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 プラモを筆塗りでガンガン楽しんでいるナイスなパイセンたちの作品とテクニックを月末にみんなで読んで、テンションアゲアゲでどんどん筆塗りを楽しんでいこうという連載「筆塗りTRIBE」。
 今回はタミヤより発売された最新の兵隊プラモ「タミヤ ミリタリーミニチュア 1/35 ドイツ歩兵セット(大戦後期)」を筆塗りで楽しみます。小さな兵隊と言っても「5人」も入っていますので、それなりにカロリーはかかるもの。そこで今回は1体を塗り込むのではなく、お手軽な塗り方で攻めます。どこでも買える塗料と筆で塗装し、5人全員の塗装を、多くの人が完走できる方法で塗っていきますよ。
(構成・文/フミテシ)
今回のパイセン
斉藤仁孝/キャラクターモデルからスケールモデルまでなんでも楽しむ雑食モデラー。戦車模型譲りのウェザリングテクニックを得意としています。
 
 
  
 
今、最新作が出たら絶対に組んでほしいプラモがタミヤの兵隊です!!
 実際の人に本物の軍装を着せて3Dスキャンしたデータを基に、原型氏がプラモの見映えとパーツ分割を考え抜いてキット化したのがタミヤの兵隊です。おそらく、現在の発売されている全プラモのなかでも一段抜けたパーツフィッティングと成型精度に仕上がっていると言えます。新しいキットが出るたびに必ず進化があり、今一番面白いプラモのひとつであると断言できます。
今一番熱い兵隊5人組!!
 ▲この完成度、組むだけで誰でもゲットできるのです。色を塗らなくても、最高にかっこいいでしょ
▲この完成度、組むだけで誰でもゲットできるのです。色を塗らなくても、最高にかっこいいでしょ
 
 
装備品と人が枠の中にみっちり
 ▲兵隊の体を細分化したパーツが収められたランナーと、兵装がまとめられたランナー、デカールがセットされます。このキットは第二次世界大戦後期の装備品を身に纏ったドイツ歩兵。ツェルトバーンというポンチョを着ている兵隊が目を惹きます
▲兵隊の体を細分化したパーツが収められたランナーと、兵装がまとめられたランナー、デカールがセットされます。このキットは第二次世界大戦後期の装備品を身に纏ったドイツ歩兵。ツェルトバーンというポンチョを着ている兵隊が目を惹きます
 
 
細分化された軍装
 ▲造形だけでなく塗装のしやすさも考慮したパーツ分割が特徴です。特に、細かい迷彩パターンがあるポンチョにそのような分割が見られます
▲造形だけでなく塗装のしやすさも考慮したパーツ分割が特徴です。特に、細かい迷彩パターンがあるポンチョにそのような分割が見られます
 
うっとりするシワと造形
 ▲スキャンデータを基に造形された本物のポーズとシワ。パーツを眺めているだけでも楽しいですね
▲スキャンデータを基に造形された本物のポーズとシワ。パーツを眺めているだけでも楽しいですね
 
 
今回主に使用する塗料と筆
タミヤのプラモをタミヤの塗料で塗る
 ▲色選びも楽しいですが、迷うのはイヤ! そんな人は説明書の指示にあるタミヤカラー アクリル塗料を使用するといいですよ。伸びも良くて、ミニチュアを塗るのにはとっても良いんです
▲色選びも楽しいですが、迷うのはイヤ! そんな人は説明書の指示にあるタミヤカラー アクリル塗料を使用するといいですよ。伸びも良くて、ミニチュアを塗るのにはとっても良いんです
 
細部塗装やスミ入れはエナメル塗料
 ▲エナメル塗料は、タミヤアクリルの上から塗ってもアクリル塗料を侵しません。細部の塗り分け、スミ入れなどに使用していきます
▲エナメル塗料は、タミヤアクリルの上から塗ってもアクリル塗料を侵しません。細部の塗り分け、スミ入れなどに使用していきます
 
 
気が利く3本セット
 ▲タミヤモデリングブラシHF スタンダードセットは、太めと細めの平筆、極細面相筆がセットされています。メイン塗装は細めの平筆で塗り、細部を極細面相筆で塗っていこうと思います
▲タミヤモデリングブラシHF スタンダードセットは、太めと細めの平筆、極細面相筆がセットされています。メイン塗装は細めの平筆で塗り、細部を極細面相筆で塗っていこうと思います
 
 
塗装スタート!!
塗装しやすいように分けます
 ▲迷彩のポンチョ、フィールドグレー1色の腕、ヘルメットと分けて塗装していきます。全部組まずに、自分が塗りやすいようにパーツを分けておくのも筆塗りのテクニックのひとつです
▲迷彩のポンチョ、フィールドグレー1色の腕、ヘルメットと分けて塗装していきます。全部組まずに、自分が塗りやすいようにパーツを分けておくのも筆塗りのテクニックのひとつです
 
バフに少量の白を入れます
 ▲まずは全体をバフで塗ってしまいます。これは服の色でもっとも面積が広い色だからです。肌の下地にも良いので、顔や手にも塗ってしまいます。最後に暗めの色でウォッシングするので、少量の白を混ぜて明るめにしておきました
▲まずは全体をバフで塗ってしまいます。これは服の色でもっとも面積が広い色だからです。肌の下地にも良いので、顔や手にも塗ってしまいます。最後に暗めの色でウォッシングするので、少量の白を混ぜて明るめにしておきました
 
 
窪みに影色を流します
 ▲次は少しシャバシャバにした「バフ+カーキ」で作った暗めのバフを、服のシワが窪んだところに流すように塗ります。さっと染まるくらいで問題ないです。これで服の陰影が強調されます
▲次は少しシャバシャバにした「バフ+カーキ」で作った暗めのバフを、服のシワが窪んだところに流すように塗ります。さっと染まるくらいで問題ないです。これで服の陰影が強調されます
 
バフの塗装が終了
 ▲影色も入り、ディテールによりメリハリがつきました。さぁ、ここからポンチョの迷彩塗装にチャレンジしていきましょう
▲影色も入り、ディテールによりメリハリがつきました。さぁ、ここからポンチョの迷彩塗装にチャレンジしていきましょう
 
 
迷彩塗装にチャレンジ!
箱に印刷された迷彩パターンをチェック
 ▲ポンチョの「スプリンターパターン」という迷彩を塗っていきます。実際の軍装はパターンがすべて決まって統一されていますが、それを完全に再現するのは大変。そのことを知ったうえで、らしさを重視して塗って楽しんでいきましょう
▲ポンチョの「スプリンターパターン」という迷彩を塗っていきます。実際の軍装はパターンがすべて決まって統一されていますが、それを完全に再現するのは大変。そのことを知ったうえで、らしさを重視して塗って楽しんでいきましょう
 
フラットブラウンの塗装
 ▲バフの次に面積が多い、フラットブラウンを塗っていきます。角が立っている柄をイメージして塗っていきます
▲バフの次に面積が多い、フラットブラウンを塗っていきます。角が立っている柄をイメージして塗っていきます
 
 
修正も簡単にできますよ
 ▲全体にフラットブラウンを塗り終えました。いったん全体を確認して、柄のイメージが異なっていたら、バフで上から塗りつぶしていきましょう
▲全体にフラットブラウンを塗り終えました。いったん全体を確認して、柄のイメージが異なっていたら、バフで上から塗りつぶしていきましょう
 
袖を塗ろう!
 ▲フラットブラウンが完全乾燥する間に、ポンチョの下の野戦服の袖を塗ってしまいます。ここはフィールドグレーベタ塗りで問題なしです
▲フラットブラウンが完全乾燥する間に、ポンチョの下の野戦服の袖を塗ってしまいます。ここはフィールドグレーベタ塗りで問題なしです
 
 
ディープグリーンの塗装
 ▲お次はディープグリーン。フラットブラウンと重なるように配色されています。そのイメージを箱のパターンを見ながら各所に塗っていきましょう
▲お次はディープグリーン。フラットブラウンと重なるように配色されています。そのイメージを箱のパターンを見ながら各所に塗っていきましょう
 
各迷彩のバランスを整えよう
 ▲バフ、フラットブラウン、ディープグリーンと基本の3色を塗ったら、全体のバランスを見て再度各色を塗ってリタッチしていくと柄の形状・バランスがとても良くなりますよ
▲バフ、フラットブラウン、ディープグリーンと基本の3色を塗ったら、全体のバランスを見て再度各色を塗ってリタッチしていくと柄の形状・バランスがとても良くなりますよ
 
 
細い緑の線に挑戦!!
秘密兵器登場!!
 ▲このポンチョには、非常に細い「緑の線」が描かれているのが特徴です。そこで今回はタミヤより新発売されたとってもいい筆「タミヤ モデリングブラシHGII 面相筆 超極細」を使います。660円とは思えない、すごいクオリティの筆ですよ
▲このポンチョには、非常に細い「緑の線」が描かれているのが特徴です。そこで今回はタミヤより新発売されたとってもいい筆「タミヤ モデリングブラシHGII 面相筆 超極細」を使います。660円とは思えない、すごいクオリティの筆ですよ
 
筆にしっかりと給水!
 ▲筆がかなり細く塗料&溶剤が少量しか蓄えられないので、筆から塗料が排出されにくいという現象が極細の筆にはよくあります。これは筆にしっかりと溶剤を含ませることで解決できます。タミヤアクリル溶剤をしっかりと筆に含ませましょう
▲筆がかなり細く塗料&溶剤が少量しか蓄えられないので、筆から塗料が排出されにくいという現象が極細の筆にはよくあります。これは筆にしっかりと溶剤を含ませることで解決できます。タミヤアクリル溶剤をしっかりと筆に含ませましょう
 
 
筆に塗料を含ませます
 ▲しっかりと給水したら、筆に塗料を含ませます。この状態でいきなり塗るのではなく、一度ティッシュなどに筆先を置いて軽く塗料を調節した後に、模型に塗ると極細の筆でもスルスルと気持ちよく塗装できます
▲しっかりと給水したら、筆に塗料を含ませます。この状態でいきなり塗るのではなく、一度ティッシュなどに筆先を置いて軽く塗料を調節した後に、模型に塗ると極細の筆でもスルスルと気持ちよく塗装できます
 
ベースの裏で練習だ!
 ▲細い線をいきなり描くのは怖いですよね! それなら、キットに付属するベースパーツの裏で練習しましょう。筆の給水や塗料を含ませたときの感覚もここで覚えられます
▲細い線をいきなり描くのは怖いですよね! それなら、キットに付属するベースパーツの裏で練習しましょう。筆の給水や塗料を含ませたときの感覚もここで覚えられます
 
 
実践!! しっかりと筆を固定して頑張れ!!
 ▲息を止めて、ブレないように細い線を描いていきます。ある程度細ければそれらしく見えますので、あまりナーバスになりすぎないこともポイントです。筆先が突っかかるような感覚を覚えたら、すぐ塗料と溶剤を筆に含ませましょう
▲息を止めて、ブレないように細い線を描いていきます。ある程度細ければそれらしく見えますので、あまりナーバスになりすぎないこともポイントです。筆先が突っかかるような感覚を覚えたら、すぐ塗料と溶剤を筆に含ませましょう
 
迷彩塗装完了!!
 ▲各色、しっかりと塗れました。肉眼で見ると模型は写真よりも小さいので、充分雰囲気あるものに見えます
▲各色、しっかりと塗れました。肉眼で見ると模型は写真よりも小さいので、充分雰囲気あるものに見えます
 
 
顔の塗装は3手でいきましょう
 ▲タミヤの造形がすでに素晴らしいので、塗り込まずに薄くフレッシュを塗るだけでも良い仕上がりになります。ディテールを潰さないように、フレッシュをさっとひと塗りします
▲タミヤの造形がすでに素晴らしいので、塗り込まずに薄くフレッシュを塗るだけでも良い仕上がりになります。ディテールを潰さないように、フレッシュをさっとひと塗りします
 
 ▲フレッシュが乾いたら、タミヤスミ入れ塗料の「ピンクブラウン」を全体に塗ります。これが顔の奥まった部分に流れたり、表面をうっすらと赤く染めてくれるので肌にいい感じに陰影が付きます
▲フレッシュが乾いたら、タミヤスミ入れ塗料の「ピンクブラウン」を全体に塗ります。これが顔の奥まった部分に流れたり、表面をうっすらと赤く染めてくれるので肌にいい感じに陰影が付きます
 
 
 ▲エナメル溶剤を含ませた綿棒で、多く乗ってしまったり、溜まったりしている余分なピンクブラウンを拭き取ります
▲エナメル溶剤を含ませた綿棒で、多く乗ってしまったり、溜まったりしている余分なピンクブラウンを拭き取ります
 
 ▲ほぼ5分で雰囲気のいい顔に仕上がりました。フレッシュ+ピンクブラウンは多くの人が確実にヒットを打てるようなオススメの組み合わせ。肌を塗るのにまだ抵抗感がある人はぜひ一度試してください
▲ほぼ5分で雰囲気のいい顔に仕上がりました。フレッシュ+ピンクブラウンは多くの人が確実にヒットを打てるようなオススメの組み合わせ。肌を塗るのにまだ抵抗感がある人はぜひ一度試してください
 
 
スミ入れで最後の仕上げ!
2度漬けOK! 目元に陰影を
 ▲瞳を描かなくても、目元の陰影を暗めにするだけで雰囲気が出ます。そこで再度目元にだけピンクブラウン、より強調したい場合はブラウンなどをひと挿しします
▲瞳を描かなくても、目元の陰影を暗めにするだけで雰囲気が出ます。そこで再度目元にだけピンクブラウン、より強調したい場合はブラウンなどをひと挿しします
 
やりすぎたら綿棒で拭き取りましょう
 ▲このくらい大袈裟にやってみました。やりすぎた場合は綿棒で拭き取って調整しましょう
▲このくらい大袈裟にやってみました。やりすぎた場合は綿棒で拭き取って調整しましょう
 
 
全体をウォッシング
 ▲ポンチョはスミ入れ塗料のダークブラウンを全体にビシャビシャと塗る「ウォッシング」でスミ入れとウェザリングを同時に施してしまいます
▲ポンチョはスミ入れ塗料のダークブラウンを全体にビシャビシャと塗る「ウォッシング」でスミ入れとウェザリングを同時に施してしまいます
 
スミ入れ完了!
 ▲エナメル溶剤を含ませた綿棒で、余分な塗料を拭き取ります。塗装した面にダークブラウンが一枚レイヤーのように乗ることで、迷彩や細いグリーン線がまとまって、一気に見映えが良くなります
▲エナメル溶剤を含ませた綿棒で、余分な塗料を拭き取ります。塗装した面にダークブラウンが一枚レイヤーのように乗ることで、迷彩や細いグリーン線がまとまって、一気に見映えが良くなります
 
 
スミ入れ完了!
 ▲これでスミ入れ終了です。陰影が強調され、迷彩のチグハグ感がなくなりグッとまとまったのが分かります
▲これでスミ入れ終了です。陰影が強調され、迷彩のチグハグ感がなくなりグッとまとまったのが分かります
 
細部の装備品を塗って完成です!!
 ▲細部の装備品を塗って、取り付ければ完成です。細かな迷彩もありましたが1体1時間ほどで塗れました!!
▲細部の装備品を塗って、取り付ければ完成です。細かな迷彩もありましたが1体1時間ほどで塗れました!!
 
 
5人揃うといいね!!
 ▲同じ塗り方で塗った5人。こうやってまとまったチームになると、さらっと塗っただけでも雰囲気があっていいですね
▲同じ塗り方で塗った5人。こうやってまとまったチームになると、さらっと塗っただけでも雰囲気があっていいですね
 
 
 ▲フィギュアを塗ったら、彼らを立たせる地面が欲しいですね!! 次の記事からは週末モデリングで楽しめる地面製作の「神レシピ」をお届け。今すぐGOです!!
▲フィギュアを塗ったら、彼らを立たせる地面が欲しいですね!! 次の記事からは週末モデリングで楽しめる地面製作の「神レシピ」をお届け。今すぐGOです!!
 
 
 
 
●次の記事で戦場へGO!! 後半へ続きます(8月17日公開予定)
 タミヤのフィギュアの造形は素晴らしいです。塗り込まなくても、メリハリある造形によって自然な陰影ができたりして、さっと塗るだけでも「カッコよく塗れたぞ」と思える完成品を手にできます。今回ご紹介した方法で、「今日はこの兵隊さんを塗ろう」と決めたりして、無理なく塗装を楽しんでほしいです。
「鉄といえば銀!」そんな感覚で筆塗りを楽しんでいました
──斉藤さんにとっての筆塗りの楽しさを教えてください。
斉藤:ダイレクトに「塗っているな〜」って感じるのは楽しいですね。僕は筆塗りの技法や筆にこだわりはないのですが、好きな戦車模型をするには、筆塗りがある程度できないと塗装の手がとまっちゃって楽しくなくなっちゃうので、楽しくプラモを作りたい一心で筆塗りにチャレンジしました。ミニチュアや細部塗装はあまりマスキングなどはせずに筆で塗っています。
 また子供の頃からタミヤの兵隊をよく作っていました。でも全部塗らずに、なぜか緑やダークイエローの成型色の兵隊さんの髪の黒と鉄砲の銀だけ塗っていたんです。それがなんだかすごく楽しくて。鉄砲は鉄だしかっこいいぜ! っていう子供心で銀にしていたんですよね。髪へのこだわりはなんだったんでしょうね……。でもそうやって自分の塗りたいところをちまちまと塗って、塗装に没頭できる楽しさってのは、やはり筆塗りの魅力だと思っています。
タミヤ 1/35スケール プラスチックキット
1/35 ドイツ歩兵セット (大戦後期)
製作・文/斉藤仁孝
ドイツ歩兵セット(大戦後期)
●発売元/タミヤ●1760円、発売中●約5cm、1/35●プラキット