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そんなにすごいの? ドイツ空軍主力戦闘機「メッサーシュミット Bf109」の魅力とは【いまさら聞けないすごいヤツ】

2023.09.19

メッサーシュミット Bf109 E-3●宮永忠将、大森記詩 月刊ホビージャパン2023年10月号(8月24日発売)

そんなにすごいの? ドイツ空軍主力戦闘機「メッサーシュミット Bf109」の魅力とは【いまさら聞けないすごいヤツ】

 メッサーシュミット 
 Bf109 E-3 

イラスト/大森記詩

 「名前は知っているけどどんなものなんだろう?」「いまさら聞くのもはずかしいなぁ……」なんて思ってしまう有名な飛行機や戦車、車などのモチーフをサクッと読める解説とイラスト、オススメのプラモとともにご紹介する本連載。
 今回は、前回ご紹介した「イギリス空軍 スーパーマリン スピットファイアMk.I」とバトル・オブ・ブリテンなどで激闘を繰り広げた、ドイツ軍の傑作機「メッサーシュミット Bf109 E-3」をご紹介します。メッサーシュミット、メッサーって言葉はよく聞いたことがあると思いますし、とってもカッコイイ響きでなんだか惹きつけられます。そんな魔法のような響きを携えたBf109の魅力に迫ってみましょう。


メッサーシュミット
Bf109 E-3

全幅/9.90m
全長/8.76m
全備重量/2610Kg(E-3)、2665kg(E-4)
エンジン/ダイムラー・ベンツDB601Aa

馬力/1100馬力
最高速度/560km/h
航続距離/655km
武装/7.92機銃×2、20mm機関砲×2


メッサーシュミット-Bf109-E-3イラスト側面
▲タミヤの1/48スケールキットの箱絵にもなっている、ドイツ軍のスーパーエースのひとり「アドルフ・ガーランド」が搭乗した機体。マーキングがとてもオシャレなので、ぜひプラモで楽しんでほしい仕様です
メッサーシュミット-Bf109-E-3イラスト裏
メッサーシュミット-Bf109-E-3イラスト全体

開戦前からすべてを先取りしていた稀有な戦闘機
メッサーシュミット Bf109

解説/宮永忠将

メッサーシュミット-Bf109-E-7側面
▲こちらはBf109 E-7の側面図。イギリス軍との第二次世界大戦序盤のハイライトである「バトル・オブ・ブリテン」で、E-3と後継機のE-4は航続距離の不足という欠点に悩まされました。その戦訓を活かして、燃料の入った増槽(容量は300リットル)を装備し、航続距離を伸ばしたのがE-7になります

 メッサーシュミット社の誕生 

 もう百年以上昔の出来事なんだけど、第一次世界大戦で敗れたドイツは、新兵器の開発と配備を大幅に制限されてしまった。もちろん戦闘機もその対象なのだけど、ドイツ政府は、せめて将来に備えてのパイロットを考えて、グライダー産業に投資をしていた。そんなグライダーをきっかけに大空に焦がれた青年、ヴィリ・メッサーシュミットは、高等技術学校を卒業すると、1923年には、なんと25歳の若さでメッサーシュミット航空機製造工場を設立し、モーターグライダーM17や、全金属製輸送機M18の開発に成功する。
 しかしその頃、州政府の政策で航空産業の整理が実施され、メッサーシュミット社はバイエルン航空機製造(BFW)に吸収合併されることになる。ヴィリは当初これを渋ったが、設計部門の権限をヴィリが握ることを条件に合併に合意する。才能が認められていた証拠だろう。
 その後は、ちょっと政治臭い話になる。簡単に言うとヴィリは資産家令嬢と結婚してセレブとなり、当時、勢力を急拡大していたナチ党に接近して、ドイツ有数の航空機メーカーにのし上がっていくのだ。そんなやり方を嫌う空軍幹部も多かったのだけど、ヴィリの航空機開発の情熱は本物で、高性能スポーツ機を次々と成功させていた。ヴィリは経営手腕と政治力、そして航空機設計に卓越した希有の才能の持ち主であった。
 そして1933年6月、ドイツ空軍は旧式化していたHe51戦闘機に替わる新型戦闘機の開発を各メーカーに打診。ヴィリはこのチャンスを逃さず試作開発に参加し、ロベルト・ルッサーを設計主任に据えて試作戦闘機を完成させるのである。

 一撃離脱の強襲に賭けた戦闘機 

 1935年に完成したBf109試作機は、低翼単葉、密閉式コクピット、引き込み脚など、第二次世界大戦において必須となった装備はすべて先取りしていた。こんな戦闘機に、固定脚や開放式コクピット、パラソル翼など古くさい仕組みを残した他メーカーの試作機はひとたまりもなく、唯一残ったHe112にも競り勝って、次期独空軍主力戦闘機の座を勝ち取ったのである。そして本命のダイムラー・ベンツ製DB601系エンジンの調達が軌道に乗ると、これを搭載してプロペラを3翅にしたBf109E型に進化して、世界大戦前半のドイツ空軍主力戦闘機となる。
 Bf109を評価するなら、速度性能を重視した一撃離脱型の戦闘機となるだろう。運動性を犠牲にしてでも主翼を小さくまとめたのは、強力なエンジンが生み出す上昇性能を駆使して敵機を上空から襲い、高速で追撃を振り切って戦おうとしたからだ。反面、スポーツ機の設計思想を盛り込んでいたこともあり、戦闘機としては華奢で小さく、発展性に乏しいのは欠点であった。
 そんなBf109の性能バランスは、イギリス空軍の主力戦闘機スピットファイアと好対照だ。同じ大出力エンジンを搭載しつつ、スピットは大きな楕円翼が生み出す運動性で勝負する機体であったからだ。まったく性格が異なるドイツとイギリスの主力戦闘機は、各地の戦場で激しく個性をぶつけ会いながら、互いに進化を続けるのである。


少ないパーツ数で満足感あるサイズが楽しめる
タミヤの1/48 メッサー

 いつもなら1/72スケールをオススメするのですが、タミヤのBf109 E-3のキットは1/48スケールがとってもオススメ。パーツ数はコンパクト、組み立てもシンプルなのですぐ形になります。そして1/48ならではのちょうど良いサイズ感でじっくりと本機のカッコよさを堪能できますよ。定番商品で、こういったキットがすぐ手に取れるのは嬉しい限りです。

タミヤメッサーシュミット-Bf109-E-3 ランナー
▲クリアーパーツを含めてランナーは3枚だけ。組み立て時のランナーの取り回しで迷子になることはまず無いです
タミヤメッサーシュミット-Bf109-E-3 マーキング
▲キットは3種類のマーキングのタイプを選択式で作れます。どれもカッコイイので複数買って作っちゃいましょう
タミヤメッサーシュミット-Bf109-E-3 胴体パーツ
▲機種のエンジン部分から垂直尾翼まで1パーツ成型された胴体。パネルラインもくっきり! エンジン内部はパーツ化されてないので、その分あっという間に飛行機の形を楽しめます
タミヤメッサーシュミット-Bf109-E-3主翼
▲主翼の裏側や、タイヤのメリハリあるスジ彫りが、完成した駐機させた時に見えて、模型のアクセントになります
タミヤメッサーシュミット-Bf109-E-3 フィギュア
▲フィギュアも付属。モールドもしっかりしているので、今の高性能な筆を使えば、塗り分けも問題なくいけます
タミヤメッサーシュミット-Bf109-E-3 パッケージ

1/48 メッサーシュミット Bf109 E-3

●発売元/タミヤ●2750 円、発売中●1/48、約18.3cm●プラキット

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