リニューアルで甦ったドイツレベルの1/32「ホーカー・ハリケーンMk.IIB」をモデリング!
2023.08.211/32リニューアルで甦った重武装暴風(ハリケーン)
第二次大戦初期のバトル・オブ・ブリテンでは、スピットファイアとともにドイツ空軍と戦い勝利したホーカー・ハリケーン戦闘機。パイプフレームに羽布を張った胴体など、最新鋭からは半歩遅れた存在だったが、大戦中期からは対地攻撃や夜間迎撃などに従事している。1970年代に発売されていた1/32キットをリニューアルしたドイツレベルがモデル化したのは、エンジンを強化し武装を7.7mm機銃12挺に重武装化したMk.IIBで、太平洋戦争では“加藤隼戦闘隊”こと日本陸軍64戦隊のキ-43隼とも対戦している。組み立てやすい大型キットで英国を代表する戦闘機をモデリング!
■待望のリニューアル・ハリケーン
かつてレベルが1/32キットを矢継ぎ早にリリースしていた頃、終盤にハリケーンが発売され喜んだものの、その出来は決して褒められるようなものではありませんでした。ドイツレベルが最近1/32キットをリニューアルする中で、ハリケーンがいつ出されるのか首を長くして待っていましたが、ようやく新金型キットとして日の目を見ることになりました。
このところ他社の1/32キットは内部パーツびっしりのハードルの高いものばかりですが、ドイツレベルのキットはコクピットの再現以外はプロポーション重視で、組みやすさを売りにしているようで、実際にその前に出されたP-51DやMe262A/Bなどは、とくに凝ったところもない代わりに、プロポーションはバッチリなものでした。実機の構造そのままかと思わせるようなすごいキットもそれなりにありかと思いますが、サクっと作れる大型キットもあってもいいと思います。
今回発売されたハリケーンはMk.IIBで、わりとマイナーなバージョンです。7.7mm機銃12挺は迫力ありますけどね。ただランナーをみるとMk.IICやシーハリケーン用のパーツも見られるので、バリエーション展開されるのは確実ですね。
■さっそく作っていきます
航空機キットの常でコクピットからになります。コクピットはパーツ数もかなり多く、非常に細かく再現されていますが、ていねいに工作すればきちっと組み上がるので、焦らずしっかり組み立てます。パイプフレームなどもよくできているのですが、最近のキットとしてはパーティングラインが目立ちます。処理は少々面倒ですが、しっかりとパーツをクリーニングしながら組んでいきましょう。またシートベルトが用意されていないので、ファインモールドのナノ・アヴィエーションのプラパーツを利用しました。胴体内部に組み込むのはこのコクピット部と、排気管取り付け用のパーツのみです。
次に主脚収納部を組み立てます。それほど多くないパーツ数ですが、立派な脚庫ができあがります。主翼下面はパーツがバラバラなので正確に組み立てます。動翼はすべて別パーツで、フラップもダウン状態にできますが、英軍機はまず駐機中にフラップを下げることはないのと、下げた場合に見える主翼上面のフラップ部になんのモールドもなく、その部分のパーツの合わせ目の処理も面倒ですので、フラップは閉状態としました。
主翼には他にランディングライトのパーツを組み込んでおきます。内部は塗装仕上げしておき、透明のカバーパーツも取り付けマスキングしておきます。
主翼を組み立て胴体と合わせ、後部胴体下面パーツおよび尾翼を取り付ければ形ができあがります。胴体後部下面パーツの尾脚取り付け部分にカット指示があるので、説明書に沿ってカットしておきます。
機首下面の空気取り入れ口およびラジエターを組み立てて胴体下面に取り付け、塗装の準備をします。コクピット背部やラジエター内部などをティッシュペーパーやマスキングテープで保護します。主脚、尾輪、プロペラなどは別途組み立て塗装しておきます。
■塗装およびマーキング
キットでは通常の迷彩と、全面ブラックの2種のマーキングを用意していますが、やはりハリケーンらしい迷彩機で仕上げます。
まず全体をガイアノーツ製サーフェイサーエヴォ ブラックで下塗りし、キズ、隙間などをチェックし本塗装に入ります。以後GSIクレオス製Mr.カラーを使用します。下面はC368スカイ、上面はC361ダークグリーン、C369ダークアースです。
ダークグリーンとダークアースの迷彩の塗り分けは、ハセガワ製0.5mm幅のマスキングテープを使用しています。英国機の場合、はっきりした塗り分けでよいのですが、実機の画像をよく見るとほんのわずか境がぼけていますので、塗装後に境目をエアブラシの極細吹きでぼかしました。
その後タミヤ製スミ入れ塗料ブラックでスミ入れおよびウォッシングします。デカールを貼り、乾燥後、C181とC182を等量に混ぜたもので全体をオーバーコートします。そして脚関係、プロペラ、キャノピー、アンテナなど小物パーツを取り付け完成です。
■最後に
本キットは最新のものの割にパーティングラインがオーバーだったり、バリがでていたり少し残念な部分もありますが、完成すればそれらのマイナス点はほぼ払拭され、カッコいいハリケーンができ上がります。バトル・オブ・ブリテンで活躍したMk.I、20mm機関砲を積んだ重戦闘機型のMk.IICへのバリエーション展開を希望します!
ドイツレベル 1/32スケール プラスチックキット
ホーカー ハリケーンMk.IIB
製作・文/山田昌行
ホーカー ハリケーンMk.IIB
●発売元/ドイツレベル、販売元/ハセガワ●8690円、発売中●1/32、約31.1cm●プラキット
山田昌行(ヤマダマサユキ)
最近大型キットを作ることが多く、大きさに麻痺しています。単発機などは1/48くらいにしか感じません。