HOME記事キャラクターモデル「ファイアボールSG」20年ぶりのキットはやっぱりこの塗り! 海洋堂1/35キュスターはランナーを活用してディオラマ製作!?

「ファイアボールSG」20年ぶりのキットはやっぱりこの塗り! 海洋堂1/35キュスターはランナーを活用してディオラマ製作!?

2023.09.29

Ma.K. in SF3D/ファイアボールSG【ウェーブ 1/20】 月刊ホビージャパン2023年11月号(9月25日発売)

待望の傭兵軍宇宙用スーツ満を持して登場!!

 ファイアボールSGは『Ma.K.』復活直後の2000年以降、各社から製品化された人気アイテムだった。だが、1/20のキットは久しく発売がなく、2023年7月に発売されたウェーブの完全新規金型によるファイアボールSGは実に20年ぶりのプラキットとなった。
 今回はMAX渡辺、横山宏によるベーシックな塗装パターンのSGを公開! さらに海洋堂1/35キュスターのディオラマ作例も紹介する。

傭兵軍 暫定型宇宙用装甲戦闘服 ファイアボールSG イメージカット

S.A.F.S. SPACE TYPE ファイアボールSG

●発売元/ウェーブ●4950円、発売中●1/20、約12cm●プラキット


傭兵軍 暫定型宇宙用装甲戦闘服 ファイアボールSG
製作/MAX渡辺

傭兵軍 暫定型宇宙用装甲戦闘服 ファイアボールSG 正面
▲MAX渡辺が製作したファイアボールSG 3体。傭兵軍宇宙用スーツの基本塗装色であるアンチフラッシュホワイト機、第241戦隊S中隊“グール・スケルトン”機というスタンダードな機体を深みのある重厚な塗装で仕上げている。デカールはいずれもキット付属のものを使用
 ファイアボールSG グール・スケルトン機 正面1
▲“グール・スケルトン”迷彩機の髑髏の顔は2機とも付属デカールを貼ってから筆でリタッチして仕上げた。全体の粗い筆のタッチも髑髏機をいっそう不気味にしている
 ファイアボールSG グール・スケルトン機 背面2
▲ファイアボールではむき出しで致命的な弱点だった背面を一体型のボディシェルでカバーしたSG。背面のボリューム感が際立つ
 ファイアボールSG アンチフラッシュホワイト機 正面1
▲SGは固定武装を強力な5.2cm Prg.58レーザーガンに換装。太いレーザーガンに変更されたことで力強い印象になった
 ファイアボールSG グール・スケルトン機 側面
▲ボディのフォルムがわかる側面のショット。迷彩色と赤の挿し色のコントラストが映える
 ファイアボールSG グール・スケルトン機 背天面
▲複雑な曲面に沿うような大胆な迷彩塗装の筆致にはテクスチャー的な効果も
デカールを張り付けるパーツ
デカールの位置確認
目を張り付け
鼻、文字の貼り付け

▲目からデカールを貼り、位置を微調整。ここからデカールの面や境界にダークグレーを塗り、迷彩色をタッチしてなじませる

5.2cm Prg.58レーザーカバー
▲今回のキット化でSGの5.2cm Prg.58レーザーにカバーが新たに設定された
 ファイアボールSG アンチフラッシュホワイト機 正面
▲ホワイトの機体にグレーのコードレターが傭兵軍宇宙スーツの標準塗装。ムーンスノウマンのマークが目を惹く

■待ってました!! ファイアボールSG発売!!
 こんにちは、2023年9月3日開催された佐渡島トライアスロン国際Aタイプにて痛恨のリタイアを喫した模型芸人、そして時々マックスファクトリーシャチョーMAX渡辺です! この悔しさ、やるせなさを糧に、なお一層トレーニングに精進いたします!!(仕事しろよ)
 さぁお待ちかね、満を持して「ファイアボールSG」が発売されました♪ 極めてすっきり、スタイリッシュにまとめられた背部シェルが美しいことこの上ないですね♪ 模型芸人的にも空間仕様のファイアボールタイプとしては1番好きかもなイチオシです! SGとはStop Gap、「暫定型」って意味なんだって。よく知らんけどw

■S.A.F.S.シリーズは目を瞑っていても
 組めますね、ハイ。もはや達人の域でしょう。さすがに塗りは無理ですけどw かかとにパイプを追加した以外、全くの無改造なのはMAX的S.A.F.S.シリーズの定番。楽しいのは塗りです♪
 まず何はなくともルナティックフラッシュ×ムーングリーングレイのツートンドクロ顔カラーリングをボックスアート、すなわち横山センセの作例を真似して塗ります。もちろん二機同時!!
 迷彩ラインは完全再現コピーとか面倒なことは当然せず、雰囲気だけいただき♪ 今回のマイテーマは「同梱付属のデカールを使ってみる」です。いつもは筆の、気持ちの赴くままに下描き無しのフリーハンドで楽しむドクロ顔ですが、せっかくなので読者諸氏の参考にもなるかと思い、デカールを活用しました。デカールの色味にある程度合わせてテキトーに調色しましたが、ドンピシャに合ってて思わず「オレ天才?」と呟きましたよw 目鼻の位置決めで表情は一変するので「福笑い」を楽しみながら♪ 口に当たるSとQも大事なポイントです♪ 色味はバッチリだけど他の部位のいい加減な迷彩ラインのボケ具合と合わないので、デカール面、そして境目にわざわざダークグレーをランダムに塗布。その上から2色をテキトーにタッチして馴染ませました。いかにもデカール!! なシャープさも捨て難いけど、全体の統一感としては、やって良い工程かなぁと。共感された方は真似してみてくださいな♪♪
 オマケでホワイトボディに「K」も。バンドデシネで有名な機体ですね! 3機ともデカール保護用にクリアーを軽く吹いたあと、ウェザリングカラーのマルチブラックとホワイトを混色したグレーをスミ入れっぽく塗布して拭き取り、チッピングして完成です♪ 茶系は好きだけど地上タイプっぽく見えちゃうのでココでは禁じ手にしました。人気No.1クラスのファイアボールSG、思い思いのカラーでたくさん塗って楽しみましょう♪♪(MAX渡辺)

ウェーブ 1/20スケール プラスチックキット

傭兵軍 暫定型宇宙用装甲戦闘服 ファイアボールSG

製作・文/MAX渡辺
協力/鈴木孝、堤啓介


傭兵軍 暫定型宇宙用装甲戦闘服 ファイアボールSG
シュトラール軍 無人強襲偵察用二足歩行戦車 キュスター
製作/横山宏

 ファイアボールSG グール・スケルトン機 正面2
▲“グール・スケルトン”迷彩は2003年版ウェーブ製ファイアボールSGのプラキット化発表後に横山氏が描き下ろしたイラストが初出。傭兵軍宇宙用スーツの代名詞と言える迷彩パターンだ
 ファイアボールSG グール・スケルトン機 背面2
▲本体の迷彩パターンと金属感のある部位が調和する背面。バーナーノズルはタミヤのラッカー塗料のメタリックグレイで塗装後、ウェザリングカラーで汚して使い込んだ金属感を出している
 ファイアボールSG グール・スケルトン機 頭部側面
▲︎卵状のシェル前面から繋がる背部側面のグラマラスな曲面も魅力的
パイロットヘッドが搭乗した状態
▲キットにはサイトウヒール氏原型のパイロットヘッドが付属
キュスターやメルジーネが潜む廃屋 ディオラマ
▲キュスターやメルジーネが潜む廃屋も横山氏が製作。キュスターのランナーを瓦礫やレンガにした
サーフェイサーを塗布した上にグリーングレーの迷彩色を最初に塗装したところ
▲︎サーフェイサーを塗布した上にグリーングレーの迷彩色を最初に塗装したところ。かなり希釈した塗料で大胆に筆塗りしているのがわかる
目や文字は鉛筆で下描き
描き直し
スコープのモールドを追加

▲目や文字は鉛筆で下描きしてから筆塗り。Sの書体を試行錯誤して斜めの部分が直線的なものに描き直した。胸のシーカーの先にはスコープのモールドを追加

キュスター 正面
▲砲塔側面の点検ハッチを開放状態にした
ディオラマに配置されたキュスター
▲廃墟の壁面にはファレホの地面テクスチャーペーストを塗布
キュスター 頭部アップ
▲追加した装甲板には“ヴァルトガイスト”の部隊マークが
ランナー製の瓦礫を固定
▲ランナー製の瓦礫は一個一個接着せず、注射器でツールクリーナーを撒いて固定
暗視装置のフタ
▲暗視装置のフタは虫ピンを挿して回転可動できるようにした
ランナー製の材木パーツ
▲超音波カッターで傷をつければランナーが材木に早変わり!
キュスター、メルジーネ2体のディオラマ
▲ハセガワ製1/35メルジーネ“ヴァルトガイスト”も横山氏が塗装。メルジーネのキットにはキュスター用部隊マークのデカールも

 マシーネン復活直後の1999年にファイアボールSGの絵はオンラインゲームの雑誌で連載していたバンドデシネで初めて描きました。その時点ではまだ立体物はなく、脊戸君がモデルカステン1/20レジンキットの原型を作り、そこに細かく指示をしてカタチが決まりました。昔から作品づくりをチームで進めていくことが少なくありません。共同作業でカタチを見つけていくのは自分だけで立体を作るのとは工程も出来上がるものも違っていて、とてもおもしろかったです。
 20年前にウェーブから出た日東のファイアボールのランナーに新規プラパーツを入れたファイアボールSGの箱絵にグール・スケルトンの迷彩機を描きました。その流れで最新キットはグール・スケルトンで塗ることにしましょう。デカールを作る前だったからハッチのスケルトンはすべて手描きです。鉛筆で下描きして塗っていきます。塗装後に残った下描きは洗剤を付けた綿棒で消します。Sの書体や目の高さは、完成後に気になって一度すべて描き直しました。デカールを使う場合はヒートガンを使用すれば曲面のハッチに貼るのも怖くないからキットのデカールを使ってみようと思っています。バーナーのノズルはタミヤのラッカー塗料のメタリックグレイで塗りました。この塗料は乾燥後にツヤ消しのウェザリングカラーで汚すといい感じになります。スケルトン迷彩が上手く塗れたので次回はハッチがKで2色の迷彩機で塗ってみようと思っています。
 そして今回も海洋堂の1/35キュスターを作ります。色違いで組んだ未塗装の2体を入れると8体目! 本当にサクサク作れるいいキットです! 成型色を決めるためのサンプルでオレンジと茶色の2次テストショットを組んでしまいました。まずはすでに標準装備となりつつある装甲を追加します。また点検ハッチも完成後に開けました。中のメカはキットのランナーをそれらしく加工したものを入れてます。
 せっかくなので40年前に知ったシェパード・ペイン氏やバーリンデン氏のディオラマみたいな完成を目指してみることにしました。そこでキュスターキットのメチャ立派な四角くて太いランナーを有効活用してみます。昔からあるエアフィックスの1/32情景キット「ストロングポイント」を引っ張り出してきてまずは組み上げます。キュスターのランナーを、切れ味がいいけど丈夫な片刃のニッパーで切って瓦礫やレンガのブロックにしました。建物には床の部分がないのでプラ板で床を敷きます。瓦礫を床にザッと撒いてツールクリーナーを注射器に入れて振りかけると、接着剤としてしっかり溶着できます(換気に注意してね)。さらに長めに切ったランナーは超音波カッターで繊維状の傷をつけると材木そっくりになります(ささくれ立ってトゲとして指に刺さるので注意ね!)。この海洋堂のキュスターは生産を担当した中国のおもちゃメーカーが初めて手掛けたプラキットなので生産効率を上げるためにランナーがゴツくなったそうです。このゴツいランナーはすごく役に立つので絶対に捨てずにいろいろと加工や改造の材料にしていくことにしましょう。

ウェーブ 1/20スケール プラスチックキット

傭兵軍 暫定型宇宙用装甲戦闘服 ファイアボールSG

製作・文/横山宏

海洋堂 1/35スケール プラスチックキット

シュトラール軍 無人強襲偵察用二足歩行戦車 キュスター

製作・文/横山宏

ARTPLA キュスター(2機セット)
●発売元/海洋堂●6600円、発売中●1/35、全高約10.5cm●プラキット


[Ma.K.in SF3D]EXPLANATIONS Vol.119

傭兵軍 暫定型宇宙用装甲戦闘服 ファイアボールSG

文/KATOOO(レインボウエッグ)

 ファイアボールSG(以下、SG)は旧式化したファイアボールを前線に再投入するために改良した暫定型です。初出は「Play Online」1999年8月号の「Ma.K.B.D.」。SGはStop Gapの略で新型のスネークアイとの性能差を埋める目的がありました。むき出しの推進装置をボディシェルで覆い、武装を5.2cm Prg.58に換装。機関部に変更はありませんが、生還率は格段に向上しています。
 2000年代前半にはSGの商品が各メーカーで展開され、モデルカステンの1/20日東ファイアボールランナー+レジンパーツのキット、日東1/6ソフビキット、ウェーブの1/20新規プラパーツ+日東ランナーのキット、イエローサブマリン1/35塗装済み完成品とさまざまなスケールで販売されました。なかでも2003年発売のウェーブ製1/20 SGは約17年ぶりのオールプラスチックキットとして大きな話題に。その後、ウェーブが完全新規金型による1/20装甲スーツのキット化に着手。第1弾スネークアイが2009年に販売され、程なく発表されると思われた1/20 SGの完全新規金型キットはなかなか販売されず、今年2023年7月に20年越しのリニューアルキットとして発売されたのです。
 SGはスネークアイの派生型であるスーパーボールと外見が似ていますが、ボディシェル後部は全くの別物です。ファイアボールの進化過程で誕生したSGは兵器開発の生産性とコストの落としどころとして非常に重要な機体であり、シンプルで美しいフォルムを見るたびにSGこそが傭兵軍宇宙用スーツの典型なのだろうと思うのです。


新規金型の1/20フリーゲ発売!!

 ウェーブから1/20フリーゲの発売が決定! 接着剤不要の新規金型によるキットで新規デカールが付属する。
 2023年9月30日(土)、10月1日(日)に東京ビッグサイトで開催される「第60回全日本模型ホビーショー」で横山宏氏による完成作例が展示される。

フリーゲ 正面
▲横山氏による完成見本はパープルグレーとホワイトのスプリンター迷彩機
フリーゲのコックピットに搭乗するパイロット
▲ヒゲを生やしたパイロットのヘッドが付属する

P.K.A.[Weltraum] Ausf F フリーゲ

●発売元/ウェーブ●4400円、12月下旬予定●1/20、約12cm●プラキット


透明キュスター

 1/35キュスター シャンパンクリアーVer.が「全日本模型ホビーショー」(2023/9/30~10/1)と海洋堂ホビーロビー(東京、門真)、海洋堂オンラインストアで限定発売。

キュスター シャンパンクリアーVer. 正面
▲完成見本は光沢のクリアーを上塗りしています

ARTPLA すけてんねん
キュスター シャンパンクリアーVer.

●発売元/海洋堂●3000円、9月30日●1/35、全高約10.5cm●プラキット●9/30~10/1に全日本模型ホビーショーで販売。海洋堂は10月6日より販売(3300円)


新規デカールの1/35メルジーネ

 1/35メルジーネが2体セットで発売。“ヴァルトガイスト”の部隊マークなどの新規デカールや新規塗装カードが付属。

 メルジーネ“ヴァルトガイスト” 正面、側面
▲横山氏による完成見本

P.K.A.Ausf.M メルジーネ
“ヴァルトガイスト”

●発売元/ハセガワ●3520円、11月予定●1/35、約6.7cm●プラキット●2体セット

ⒸKow Yokoyama 2023

この記事が気に入ったらシェアしてください!

MAX渡辺/横山宏/KATOOO

オススメの書籍

月刊ホビージャパン2023年11月号

ご購入はこちら

Ma.K. in SF3D ARCHIVE Special 2013.7-2015.12 vol.4

ご購入はこちら

Ma.K. in SF3D ARCHIVE 2011.3-2012.4 vol.2

ご購入はこちら
PAGE TOP
メニュー