「MGEX ユニコーンガンダムVer.Ka」をフルアーマー化!MGEXとMGのニコイチでフルアーマー・ユニコーンガンダムをつくる
2023.05.20RX-0 フルアーマー・ユニコーンガンダム【BANDAI SPIRITS 1/100】●マイスター関田 月刊ホビージャパン2023年6月号(4月25日発売)
MGEXとMGのニコイチで最新版フルアーマー・ユニコーンガンダムをつくる
カトキハジメ氏がメカニックデザインを務めた『機動戦士ガンダムUC』の主人公機ユニコーンガンダムは、作品の人気と相まって、HGUC、MG、RG、PGなどさまざまなブランドでリリースされている。中でもRG、PGを経てリリースされた、最新作MGEXユニコーンガンダムは、ユニコーン、デストロイ両モードのプロポーション、カチッと決まる変身ギミック、発光演出など、これまで培われたノウハウが存分に注ぎ込まれた傑作である。作例はユニコーンガンダム最高峰モデルのMGEXを、MGフルアーマーユニコーンガンダム Ver.Kaの武装でフルアーマー化。無改造で取り付けられる仕様であるため、改造はわずかなディテールアップに留め塗装に注力。カラーモジュレーションを取り入れた白外装塗装に、未発光でも映えるサイコフレーム塗装を施し、至高のフルアーマー・ユニコーンガンダムを完成させた。
MGEX ユニコーンガンダム Ver.Ka
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●25300円、2020年9月発売●1/100、約20cm(ユニコーンモード)、約22cm(デストロイモード)●プラキット
MG フルアーマーユニコーンガンダムVer.Ka
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●8800円、2011年12月発売●1/100、約20cm(ユニコーンモード)、約22cm(デストロイモード)●プラキット
■塗装解説
[本体色/ホワイト]
下地=基準色+GXウイノーブラック+GXクールホワイト+色ノ源シアン+色ノ源マゼンタ
2層目=パープル( 色ノ源シアン+色ノ源マゼンタ+GXクールホワイト)でハイライトグラデーション
3層目=GXクールホワイトでハイライトグラデーション
[サイコフレーム/蛍光グリーン]
下地=蛍光グリーン+色ノ源シアン
2層目=GXクールホワイト+GXスーパークリアーⅢ+ガイアノーツ蛍光クリアーで作った乳白クリアーでスパッタリング
3層目=蛍光グリーン+色ノ源シアン+GXスーパークリアーⅢ
4層目=再度スパッタリング
5層目=GXクールホワイト+GXスーパークリアーⅢでハイライトグラデーション
[フレーム色/ウォームグレー]
下地=GXウイノーブラック+GXクールホワイト+ブラウン+GXキアライエロー
2層目=下地色+GXクールホワイト
[足・バックパック/ダークブルー]
下地=ネービーブルー+色ノ源マゼンタ+GXウイノーブラック
2層目=下地色+GXクールホワイトでハイライトグラデーション
3層目=GXクリアディープブルー+色ノ源マゼンタ+GXウイノーブラック極少量
[武器/ダークブルー]
下地=ネービーブルー+GXウイノーブラック+オレンジ極少量
2層目=下地色+GXクールホワイトでハイライトグラデーション
[アンテナ/ゴールド]
下地=ブラウン+GXウイノーブラック少量
2層目=スーパーリッチゴールド
本体色白の塗装
マイスター関田が教えるサイコフレーム塗装表現法
今回のマイスター関田によるサイコフレームの塗装工程をご紹介しよう。
ドーモ、マイスター関田でございます。今回はMGEXをフルアーマー仕様込みで仕上げるという贅沢全部乗せ作例を担当しました。MGEXユニコーンガンダムは各部のボリュームバランスが絶妙で、まとまりの良い力強さを持ったユニコーンモードとメリハリの利いたデストロイモードを両立した決定版という印象。仮組み段階でプロポーション変更の必要を全く感じなかったので、工作に関しては基礎的な処理工作をこなし、装甲各部にマイナスモールドを追加するに留めています。膨大な数のパーツ相手の作業になるので焦らずじっくり進めていきます。
■製作
今回はMGフルアーマーユニコーンガンダム Ver.
KaのパーツをMGEX本体に組み合わせてフルアーマー化していますが、MGEXユニコーンガンダム自体を加工する必要はありません。脚部のグレネード用マウントは、スネフレーム外側のスラスターパーツを外すだけで接着の必要なく取り付けが可能。バックパックにハイパー・バズーカやガトリング・シールドの基部となるフレームもY17とY16のパーツでバックパックを挟み込むように取り付けることで対応可能です。
■塗装
塗装に関しては白の面積が極端に多く、この白の見せ方が作品の方向性を決める要素となります。ユニコーンガンダムは平面主体のデザインなので、ただ白く塗るだけはのっぺりした印象になってしまい、角度によって見え方の変わるパールも効果が弱いため、グラデーションの陰影と色の移り変わりで方向性を定めていきます。狙いとしては作品に重さを演出しつつ青みがかった冷たい感じの白を目指したいのですが、パーツ数が膨大なためなるべく少ない層で仕上がるよう組み立てていきます。
重さの表現のため暗めのグレーを下地として塗りますが、紫の成分を混ぜることで照明に含まれる黄色の波長の光を吸収し、最終的に白が青みを帯びる助けとします。このまま白を重ねてもほぼ狙い通りの白は表現できますが、中間に紫の層を挟むことで少ない吹き付け量で白くなりつつ、さらに青みを増すように誘導していきます。白のハイライトはこれまでの面の中心に向けて明るくなっていく掛け方ではなく、エッジの下側にシャドウが残るカラーモジュレーションっぽいグラデーションを選択。少し強めに紫がかったシャドウが残るよう濃い味のグラデーションで仕上げました。この白のグラデーションに関しては本誌でも作例を発表されている六笠勝弘さんの塗り方に影響を受け、参考にさせていただいています。
サイコフレームに関してはLEDで発光させていないときでも寂しくないように、緑の発光をイメージした塗装をしています。以前のエアブラシ特集記事(2021年11月号)でも掲載していただいた、スパッタリングによる飛沫を利用して粒子感を伴った発光表現で塗装しています。下地に隠蔽力の低い蛍光塗料を使用することで、LEDユニットの光も活かせるようになっています。
各部のコーションマークは、付属の水転写式デカールとMGユニコーンガンダム用のガンダムデカールを組み合わせて使用しています。ユニコーンガンダムは狭い面を組み合わせたデザイン構成なので、コントラスト強めのグラデーションで塗装している場合、コーションマークを多く配置してしまうとゴチャついた印象で仕上がってしまうので、全体の4割程度に抑えています。
■最後に
ユニコーンガンダムは人気の機体でもあり「MGを作ったからMGEXはいいや」と感じている方も多いかもしれませんが、かなりの数のMGユニコーンガンダムを作ってきた私でも素直にカッコいいと思える傑作キットなので、こちらの作例を見て刺激を感じてくださった方はこれを機にぜひ組んでみてください。
BANDAI SPIRITS 1/100スケール プラスチックキット“マスターグレードEXTREME”ユニコーンガンダム Ver.Ka+“マスターグレード”フルアーマーユニコーンガンダム Ver.Ka 使用
RX-0 フルアーマー・ユニコーンガンダム
製作・文/マイスター関田
ⓒ創通・サンライズ
マイスター関田(マイスターセキタ)
ガンダムベース東京でガンプラマイスターを務める塗装の伝道師。探究心を持ちつねに新しい塗装表現を模索する。