HOME記事スケールモデルターボ時代のF1を象徴するマシン。モンモデル初の1/12 F1モデル「マクラーレン MP4/4 1988」を畠中浩が製作!

ターボ時代のF1を象徴するマシン。モンモデル初の1/12 F1モデル「マクラーレン MP4/4 1988」を畠中浩が製作!

2023.11.13

マクラーレンMP4/4 1988【モンモデル 1/12】 月刊ホビージャパン2023年12月号(10月25日発売)

ターボ時代の終焉を飾った伝説のマシンをビッグスケールで楽しむ!!

 1988年シーズンの王者にしてターボ時代のF1を象徴する伝説のマシン、マクラーレン MP4/4がモンモデル初の1/12 F1モデルとして登場。その全貌を、キット解説と作例の二本立てで紹介。今回は、畠中浩による作例をご覧いただこう。

 けんたろうによるキット解説はコチラ!

マクラーレン MP4/4 1988 正面
▲1988年シーズンを圧倒的な強さで駆け抜けたマクラーレンMP4/4。作例ではアイルトン・セナ初のワールドチャンピオンを決めた日本GP仕様を再現するため、細部の改修とスポンサーロゴの追加を行っている
マクラーレン MP4/4 1988 背面
ウイング アップ
フロントウイングを削って微調整

▲ウイングは前後とも翼端板のエッジのみ削り込んで薄さを表現。また、フロントウイングの角度も日本GP本戦仕様に合わせて微調整している

リアウイング 正面
リアウイング 背面
▲リアウイングは中央の補強板(銀色の部分)を薄く見えるように修正。また、ウイング上段と翼端板との接続部分が直線になるように形状を修正した
フロントカウル
▲︎フロントカウルの接続は取り外しの容易な磁石に変更している
ロールバー後部のアンテナ基部
▲ロールバー後部のアンテナ基部をプラ板で作り直し、周囲の隙間も塗膜を考え調整
座席のシールド アップ
シールド パーツ

▲シールドは後部の返しを大きめに追加して塩ビ板をバキューム。元パーツ裏は熱で歪まないようパテを詰め込んである

コックピットの計器盤 各スイッチ類を切り離した状態
コックピットの計器盤 作例
▲︎コックピットの計器盤は各スイッチ類を切り離し、別パーツとして再利用。元の位置を残すため、穴を開けておくのがポイント
カウルに再現されたロゴ アップ
▲︎グロス仕上げのカウルに映えるマットなロゴは自作のデータを基に発注したインレタの直貼りで再現。本作における畠中氏のこだわりポイントのひとつだ
シンナーを浸した筆でなぞりディテールを追加したモノコック
▲モノコックはシンナーを浸した筆でなぞりディテールを追加。場所によって模様が変わるのでマスキングをしながら溶けたプラを塗りつける要領で再現
ブレーキ部配管
▲前後のブレーキ部配管は市販パーツなどを利用して原型を作りホワイトメタルで複製したパーツを0.5mmハンダでパイピングしている
エンジン パーツ1
エンジン パーツ2
▲︎1/12スケールならではの密度と作りごたえのエンジンは完成後には見えなくなるクラッチまで再現。ほぼストレート組みだが、ベルト部分のみ薄く見えるように削り込んでいる
ステアリングのギア部 素組み
ステアリングのギア部 作例

▲ステアリングのギア部は正面から見ると丸出しになるので市販のパーツを使って正面を隠すように処理

車体の外装と内部

■カウルの製作
 ワールドチャンピオンを決めた日本GP仕様にしたかったので一部、改修しました。とは言っても大きな改修はなく、サイドのラジエターアウトレットのふたをプラ板で追加。コックピット前のバイザースクリーンは後部の返しが小さく感じたのでキットパーツを修正して塩ビ板をバキュームフォーム。そのスクリーン後端からコックピット開口部左右に付く、風の巻き込みを調整する小さなプレートも0.3mmプラ板から切り出して追加したくらいです。カウルはアンダーパネル裏からビス固定する構造ですが、サイドから固定する方式に変更。キャッチピンはキットのモールドを型取り、ホワイトメタルで置き換えたパーツを貼り付けました。ロールバーはアンテナを取り付ける台座の大きさが気になったので実車に合わせて開口部共々修正、左右で形状が違うアンテナも真鍮線やプラ棒から作り直しました。

■モノコックの製作
 このモノコックはカウルに隠れる部分の表面がカーボンの成型時に使うマットの凹凸をそのまま残しています。きれいすぎる表面処理は好きではないため、資料を見ながらハードシンナーを染み込ませた筆でなぞり、各部に繊維状の模様を入れました。この上から付属のカーボンデカールを貼り、色味やツヤを整えるクリアーをかけるのでやや大げさに入れてあります。モノコック表面のリベットも再現されていますが、金型から抜く都合で楕円になっているところも多いので、削り取って市販のエッチングリベットを貼ってあります。シートベルト基部はモノコックへの取り付け金具も再現されていますが、製作過程の都合上ピンを切り取って最後に差し込んで完成させています。

■コックピットのディテールアップ
 ステアリングホイールの上部が直線的な形状になっていますが、これはプロスト用なのでポリパテを盛って完全な丸形に変更。スポーク部もセナ用は上部がなだらかに曲線になっているのでプラ板を足して形状変更して市販のカーボンデカールを貼りました。メーターパネルとステアリングホイールのスイッチ類は非常に細かく成型されています。塗り分けでも良かったのですが、よりきれいに仕上げたくなったのですべて根元から切り離し別パーツとして塗装、元の位置に取り付けています。そのついでにメーターの中央部のランプ3個は透明の伸ばしランナーを切り出して取り付けました。シートベルトは布シールが付属しているのでわざわざ変える必要はありませんが、好みでサテンリボンに変えつつ肩パッドとBOSSのロゴも自作して追加しています。

■エンジン
 細かい分割でかなり立体的に再現されていて見えなくなるクラッチまで再現されています。塗装は黒一色の構成ですが、ツヤや白を加えた黒などで塗り分け、別パーツ感を出してあげましょう。細かいところではD18のベルト部分を薄く削りました。これだけでも見映えが変わります。

■サスアーム
 勝手にプラ製だろうと思っていたサスアームはしっかりとしたアルミダイキャスト製。さらにパーティングラインを削ってくれているというハイパー親切仕様です。これ、削るのがとても大変なので本当にありがたい。塗装に関してはとても剥がれやすい材質なので600番程度の荒い紙ヤスリで足付けをしてミッチャクロン、サーフェイサー、セミグロスブラックで塗装しましたが、それでも固定用のビスをねじ込むと塗膜もねじ切れたので、各部補修は必須ですね。

■塗装など
 白は純白ではなく黄色と青、黒などを微量加えたいわゆるグランプリホワイトで塗装。意外に難しいマルボロレッドの塗り分けラインは段差で指示してくれていますが、赤のほうが高く位置が分かりやすい反面、これ、逆だったらさらに良かった! 蛍光レッドはどうしても塗膜が厚くなりがちなので赤側が低かったらちょうど平滑にしやすいですからね(笑)。スジ彫りや凸ラインよりもはるかにいい処理だと思うので、もしこのシリーズに続きがあるならぜひ逆にしていただけると嬉しいと思いました。各色の塗装後、そのままウレタンクリアーでコートしました。デカールですが、当然マルボロのデカールは入っていないですし、せっかくの1/12ですから黒と白のロゴはすべてデータを作りインレタを発注して直に貼り付けました。それ以外のシェルマークなどはキットのデカールを貼っています。実車よろしくツヤ有りの白ボディにツヤ消し黒のロゴでツヤが途切れる様を再現出来て満足しています。そして付属のデカール、これは本当に素晴らしい。フィルム自体の強度も強く、例えばターボのインテーク部分などの曲面を貼る際、指で摘んで引っぱりながら馴染ませても破れなかったですしクリアーなどにもかなり強いですね。色味は好みの問題でクリアーブラウンなどで調整しましたが、印刷もきれいですし貼り付きの強度も凄くてお気に入りのデカールです。

■最後に
 柔らかめのプラで成型されているので各ネジをねじ込みすぎるとネジ山が壊れやすいので回し過ぎないように、パーツの接合部もキツめなので無理に抜き刺ししないよう注意です。精度が非常に高く、分かりやすい組立説明書もあるので初心者でもきっちり組み立てられるでしょう。個人的に2023年製作した中で一番好きなキットになりました。

モンモデル 1/12スケール プラスチックキット

マクラーレン MP4/4 1988

製作・文/畠中浩(ももふく模形舎)

マクラーレン MP4/4 1988
●発売元/モンモデル、販売元/GSIクレオス●33000円、発売中●1/12 約36.7cm●プラキット

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畠中浩(ハタナカヒロシ)

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