『非公認戦隊アキバレンジャー』Blu-ray BOX発売記念!和田正人氏×和田三四郎氏×日笠淳氏スペシャル鼎談
2023.07.04宇宙船 vol.181(7月3日発売)
『非公認戦隊アキバレンジャー』『同シーズン痛』Blu-ray BOX発売記念スペシャル鼎談
妄想の海に浮かぶ街、都内某所。そこに痛さが強さだと信じ脳内だけで戦う、3人の戦士がいた。彼らこそ――。「痛さは強さ!」のキャッチフレーズも懐かしい『非公認戦隊アキバレンジャー』『同 シーズン痛』が、この程、Blu-ray BOXとして発売決定! そこで今回、3人の戦士――主人公・赤木信夫を演じた和田正人氏、アキバレッドのスーツアクター・和田三四郎氏、当時の『アキバレンジャー』プロデューサー・日笠淳氏に当時の思い出を語り合っていただきました!
あの頃ならではの勢いが出ていますね。
赤木信夫/アキバレッド●役
和田正人 わだ まさと
1979年8月25日生まれ。NHK連続テレビ小説『ごちそうさん』、TBS『陸王』はじめ、近作では、映画『THE LEGEND & BUTTERFLY』、『Winny』など多数作品に出演。貫地谷しほりとダブル主演を務めた映画『オレンジ・ランプ』が公開中。
公認様とは違う密度の濃い全26話です。
アキバレッド●スーツアクター
和田三四郎 わだ さんしろう
1978年9月9日生まれ。高知県出身。スーツアクターとしての代表作に『ウルトラマンメビウス』、『牙狼〈GARO〉-月虹ノ旅人-』など。現在はアクション監督としても活躍している。
初めての人にも是非観てもらいたいです。
●プロデューサー
日笠 淳 ひかさ じゅん
1958年8月8日生まれ。岡山県出身。1982年に東映に入社し、メタルヒーローシリーズ、スーパー戦隊シリーズなど、特撮作品を中心に多数の作品をプロデュースする。今年7月より東映株式会社テレビ企画制作部参与。
久々に集まった3人
――この座談会の前にTTFCの番組収録が行われたそうですが、収録のご感想からお聞かせください。
和田正人●いや、久々に集まって「あの時こうだったね」「ああだったね」と楽しい時間を過ごさせていただきました。意外と『痛』のほうが思い出せないところがあったりするものですね(笑)。
和田三四郎●まーくん(和田)と会うのは久々ですが、そんな感じがしないのは、テレビで活躍している姿をよく見ているからでしょうね。忙しいでしょう?
和田(正)●いやいや(笑)。そんなことないです。
日笠●今日は、二人に楽しんでもらって良かったと思いますよ。
和田(三)●日笠さんとは、最近も撮影所内(※東映東京撮影所)をウロウロしているとバッタリ会うので(笑)。
日笠●また三四郎さんが大泉にいるのが珍しくない状況になりましたね。
和田(三)●『忍風戦隊ハリケンジャーwithドンブラザーズ』や『ヨドンナ3 ヨドンナのバレンタイン』など、東映でアクション監督(アクションコーディネーター)として活動させていだく機会が増えました。
和田(正)●番組収録で当時の映像を観返して思ったのは、すごく調子に乗っているようだけど、「意外と上手いじゃん!」って(笑)。大体10年前の芝居なんて見られるものじゃないけど、ちゃんとやっていたと思うし、あの頃ならではの勢いが出ていますよ。
和田(三)●逆に僕はシーズン1では反省点があって、どうにかして高岩成二さんみたいに自由にキャラクターを扱える人になりたいと(笑)。それで挑戦したのが『痛』ですね。
――お互い変身前後を演じる上では?
和田(三)●特に擦り合わせはなかった(笑)。
和田(正)●脚本に書かれていたキャラを自由にやらせてもらっただけです。そこに三四郎兄やんがユーモアを加えてくれて、その結果、上手く繋がっているように見えた、ということだと思います。
和田(三)●「一緒にご飯を食べに行った」とか「台本を持ち寄った」みたいな美味しいエピソードは一切ありません(笑)。
――それこそ、当時の取材で、和田(正)さんがアフレコの際に「まーくんよろしく」と和田(三)さんの声が入っていたとお話されていましたが(笑)。
和田(正)●あったなぁ。
日笠●ああ、名乗りね。
和田(正)●ほぼ、アドリブだったんですよ。
和田(三)●きっと上手いこと入れてくれるはずだと思って(笑)。
――お二人から、日笠さんとの思い出は?
和田(正)●すごく 無邪気なおじさん(笑)。
日笠●無邪気?(笑)
和田(正)●それこそ、(荻野)可鈴なんかはおじいちゃんみたいに慕ってましたよ。
日笠●当時、既に50代だったからね。そりゃあしょうがない(笑)。
和田(三)●僕もまーくんと同じような印象がありますね。それこそ、プロップをすげぇ嬉しそうに眺めていて、「プロデューサーは初めてじゃないでしょ」って(笑)。
日笠●『アキバ』に関しては、プロデューサーとして、ホン(台本)の流れやアイデアは出しているけど、基本的にオタクの皆さんが喜ぶ知識は、田﨑竜太監督と脚本の荒川稔久さんを中心に、鈴村(展弘)監督、脚本の香村(純子)さん、それからバンダイの原(昇)さんといった方々が持ち寄ったもので、俺の知らないネタばかり(笑)。それが目の前で纏まっていくのを楽しんで見ていたんですよ。
――演じるお二人もマニアではないとのことですが、役を通じて発信していく上では?
和田(三)●普通は台本を読めばわかるわけだけど、それじゃ終わらない。ダイナモとか知らないし(笑)。でも、お勉強の部分も楽しんでいた記憶がありますね。
和田(正)●現場では、それこそ田﨑監督たちがいらして、わからないことがあるとタブレットを出して「これが元ネタのシーンだよ」と全て説明してくれたのと、説明する際の監督たちの表情や雰囲気がオタクそのものだから、「これを早口にしてやればいいんだ」と(笑)。正直、赤木信夫は、役作りっていうほどの役作りはしてないんですよ。
和田(三)●お手本が現場にいる(笑)。
和田(正)●そう。後は楽しくやるだけ。だから苦労したこともなく、本当に自由にやらせてもらったなっていう印象です。
――当時、オタクに対して失礼がないようにしたいとも仰ってましたね。
和田(正)●主人公ですからね。「デュフフフ……」みたいなのはできないですよ(笑)。それと、どこかでモテたい気持ちがあったかもしれない。 当時は、まだ結婚もしてなかったから(一同笑)。
『シーズン痛』で体力の限界に?
――キャストとの思い出は?
和田(正)●いや、あれだけ女性に囲まれての現場もなかなかなかった。だって、俺以外レギュラーは全員女性だったからね。
和田(三)●そうだねぇ。
和田(正)●声優の内田真礼さん、踊ってみたのこずこず(愛川こずえ)、あと、可鈴と日南(響子)は、当時まだ10代でしたよ。
日笠●それからマルシーナ役の穂花(現・下村愛)さん。
和田(正)●そんな中、おっさんがぶちこまれて(笑)。最初は、「これは大変だろうな」と思ったけど、気付いたら一緒にワチャワチャしていて、田﨑監督に「信夫、大人になろう」とよく怒られて(笑)。でも、今、考えたら、それが逆に良かったかなと思いますね。さすがに『痛』は、「信夫、大人になろう」はなかったですけど(笑)。
和田(三)●アクションチームは全く逆で、僕が一番はしゃいでアドリブを入れて、両脇(大島遥さん、藤田房代さん)から「え、ちょっと!?」「そんなこと急にされても?」みたいな顔で見られてましたね(笑)。
――思い出のあるエピソードや、シーンを挙げるとしたらいかがでしたか?
和田(三)●シーズン1の現実で変身する場面かな(※第9話)。
日笠●あれは、みんな大好きでしょう。
和田(正)●神回ですよ。
和田(三)●秋葉原と神田の間くらいで撮影したけど、現場の雰囲気も覚えている。その日はまーくんもいて。
日笠●それまで、同じ空間で変身するってあまりなかったからね。
和田(正)●基本は、妄想空間だったので。
日笠●後半は同じ現場が増えたと思うけど。
和田(正)●それで言うと、味スタの撮影を覚えていますね。三四郎兄やんたちスーツの方々もいて。確か、デリューナイトと戦うシーンだったと思います(※第10話)。
和田(三)●前田(浩)さんだ。
和田(正)●こんなふざけた作品なのに、アクションはガチで驚きましたよ。三四郎兄やんのアキバレッドもめちゃくちゃカッコ良かったし、あそこは思い出深いですね。
日笠●僕は、矢尾一樹さん演じるドクターZが正体を現す場面(第9話)を挙げたいですね。三四郎さんは絡んでなかったかもしれないけど、信夫、ゆめりあ、美月、それから博世がいる中、博世とドクターZの親子関係が明らかになって。
和田(三)●シャチークがずらっと並ぶところですよね。たぶん、僕、シャチークでいたと思います(笑)。
日笠●そうか! あの日が最大人数のシャチークで。「おお、クライマックスみたいな展開キタ!」と。楽しかったですね。
――『痛』は、いかがでしょうか。なんといっても結末が衝撃でしたが。
和田(正)●死ぬエンディングを台本で読んだとき「勢いでここまで来たけど、さすがに体力の限界か」と。当時30代だから、大人の事情も色々とわかりますし(笑)。
和田(三)●でも、ちゃんと着地させない(笑)。
日笠●今でこそ、2作やったからシリーズとして見られているけど、基本的にそんなつもりで始めたわけじゃないんだよね。当時も話したけど、毎回、「これで大丈夫?」という終わり方にしていた気がする。
和田(三)●ズルズル引き摺らず、華々しく散ったのが良かったと思いますね。
和田(正)●もしかしたら死んでないかもしれないけど(笑)。
――ラストで「八手三郎が蘇らしてくれるかもしれないし」と言っていました。
和田(三)●今もシーズン3とか劇場版とか、ファンの皆さんが妄想で盛り上がってくれていて嬉しいですよ。
和田(正)●あれから10年も経ってるのにすごいですよねえ。
日笠●10年前とは、秋葉原も大分変わったでしょうね。
和田(正)●確かに。あの時期だからできたっていうのはあるかもしれない。
和田(三)●当時、既にサブカルの聖地だったけど、今や一大観光地ですからね。
――『アキバレンジャー』には、2010年代当時のサブカルの魅力が詰まってますよね。それこそ、「hshs」とか、当時のネットスラングで、今はもう使わないですよ(笑)。
和田(正)●ああ、当時言ってましたね!
和田(三)●なつかしいですね(笑)。
当時の良い子に観てもらいたい
――この度Blu-ray BOX化される『アキバレンジャー』二部作と「らいぶつあーふぁいなる」2公演ですが、改めて作品への思いをお聞かせください。
和田(正)●当時、大変なこともたくさんあったけど(笑)、キャスト、スタッフ、クリエイターの皆さんが全力で大人の悪ふざけをして作った作品ですよね。今回、2公演のイベントが初Blu-ray化で、「こんな人たちが世界観を作ったんだよ」と人となりも見えるので、このフルセットを通じて、以前とはまた違う印象、温もりを感じてもらえればと思います。
和田(三)●公認様はここ2年くらい、かなり破天荒なヒーローが続いたでしょう?
日笠●まあねえ……(笑)。
和田(三)●それに先駆けること10年(笑)。ふざけ切った人たちがいたことを刻みつける、いい円盤が出ましたね! まーくんと絶妙のタイミングで出会い、1話目からフルスロットルで面白いことがやれたけど、成長を楽しむ全50話の公認様とは、全く違う密度の濃い全26話なのかな、と。
和田(正)●良いこと言ったね!
和田(三)●ニチアサではない深夜ならではの面白さや、あの短期間だったからこその濃さ。それが詰まった2シーズンです。
日笠●今、お2人の話を聞いていて思ったけど、ずっと好きでいてくれたファンの方はもちろん、初めての人にも是非観てもらえればと思うし、感想を聞いてみたい。
和田(正)●それを言ったら、あれですよ。「良い子は見ちゃダメ」だったじゃないですか。
日笠●言ってた!(笑)。
和田(正)●もう10年経ってるから……。
和田(三)●当時の良い子たちも、今は中学生? 高校生くらいかな?
和田(正)●この機会に観ていただきましょうよ。お父さん、お母さんに買ってもらって(笑)。
日笠●当時、観ることができなかった良い子たちに『アキバレンジャー』を!
和田(正)●素晴らしいまとめになりました!(一同笑)。
非公認戦隊アキバレンジャー Blu-ray BOX
『非公認戦隊アキバレンジャー』(全13話)、『非公認戦隊アキバレンジャーシーズン痛』(全13話)の二部作に加え、それぞれのイベント『非公認戦隊アキバレンジャーらいぶつあーふぁいなる~中野へ大遠征!~』、『非公認戦隊アキバレンジャーシーズン痛らいぶつあーふぁいなる2013~中野へ再遠征~』の2本を初Blu-ray化で収録!!
非公認戦隊アキバレンジャー Blu-ray BOX
●発売&販売元/バンダイナムコフィルムワークス●33000円、7月28日発売予定●TVシリーズ約676分+らいぶ本編約305分
【非公認戦隊アキバレンジャー Blu-ray BOX】
A-on STORE https://a-onstore.jp/shop/akibaranger/
Amazon.co.jp https://www.amazon.co.jp
Blu-ray BOX発売記念特番
「非公認戦隊アキバレンジャー 10周年特番 ~あのとき、君は痛かった~」
『非公認戦隊アキバレンジャー』10周年とBlu-ray BOX発売を記念し、東映特撮ファンクラブ(TTFC)限定で前後編の特番が絶賛配信中。
出演者:赤木信夫/アキバレッド役:和田正人●アキバレッド役:和田三四郎●プロデューサー:日笠 淳
Blu-ray BOX発売記念特番 「非公認戦隊アキバレンジャー 10周年特番 ~あのとき、君は痛かった~」】
https://tokusatsu-fc.jp/files/news/0393/
撮影◎真下裕(Studio WINDS) 取材・構成◎トヨタトモヒサ