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センム、ワンフェス語り 第1回

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ゼネラルプロダクツ

　（ワンフェスを主催した）ゼネラルプロダクツとはむちゃくちゃ仲が悪かったです。楽しくケンカしてましたよ。トムとジェリーみたいなもの、あるいはプロレス的なものではありますけど。
　僕らはSFとかキャラクターものとか怪獣が好きなプラモ屋さんから派生したところなので、彼らとは出自が違うというか、僕らにとってはSF野郎ごときに模型の地を荒らされるものかよという感じで。ゼネラルプロダクツはSFショップで、彼らからするとSFというのはちょっと格が上というか、小説があり、映画があり、そこからの模型、造形なので、模型屋ごときと思ってるわけです。お互いに近親憎悪みたいなもので、「バーカ！」とか「あいつヘッタクソやな、こんなん出しやがった」とか罵り合い、晒しもんにして笑い合い、それぞれのお店の常連さんやファンも一緒になってオタクチックな戦い、“大阪抗争”を84年秋までやってました。

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大阪抗争終結

　83年から84年にかけてメーカーも増えてガレージキットがどんどんどんどん盛り上がってきたので、ゼネプロさんとしてはもう手打ちをしましょうということで、（当時の代表の）岡田斗司夫、武田康廣が84年9月ぐらいかな、うちに来て話しあったんです。海洋堂とゼネプロを焚き付けて戦いを盛り上げて喜ぶのは東京の雑誌編集者だけだと。そんなことよりもガッツリ手を組んでガレージキットをちゃんとしたものにしましょう、そのために彼らはワンダーフェスティバルというイベントを考えていると。僕らはそれはもうぜひともということで、始めようかということになったんです。

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ワンフェス開催

　海洋堂は常に造形であろうが、何であろうが一番でありたいというのが僕の主義主張なので、ワンフェスに参加するからには一番素晴らしいものを作って、一番たくさん売れて、一番立派なブースを作らなければいけない。ゼネプロさんが主催者ではあるけども、僕らもそれを全力で応援するべきであろうから、準備や片付けなど含めて全面的に協力して。
　（第1回ワンダーフェスティバルは）フィギュアが本当に勃興期というか、その勢いや熱量がすごかった。当時宮脇さんだって26歳ですからね。
　85年頃は「月刊ニュータイプ」が創刊されてアニメシーンも盛り上がり、ガレージキットだけではなくアニメプラキットもバブルで、すべてのものが勃興するまさにオタクのカンブリア大爆発の時期だったわけです。僕らは僕らで、海洋堂にいろんな造形師、造形作家が集まってきていて、その熱気を肌で感じて、これはすごいことやなと思っていましたよ。

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当日版権

　85年にワンフェスが始まった頃は（ガレージキットも）同人誌みたいなものです。でも、主催しているゼネプロは（ガイナックスで）アニメを作ったりしてるし、海洋堂も模型屋さんである。今となっては功罪あるんだけど、当日版権というものが誕生してしまうきっかけって、やっぱりそういうメーカーが参加していたというのがあって。
　ワンフェスで版権とっていないという文句が来るようになったんですが、「ホビージャパン」や「B-CLUB」（バンダイから発売されていたホビー雑誌）があたりがうまく抑え込んでいたんです。「B-CLUB」はガレージキットを推していたので、ワンフェスを応援してくれた。それでバンダイも当日版権に協力してくれて、その流れで東映、東宝、円谷、それに『機動戦士ガンダム』まで作れたんです。
　僕らが一番最初に作った当日版権が、小田雅弘の「キュベレイ」で200個限定。速攻完売でしたから。小田雅弘で永野護の「キュベレイ」って、他のメーカーから卑怯ですよって言われて。そうですよねー（笑）。

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