HOME記事ガンダム『機動戦士ガンダム サンダーボルト』の高速機動型ザクが立体化!竹内陽亮の手による“タコザク”の雄姿をご覧あれ!

『機動戦士ガンダム サンダーボルト』の高速機動型ザクが立体化!竹内陽亮の手による“タコザク”の雄姿をご覧あれ!

2023.10.09

MSN-01 高速機動型ザク[GUNDAM THUNDERBOLT Ver.]【BANDAI SPIRITS 1/144】 月刊ホビージャパン2023年11月号(9月25日発売)

MSN-01 高速機動型ザク [GUNDAM THUNDERBOLT Ver.] イメージカット

 2023年初となる『機動戦士ガンダム サンダーボルト』立体化企画「THUNDERBOLT MECHANICS」は、南洋同盟と地球連邦軍との激闘のなか、ニュータイプのビリーとともにまさかの活躍を見せている“タコザク”こと高速機動型ザクを立体化! 本企画で数々の大物を手掛けてきた竹内陽亮による、サンダーボルト版“タコザク”の雄姿、じっくりお楽しみいただこう。

MSN-01 高速機動型ザク [GUNDAM THUNDERBOLT Ver.] 正面
MSN-01 高速機動型ザク [GUNDAM THUNDERBOLT Ver.] 背面
▲オリジナルに近いイメージのカラーリングとマーキングに惑わされがちだが、今回もほぼすべてのパーツに手が加えられており、下半身に至っては完全に作り起こしとなっている
頭部アップ
▲頭部は左右のダクトを大型化しつつ、頭部中央を幅詰めしてバランスを調整した。ちなみに頭部中央のダクトのカラーリングは単行本を参考にしたため、劇中とは異なっている
『機動戦士ガンダム サンダーボルト』単行本21集 表紙
▲『機動戦士ガンダム サンダーボルト』単行本21集(発行元/小学館、現在22集まで発売中)では表紙を飾った。本編を読めばさらに作りたくなること間違いなしだが、唯一のネックがベースとなるキットの入手。今回は編集長秘蔵の私物キットの提供を受けてなんとか立体化を実現することができた
側面
右斜め前
飛行状態 正面
▲︎ランディング・ギアのシリンダーは連動して可動。飛行状態も再現できる
飛行状態 背面
当時ものキットの下半身と並んでいる画像
▲左が今回使用しなかった当時ものキットの下半身。作例が大幅にボリュームアップされているのがお分かりいただけるだろう
腕部アップ
▲︎腕部もキットをベースに形状を変更。指はプラパイプで自作したものに交換している
脚部アップ
▲脚部は大型化するためフルスクラッチ。複数必要なパーツはひとつの原型をレジンで複製することで必要数を用意した
腕部有線誘導5連装メガ粒子砲の再現画像 正面
▲ケーブルパーツの接続で腕部有線誘導5連装メガ粒子砲も再現可能。ただし、コミック版の接続方法は強度的に難しいと判断し、ケーブル基部の取り付け方を変更している
飛行状態のディスプレイ専用ベース
▲︎飛行状態のディスプレイ用に専用ベースも用意した
腕部有線誘導5連装メガ粒子砲の再現画像 側面

■MSV
 TVアニメ『機動戦士ガンダム』の放送終了後から火が着いた人気は、なかなか冷めやらず、関連する「ガンプラ」が社会現象となって売れたのはご存知の通り。そして当時ユーザーの期待に答えるべく、その後も次々とバリエーションモデルのキットが発売されました。それがMSV(モビルスーツバリエーション)シリーズですね。その中でも異色を放っていたのが、本作例の高速機動型ザク(サイコミュシステムザク)であります。当時MSVシリーズが大好きで、ほとんどのキットを作った私ですが、このザクを作るのは今回が初めてだったりします。そして多くのMSV機が登場するサンダーボルト劇中では、ニュータイプである「ビリー」の搭乗で活躍します。デザインはサンダーボルト流にアレンジされた物で、表紙にも描かれた単行本21巻の登場シーンを中心に、通称「タコザク」として仕上げます。

■上半身の製作
 製作は貴重なキットを使い、プロポーションを見直しつつ進めますが、大部分の変更を行っています。まず頭部ですが、両サイドのダクトを広げるために、中央で幅詰めして大きくなり過ぎないように調整しました。胸部はキットパーツを芯として使いますが、ほぼ全面的に変更しています。腕部はキットの物を流用し、上腕部の形状を変更したのと、指はプラパイプに置き換えて表現。そして前腕の接続部にワイヤーパーツを挟み込むカタチで、サイコミュシステムの遠隔操作を再現しました。

■下半身の製作
 さて、上半身の次は下半身の製作に移るのですが、年代物のキットなせいもあって現代の物と比べるとバランスは良いとは言えず、下半身は絶対的にボリュームが不足しています。ここは割り切って自作するしかありませんね。とはいえ下半身は案外複雑なブロックの集合体であり、各ブロックの大きさは慎重に決めなければいけません。仕上げ途中の上半身パーツを目安にして、下半身のバランスを吟味して決定します。基本的にプラ板やプラパイプ等を組み合わせて構築するのですが、塩ビパイプや金属ワッシャーといった建材系の素材も使用しています。スカート内部から少し見える脚部の付け根は、塩ビパイプを主軸にし、プラ板等で調整して製作しました。各関節やバーニア基部には金属ワッシャーを挟み込んでアレンジしています。8本あるシリンダー接続された足首(タコだけに8本)は可動部を設けることでシリンダーの伸縮を表現。シリンダー部はプラ棒とプラパイプの組み合わせで再現しています。また、それぞれのパーツは1セットのみ製作し、複製することで必要数を確保しました。

■塗装、仕上げ
 Mr.カラーを使用して塗装します。まずは全体を基本的なカラーで仕上げるのですが、本体の白い部分は、若干の黒を加えてトーンを落とした物としました。機体各所に施された赤いラインは、主にラインデカールを使用し、デカールが馴染みにくいショルダーアーマーのラインのみ塗装しています。その後に各所にデカールを貼り、コーティングして仕上げました。

■あとがき
 クワガタムシを始めとした昆虫採集に夢中で、ガンプラブームには乗り遅れた感のあった当時の私。周囲の友人らがブームに冷めて来た頃に、ひとり熱くなってMSVやダグラムシリーズといったキットに熱中しておりました。なので今回ご提供頂いたキットの箱絵を見ただけで、とても懐かしく、感慨深く感じましたね。当時ものキットは今のキットに比べれば見劣りする点もありますが、ノスタルジックな良さも多く見受けられます。忘れていた何かがあり、製品には提供側と受け取り側の健全な関係が感じられますね。ただただ純粋に楽しんでいた当時の匂いに加え、製品としての秀逸さに、いまさらながら驚かされました。

BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット 高速機動型ザク改造

MSN-01 高速機動型ザク [GUNDAM THUNDERBOLT Ver.]

製作・文/竹内陽亮

MSN-01 高速機動型ザク
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●660円、発売中●1/144●プラキット

©創通・サンライズ

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竹内陽亮(タケウチヨウスケ)

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