HOME記事スケールモデルリニューアルで甦ったドイツレベルの1/32「ホーカー・ハリケーンMk.IIB」をモデリング!

リニューアルで甦ったドイツレベルの1/32「ホーカー・ハリケーンMk.IIB」をモデリング!

2023.08.21

ホーカーハリケーンMkIIB【レベル 1/32】 月刊ホビージャパン2023年9月号(7月25日発売)

ホーカー ハリケーンMk.IIB イメージカット

1/32リニューアルで甦った重武装暴風(ハリケーン)

 第二次大戦初期のバトル・オブ・ブリテンでは、スピットファイアとともにドイツ空軍と戦い勝利したホーカー・ハリケーン戦闘機。パイプフレームに羽布を張った胴体など、最新鋭からは半歩遅れた存在だったが、大戦中期からは対地攻撃や夜間迎撃などに従事している。1970年代に発売されていた1/32キットをリニューアルしたドイツレベルがモデル化したのは、エンジンを強化し武装を7.7mm機銃12挺に重武装化したMk.IIBで、太平洋戦争では“加藤隼戦闘隊”こと日本陸軍64戦隊のキ-43隼とも対戦している。組み立てやすい大型キットで英国を代表する戦闘機をモデリング!

ホーカー ハリケーンMk.IIB 背面1

■待望のリニューアル・ハリケーン
 かつてレベルが1/32キットを矢継ぎ早にリリースしていた頃、終盤にハリケーンが発売され喜んだものの、その出来は決して褒められるようなものではありませんでした。ドイツレベルが最近1/32キットをリニューアルする中で、ハリケーンがいつ出されるのか首を長くして待っていましたが、ようやく新金型キットとして日の目を見ることになりました。
 このところ他社の1/32キットは内部パーツびっしりのハードルの高いものばかりですが、ドイツレベルのキットはコクピットの再現以外はプロポーション重視で、組みやすさを売りにしているようで、実際にその前に出されたP-51DやMe262A/Bなどは、とくに凝ったところもない代わりに、プロポーションはバッチリなものでした。実機の構造そのままかと思わせるようなすごいキットもそれなりにありかと思いますが、サクっと作れる大型キットもあってもいいと思います。
 今回発売されたハリケーンはMk.IIBで、わりとマイナーなバージョンです。7.7mm機銃12挺は迫力ありますけどね。ただランナーをみるとMk.IICやシーハリケーン用のパーツも見られるので、バリエーション展開されるのは確実ですね。

ホーカー ハリケーンMk.IIB 正面1
▲ハリケーンMk.IIはエンジンを二段過給器付きのマーリンXXに換装したタイプ。武装の違いにより7.7mm機銃8挺のA型、同12挺のB型、20mm機関砲4門のC型、40mm機関砲2門のD型が生産された
ホーカー ハリケーンMk.IIB 正面2
▲ドイツレベルのMk.IIBは、旧キットのMk.Iから数えて約50年ぶりとなる1/32ハリケーンのリニューアルキット。パーツ数を抑えて作りやすさを目指したものとなっている
ホーカー ハリケーンMk.IIB 背面2
▲キットは比較的マイナーなバージョンのMk.IIBをモデル化。ランナーに含まれている不要パーツから判断して、Mk.IICやシーハリケーンなどのバリエーションも期待できる
主脚収納庫
▲主脚収納庫は少ないパーツで精密なディテールを実現。主翼のフラップは開閉を選べ、作例は閉状態を選択
機体ノーズアップ
▲エンジン換装に伴いやや延長されたカウリング、長く伸びたスピナーなどがMk.IIの特徴
主翼機アップ
▲片側6挺の主翼機銃口。ランディングライトは内部パーツを組み込み、塗装前に透明カバーも付けておく
ホーカー ハリケーンMk.IIB 背面3
▲ゆるやかなS字曲線を描く胴体のシルエット、上反角がほとんどない厚い主翼、古風な羽布張り胴体など、ハリケーンの魅力を的確に再現。大型キットながら組み立ても容易だ

■さっそく作っていきます
 航空機キットの常でコクピットからになります。コクピットはパーツ数もかなり多く、非常に細かく再現されていますが、ていねいに工作すればきちっと組み上がるので、焦らずしっかり組み立てます。パイプフレームなどもよくできているのですが、最近のキットとしてはパーティングラインが目立ちます。処理は少々面倒ですが、しっかりとパーツをクリーニングしながら組んでいきましょう。またシートベルトが用意されていないので、ファインモールドのナノ・アヴィエーションのプラパーツを利用しました。胴体内部に組み込むのはこのコクピット部と、排気管取り付け用のパーツのみです。
 次に主脚収納部を組み立てます。それほど多くないパーツ数ですが、立派な脚庫ができあがります。主翼下面はパーツがバラバラなので正確に組み立てます。動翼はすべて別パーツで、フラップもダウン状態にできますが、英軍機はまず駐機中にフラップを下げることはないのと、下げた場合に見える主翼上面のフラップ部になんのモールドもなく、その部分のパーツの合わせ目の処理も面倒ですので、フラップは閉状態としました。
 主翼には他にランディングライトのパーツを組み込んでおきます。内部は塗装仕上げしておき、透明のカバーパーツも取り付けマスキングしておきます。
 主翼を組み立て胴体と合わせ、後部胴体下面パーツおよび尾翼を取り付ければ形ができあがります。胴体後部下面パーツの尾脚取り付け部分にカット指示があるので、説明書に沿ってカットしておきます。
 機首下面の空気取り入れ口およびラジエターを組み立てて胴体下面に取り付け、塗装の準備をします。コクピット背部やラジエター内部などをティッシュペーパーやマスキングテープで保護します。主脚、尾輪、プロペラなどは別途組み立て塗装しておきます。

■塗装およびマーキング
 キットでは通常の迷彩と、全面ブラックの2種のマーキングを用意していますが、やはりハリケーンらしい迷彩機で仕上げます。
 まず全体をガイアノーツ製サーフェイサーエヴォ ブラックで下塗りし、キズ、隙間などをチェックし本塗装に入ります。以後GSIクレオス製Mr.カラーを使用します。下面はC368スカイ、上面はC361ダークグリーン、C369ダークアースです。
 ダークグリーンとダークアースの迷彩の塗り分けは、ハセガワ製0.5mm幅のマスキングテープを使用しています。英国機の場合、はっきりした塗り分けでよいのですが、実機の画像をよく見るとほんのわずか境がぼけていますので、塗装後に境目をエアブラシの極細吹きでぼかしました。
 その後タミヤ製スミ入れ塗料ブラックでスミ入れおよびウォッシングします。デカールを貼り、乾燥後、C181とC182を等量に混ぜたもので全体をオーバーコートします。そして脚関係、プロペラ、キャノピー、アンテナなど小物パーツを取り付け完成です。

■最後に
 本キットは最新のものの割にパーティングラインがオーバーだったり、バリがでていたり少し残念な部分もありますが、完成すればそれらのマイナス点はほぼ払拭され、カッコいいハリケーンができ上がります。バトル・オブ・ブリテンで活躍したMk.I、20mm機関砲を積んだ重戦闘機型のMk.IICへのバリエーション展開を希望します!

ドイツレベル 1/32スケール プラスチックキット

ホーカー ハリケーンMk.IIB

製作・文/山田昌行

ホーカー ハリケーンMk.IIB
●発売元/ドイツレベル、販売元/ハセガワ●8690円、発売中●1/32、約31.1cm●プラキット

この記事が気に入ったらシェアしてください!

山田昌行(ヤマダマサユキ)

オススメの書籍

月刊ホビージャパン2023年9月号

ご購入はこちら

飛行機模型製作の教科書 タミヤ1/48 傑作機シリーズの世界 「レシプロ機編」

ご購入はこちら

零戦模型製作の教科書

ご購入はこちら
PAGE TOP
メニュー