HOME記事キャラクターモデル細部塗装とリタッチはファレホにおまかせ! 新シリーズ「エクスプレスカラー」の性能にも迫る!! デスメッセンジャーを歴戦の機体に仕上げる【水性塗料の教科書】

細部塗装とリタッチはファレホにおまかせ! 新シリーズ「エクスプレスカラー」の性能にも迫る!! デスメッセンジャーを歴戦の機体に仕上げる【水性塗料の教科書】

2023.10.15

ファレホのエアブラシ&筆塗りのポイント、すべて解説します!/デスメッセンジャー【ボークス 1/35】 月刊ホビージャパン2023年11月号(9月25日発売)

ファレホのエアブラシ&筆塗りのポイント、すべて解説します!

デスメッセンジャー イメージカット

「エアブラシと筆塗り」のスムーズな往復を活かして、重厚感あるATを仕上げる!

 ファレホの種類を知ったら、お次は作例を通して使い方を見ていきましょう! ファレホは筆塗りなら「水」、エアブラシ塗装なら専用の溶剤を使えばすぐにエアブラシ塗装に適した塗料に変換できます。
 ここではエアブラシ塗装がよりスムーズになる塗料の調整の仕方や筆塗りのポイントを紹介していきます。

使用キットはこちら!
ボークス 1/35デスメッセンジャー

デスメッセンジャー 素組み
▲素組み。キットは成型段階で色分けがほぼ完璧。コクピットも再現され、降着状態も可能とギミック面も楽しいキットです
デスメッセンジャー 作例
▲こちらがファレホのエアブラシ塗装と筆塗りを併用して完成したデスメッセンジャー。この重厚感ある仕上がりを、無臭の水性塗料塗装で楽しめるのです!

塗る人/大森記詩

彫刻家。プラモはメカからスケールまでなんでも大好き! 普段は筆塗りメインですが、今回は久しぶりにエアブラシを使用。ファレホを使うのも、水性塗料を使用するのも初となります!

 前編はコチラ!

 ファレホのエアブラシ塗装ポイント 

大注目の水性塗料「ファレホ」はエアブラシ塗装も無臭で超快適!! ノズルの詰まりを軽減するポイントも伝授します!【水性塗料の教科書】

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ファレホの筆塗りはとっても快適で楽しい!

 ここからは筆塗りにチェンジ! 各所に筆のタッチを加えて、面に情報量を加えていきます。「水」だけで塗料を調整できるので、とっても快適で楽しいですよ。

筆塗り時の注意

 塗料皿の上で一度乾燥したファレホは使用しないでください。ラッカー塗料のように溶剤で溶かして使用することはできません。ですので、使うぶんを少量出して使い切り、ボトルから継ぎ足しながら使用しましょう。

お皿に水を入れる
▲水だけ入れておく皿を準備。マグカップや紙コップでも良いです
違うお更に塗料を入れる
▲違うお皿には塗料を出します。その後、筆先に少量の水を含ませた筆で塗料を希釈。これで塗装準備完了です
目立たない関節部分で試し塗り
▲あまり目立たないところから試し塗りしてみて、色や濃度をチェック。問題なければどんどん塗り進めましょう

グレーの塗装

バイザーを筆塗り1
▲まずは関節やバイザー、武器などのグレー部分を塗っていきます。ベタッと塗るのではなく、あえて筆目のタッチが出るように塗っていきます。均一なエアブラシ塗面と差を出していきます
バイザーを筆塗り2
▲ファレホは半乾きでも上から塗らないこと。ひと塗りして乾いたら、塗り重ねましょう。乾燥は早いので、別のパーツを塗っているうちに乾いています
武器を筆塗り
▲武器にも筆のタッチを追加。上面や下面でタッチの回数を変えて平坦な面に濃淡を加えています

本体緑に筆のタッチを追加

 メインカラーとなる緑。ここではタッチを加えながら、各部のはみ出した色もリタッチしていきます。ファレホは隠蔽力も強いので、このような塗りつぶし系のリタッチは大得意。その性能を活かして塗っていきましょう。

リフレクティブグリーン
▲エアブラシ塗装で使用したリフレクティブグリーンを筆塗りしていきます
リフレクティブグリーンを筆塗り1
▲同じ色ですが、筆のタッチが加わるので表面に表情が出ます。使う塗料を一段明るい色にして塗ったりすると、ハイライトなどが表現できます
リフレクティブグリーンを筆塗り2
▲胸部ハッチは、ダメージや劣化が進んでそうな部分。こういった箇所はタッチを大きめにしたりして、他の部分よりもメリハリを強くしても面白いです
リフレクティブグリーンを筆塗り3
▲エアブラシ塗装でざっくりと塗り分けた濃い緑と明るい緑のキワを塗っていきます。筆ではみ出さないように、慎重に塗っていきましょう。はみ出しても、隣の色で塗りつぶせばリタッチは可能です
パステルグリーンを筆塗り1
▲パステルグリーンを筆塗り。このくらい大胆なタッチを繰り返して塗り重ね、最後は筆目でテクスチャー感が表面に出るようにまとめ上げていきます
パステルグリーンを筆塗り2
▲均一な塗面の上に筆目が加わることで、AT自体に使用感が出ます。いきなり筆塗りからスタートするよりも、整えやすい方法なので、ぜひやってみてください
頭部アップ
▲筆のタッチによる肩や頭部の立体感が素晴らしいです。ウェザリングとも相性抜群なので、ぜひ試してください

細部塗装は筆塗りの独壇場!

筆塗り1
▲ファレホは小面積なら筆ムラが目立つことなく、きれいに塗装できます。それを活かしてマスキングなどせずにどんどん塗っていけます。ターレット部分をシルバーで塗装。バラすのもめんどくさいので、パーツを付けたまま塗装しています
筆塗り2
▲肩も筆でタッチを加えてより重厚に。赤い肩にはこだわりを込めたいですね
筆塗り3
▲ファレホの白は隠蔽力が高いです。濃いグレーの上からでもさっとひと塗りでしっかりと発色します。性能の良い白は1本あるだけで塗装が快適になりますね
筆塗り4
▲コクピットシートの塗り分けも苦になりません。レザーブラウンを使用しています。このブラウン、本当に良い色なのでオススメです

スミ入れもウェザリングにも応用できる染め塗り塗料! エクスプレスカラー

 白やライトグレーの下地に塗ることで、自然なグラデーションに染め上がる塗料「ファレホ エクスプレスカラー」。こちらもメカの塗装に応用できます。染めるだけでなく、スミ入れや各部の汚しにも活かせて、とっても便利です。

ファレホ エクスプレスカラー
▲こちらが新発売の染め塗り塗料「ファレホ エクスプレスカラー」。中はシャバシャバの塗料で、白い下地に塗ると、模型の凹凸に沿って流れ込みながら染まり、自然なグラデーションを生み出します。ブラックロータスを使用
塗料皿に入れた塗料
▲エクスプレスカラーは水で薄められます。少量の水を加えてより薄くすれば、ウォッシングやフィルタリング効果を模型に与えられます
薄めたブラックロータスでウォッシング
▲シートにより使用感を出したいので、薄めたブラックロータスでウォッシング。塗料だまりができたら、筆先で伸ばすか吸い取るかしましょう
ブラックロータスでスミ入れ
▲ブラックロータスは絶妙な青みがある黒なので、こういったスミ入れにも適しています
スミ入れ後1
▲スミ入れした周囲がボワっと青くなっているのがわかります。この雰囲気がとてもかっこいいです。自然な影にも見えます
スミ入れ後2
▲流し込むというよりは、ディテールをなぞるようにして塗ります
水で吹きとるまたはぼかす
▲完全に乾く前なら、水を含ませた筆で拭き取るまたはぼかしたりすることも可能です
スミ入れ
▲こうやって染めるだけでなく、スミ入れやウォッシングなども可能なので、エクスプレスカラーはとっても便利。特にブラックロータスは超オススメです

エクスプレスカラーはエアブラシでも吹けます

ドワーフスキンとインペリアルイエローを混色
▲エクスプレスカラーのドワーフスキンとインペリアルイエローを混色。するとちょうど土や泥のような汚れの色になります
エアブラシ塗装
▲こちらをエアブラシで塗装! 表面にうっすらと汚れをまとわせることができます
汚し後の脚部
▲足もとに絶妙な汚しを加えられました! 完全に下の色を隠蔽しないので、すごく自然な汚れに見えます
汚し後の胴体
▲各部のサビ垂れも、先ほど調色したエクスプレスカラーで描いています。各所のチッピングはファントムグレーとダークブルーグレーを調色したもので一段目の剥がれを描き、その上からスチールで二段目の剥がれを描いて傷の深さを表現しています。二段目の剥がれを塗り重ねる時、一段目のグレーの縁が残るようにするのがポイントです
汚し後の肩部分
▲肩の赤も、一部塗装を剥がして下のグリーンが見えているような表現を加えています
エクスプレスカラーのブラックロータスでウォッシングしたコクピット
▲エクスプレスカラーのブラックロータスでウォッシングしたコクピット。使用感が出て非常に良い雰囲気に仕上がっています
デスメッセンジャー 正面、背面

/大森記詩

 すっかりラッカー筆塗りが長く、興味を持ちながらなかなか踏み出せていなかった水性塗料。ついに体験する機会が来ました! そんな初めての水性塗料はファレホです。エアブラシ吹きから始まり、筆塗りを加えて仕上げていきます。
 まず最初のエアブラシですが、筆塗りで整える前提なので、粗塗り的にどんどん吹き分けていきます。ファレホの発色の良さであっという間に基本塗装は終わりました。
 お楽しみの筆塗りでは、希釈は水のみで筆のタッチを加えていきます。筆塗りになってラッカー塗料と大きく違いを感じたのは、ラッカー塗料のように任意のタイミングで溶剤で何度も溶かして使うことができない点です。しかし、ファレホの隠蔽力の高さも相まって、慣れてくるとスムーズに塗り重ねていくことができました。ファレホのタッチで生じる塗装面はラッカーとも近しいので、ラッカー筆塗りをしている方は違和感なく塗っていけると思います。
 今回はバトリング機というイメージを重視して、メンテナンスが行き届いているため汚れは少なめ、しかし、機体の傷は数々のリアルバトルの戦績として残されている。といった、歴戦の決闘機という印象を目指してみました。
 汚しも軽く足周りからとし、エアブラシでエクスプレスカラーのインペリアルイエローとドワーフスキンを吹き付けましたが、筆塗りでもドワーフスキン味を少し増やしたものを各所に加えると、全体感を損なわずにメリハリの効いたトーンにすることができます。こうすると、本キットのしっかりとした重心を感じさせる機体プロポーションとマッチしますね。
 今の水性塗料はエアブラシと筆塗り、両方の塗り方が持っている良さをよりつないでくれるのだと感じています。水性先輩方のノウハウを参考にしながら、今後もさまざまなモチーフを水性塗料で塗って楽しんでいきたいです。

ボークス 1/35スケール プラスチックキット

デスメッセンジャー

製作・文/大森記詩

デスメッセンジャー
●発売元/ボークス●6600円、発売中●1/35、約13.5cm●プラキット

ⓒサンライズ

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大森記詩

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