グラウンドエフェクトカーの先駆け、「ロータス78」を1/12ビッグスケールで南アフリカGP仕様に再現!
2023.06.1770年代末から80年代初頭にかけ、F1界を席巻したウイングカー。そしてその先駆者であるロータス78がタミヤ1/12 ビッグスケールシリーズに久々の帰還を果たした。そこで今回はこのロータス78を畠中浩が、ビッグスケールモデルならではの再現性の高さを持ち前の工作技術でブラッシュアップして製作。さらにウイング周りを中心に手を加え、ロータス78が最後の勝利を飾った、1978年の南アフリカグランプリ仕様として完成させた。
F1はさまざまな方法で車を路面に押し付けながらコーナーを凄まじいスピードで駆け抜けますが、サイドポンツーンをウイング形状にしてその左右下をスカートで密封、そうして作られた車体下のトンネルを高速の空気が流れることで車体を路面に吸い付かせる手法がグラウンドエフェクト。事故の多発で一度は消えたものの2022年からF1でグラウンドエフェクトが復活しましたが、そのグラウンドエフェクトで最初に結果を残したマシンが1977年に登場したこのロータス78です。今まで作る機会がなかったのですが今回再販されたということでようやく作ることが出来ました。とはいえただ作るのも自分的につまらないので、この78最後の優勝となった1978年南アフリカGP決勝、ロニー・ピーターソン仕様で進めます。では早速製作を開始しましょう!
■まずは仮組み
40年以上前のキットですから出来るだけ事前に仮組みをしたいものの、今のプラモデルのようにピンなどでしっかり固定出来るわけではないため両面テープやマスキングテープで固定したり、事前に接着しても大丈夫なところは接着、差し込みが緩ければピンの先端を軽く潰してきつくしたりビス固定に出来るところはビス固定に変更するなどして可能な範囲で組み立ててみましたがどうしても限度があるため、パーツ同士の関係性や寸法、隙間などの特徴や注意点を書き出し、そのメモを参考にしながら製作を進めました。
■カウル、ウイング類
塗装時の溶剤で段差が浮き出ないよう接着部の乾燥時間を取るためカウル類から製作を進めます。南ア仕様は特別大きな変更があるわけではないのですが、ノーズの先端下にガーニーリップ追加、その上にあるオイルクーラーから排出部の上部にカバー追加、コクピット前カウルの上部に飛び出すロールバー開口部、ラジエター排出口のリップ、エンジン横カウルを平面から微妙な曲面に変更、個人的に78で好きな部分のバックミラー部。この辺りがカウルの主な変更部分です。前後ウイングはそれぞれ取り付け位置の変更をしています。リアに関してはメインプレーンがかなり上部に移動するためステー上部を1mmプラ板で作り直しています。
■エンジン周り
補器類はこの決勝日の仕様が確実に確認出来る資料がなかったので基本的にキットの状態そのままで製作しています。エキゾーストパイプはキット通りに作っていますが、後部で保持する部分はスタビライザーの移設に伴いリアブレーキキャリパー部へ移動しているので、後方からの写真を参考に受け部分を作ってあります。最後部からエンジンとギアボックスの繋ぎ目付近まで移動させるスタビは一応キットパーツを使って再現しましたが、アップライトとスタビを接続するアームは長さが足りないので、接続部のみキットパーツを加工して真鍮パイプに刺すように加工しています。エンジンのヘッドカバーに入っているFORDの文字はモールドを削り落とし、カッティングシートを切り抜いて作ったロゴを2枚重ねて貼り付け立体的なロゴを作っています。エアファンネルのネットはモールドで再現されていますが、キットパーツを使ってプレス型を作り真鍮メッシュを絞って作りました。当然その中のエアファンネルは再現されていないので頂上の部分のみプラ材から削り出したパーツをUVレジンで複製し、貼り付けています。
■塗装など
カウル類はすべて黒1色なのでバラバラの状態でも色ムラなしで塗装出来るのでとても楽です。マーキングに関してはJPSのロゴが大人の事情で入っていません。サードパーティ製のものを探す時間もなかったのでいわゆる「インレタ」をいつもお願いしている「エイドクラフト」さんへ発注。デカールの色に合わせて調色していただいたためトータルで6000円ほどかかってしまいましたが、欲しい時にすぐ手に入るのはとても魅力です。貼り付けは直でも行けるのですが微妙な位置決めが難しいので一度クリアーデカールに貼り、それを本体に貼り付けています。マーキングについてはレースやセッションごとにかなり変わっているのですが、今回の仕様ではコクピット右側に入るEマークなどはロニー車では確認出来なかったので入れていません。機械感満載のこの時代は金属パーツがほとんどですから単調にならぬよう、例えば同じシルバーでも微妙に色味を変えたり、わざと違う色味で塗装するといいですね。
■最後に
手軽に作れますよ! とはお世辞にも言えない古いキットですが、大スケール特有の実車を組み立てている感じが味わえるのはとても魅力です。忙しない世の中ですが学校や仕事が終わった週末の夜、少しの時間でのんびり作って行くというのも模型の楽しみでもあると思うので、積むよりも、ぜひ作っていただきたいと思います!
タミヤ 1/12スケール プラスチックキット
ロータス78 1978 南アフリカGP仕様
製作・文/畠中浩(ももふく模形舎)
ロータス タイプ78(エッチングパーツ付き)
●発売元/タミヤ●14080円、発売中●1/12、約38.1cm●プラキット
畠中浩(ハタナカヒロシ)
庭で栽培中の照手水蜜。今年こそ上手に摘果して甘い実を食べたいと思う休みなしの日々です。