさんに。とても可愛く仕上げていただいて感謝しかありません!

南田香名(ミナミダカナ)
 かつて月刊ホビージャパンにおいて大活躍したレジェンドモデラー。現在は造形チーム・ミュークリエを率いて、主に「聖闘士聖衣神話」シリーズといった商業原型を手掛けている。X(Twitter)ID:@MinamidaKana


悪魔の力を借りし少女(成人済み)の休日
 みなさんまた会いましたね! Rikkaです(笑)。闇の力(ダーク)を降臨(アドヴェント)させる少女たちのプラモデルシリーズより、ソフィア リラックスVer.を製作しました。今回の見所はやはり3Dモデリングで製作されたフェイスおよび髪型パーツです。南田香名さんの手によって、フェイスと瞳デカールはイラストに寄せる形で作られています。髪型もロングヘア、ロングツインテールと、迫力満点の出来映えです。今回はこれらを組み込んだ形、ボリューム満点な作例となります。

製作について
 キット部分はストレートに製作。イラスト寄せのオーダーでしたので、普段は肌の影色にペールレッド系を使用することが多いのですが、今回はイラスト寄りの効果を狙ってノーツフレッシュピンクを使用しています。今後もキャラクター性に合わせて使っていきたいなと思う色味でした。

前述のオリジナルパーツは3Dプリント製のため、積層痕やサポート痕の処理をしてから塗装に入ります。3Dプリントレジンは瞬間接着剤を使用して穴埋めなどを行なっていきます。こちらのレジンはラッカー塗料がプライマーなしでも食いつくものもあるのですが、マスキングなどで剥がれてくる時もあるので、念のためプライマー入りのサーフェイサーを下地にし、その後通常のプラモデルと同じように塗装していきます。胴体黒部は下地の窪んでいる部分にこっそりと赤を忍ばせ、それを残すようにフィニッシャーズ カーボンブラックマットを上掛けしています。

豊富な付属品
 このアイテムにはテーブル、ポテチ、缶チューハイなどの面白い付属品がつき、プレイバリューの高い遊び方ができます。その表面部分は水転写デカールを貼り付けていく形になりますが、この水転写デカールがちょっと硬めかつ曲面に貼り付けていくようになるため、貼り付けにはちょっとコツがいります。説明書に貼り方の解説があるので、それを守るようにして作業をしてもマークセッターやマークソフターなど、扱うのに注意が要るものが必要です。特にポテチ袋などは慎重に一枚ずつ貼るようにしてみてください。

(文/Rikka)

ソフィアの画像

アルファマックス ノンスケール プラスチックキット“DarkAdvent”

ソフィア リラックスver.

製作・文/Rikka
3D造形/南田香名&チームミュークリエ

DarkAdvent ソフィア リラックスver.
●発売元/アルファマックス●5940円、発売中●約16cm●プラキット

ガールズプラモスタイル#01
2,420円(税込)

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Ⓒ Masaki Apsy Ⓒalphamax

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