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リガ・ミリティアの主力MS「ガンイージ」を木村直貴が“歴戦の勇士”感を演出して仕上げる!

2023.04.14

LM111E02 ガンイージ【BANDAI SPIRITS 1/100】 月刊ホビージャパン2023年5月号(3月25日発売)

Vガンダム30周年記念!

ディテール工作と塗装で歴戦の勇士感を演出

 2023年は『機動戦士Vガンダム』の放送開始からちょうど30年! これを記念して2023年4月1日発売予定のホビージャパンMOOK「ガンダムフォワードVol.10」では『Vガンダム』特集を敢行! その前哨戦として前回から『Vガンダム』作例をお届けしているが、今回はリガ・ミリティアを支えた主力MS「LM111E02 ガンイージ」を“マイスター”木村直貴が製作。キットは2018年にリリースされた「RE/100 ガンイージ」を使用して、全身各所にボルト穴やラッチ溝といった得意とするディテールアップ工作を施し、ウェザリング塗装も加えることで歴戦の勇士感を演出して仕上げた。

▲変形合体機構がないぶんシンプルなシルエット。テスト機は2機製造され、機体No.01は各種テストののち、シュラク隊のジュンコ・ジェンコ搭乗機となり、No.02は能力テストが行われたのみで実戦には投入されなかった。No.01と初期生産型であるNo.03〜No.08はシュラク隊で使用され、増備タイプと呼ばれるNo.09〜No.15はバグレ隊など地球連邦軍部隊に供与された。No.16以降は後期生産型とされ、ガンブラスターと同一の生産ラインで製造されている
▲背面もシンプルな形状。推進器が胴体と一体になっている。腕部、腰部背面、ふくらはぎ側面にオプション装備用のマウントラッチを持つ。腰部リアアーマーに切り欠きがあるのは増備型からとされているが、後期生産型ではこの切り欠きはなくなっている
▲キットの腰高な印象を緩和させるため、腹部の下面に2mmのプラ板を貼って整形。合わせてコクピットハッチ下部も延長している
▲キット素組み(左)との比較。木村直貴お得意のディテールアップ工作(ボルト穴・ラッチ溝・エッジの切り欠き)がバランスよく配置され、シンプルな形状ながらも高い情報密度になっている。また、工作だけではなく、各所にマーキングデカールを貼り、塗装面でもグリーンをツートーンカラーにしたり、シルバー下地を露出させるダメージ表現やウォッシングによるウェザリングを加えることで、ワンパターンなディテールアップにならないよう見た目に変化を与えている
▲肩付け根を軸可動に変更。胴体側はキットのポリパーツの代わりに7mm径ABSパイプを固定。肩側は接続軸を切り落としてホビーベースの関節技ボールジョイントを接着固定した
▲肩アーマーは側面のバーニアモールドが一体成型になっているので、コトブキヤM.S.G「ダクトノズル」を貼り付けてディテールアップ。内側の接続ピンが露出する部分は、付け外しをしやすくするためにピン頭を斜めに切っているので、それを隠すために丸く切り出したプラ板を貼り付けた。ハンドはHGBCビルドハンズ角型[L]を使用して握り拳と平手を用意。削り込んでキットの形状に近づけている。また、手首接続部のポリパーツが露出しているので、1mmプラ板に穴を開けてテーパーを付けたものでカバーしている
▲ガンイージが使用するビーム・バズーカは、サナリィが設計してF90IIIY クラスターガンダムに装備されたものを地球連邦軍が制式採用し、リガ・ミリティアが改良を加えて運用したとされている。こちらは非使用時は腰部ラッチにマウント可能
▲胴体上部左右肩口の兵装庫は、右にビーム・サーベルを収納し、左は2連マルチランチャーになっている
▲基本武装のビーム・ライフルはVガンダムと共通のものを使用。腕部ラッチにビーム・シールド発生器を備える
▲上半身工作のbefore→after。肩付け根の工作で、立ち姿が自然に胸を張った印象になっているのがお分かりいただけるだろう
▲肩付け根の工作によってポージング時の表情付けが豊かになった。キットの状態では肩付け根は前側への引き出し機構はあるものの、接続自体が棒軸なので胸を張るといった動作には向いていない。今回の工作は本キットだけでなく同様の構造を持つものには有効な手段であると言えよう
▲下半身はディテールアップ以外には手を加えずにストレート組み。腰部リアアーマーの丸モールドやふくらはぎのハードポイントなど、元からあるものを活かしたディテールアップ、腰部フロントアーマー内辺やふくらはぎとスネの段差部分、靴部ソールパーツ上面左右などのエッジ切り欠きのようにラインに変化を与えるディテールアップなど、手法を変えたディテールアップ工作を行うことで見た目が単調にならないようにしている
▲各武装はディテールアップ以外はストレートに製作。ビーム・サーベルのビーム刃は粗目の紙ヤスリで削って毛羽立たせることで粒子感を演出。扇状のビーム刃はリューターで凹凸を付け、先端側を薄くして半透明にしている

■成型色にホレたぜ!
 今回はガンイージを担当させていただきました。劇中では、美女ばかりの精鋭MS部隊「シュラク隊」が使用して悲壮な活躍をしたのが印象に残っています。激しい戦闘で次々と犠牲者を出し、彼女らの自らの命を盾に仲間を守ろうとするひたむきさに胸をうたれましたねぇ…。ということで、ガンイージは傷つきながら戦うイメージがあります。おまけにキットのフィールドグレーの渋い成型色はミリタリー感抜群で、パーツを見ただけでダメージ&汚し仕上げが無性にやりたくなってしまいます〜(笑)。
 ちなみにシュラク隊として劇中で活躍した機体はキットの成型色よりも少し明るめの灰緑色ですし、ガンイージ自体も初期生産型で、腰部リアアーマーはプロトタイプと同型の切り欠きのないタイプというのが通説ですが、キット仕様のほうがカッコいいので、このまま行っちゃいます! まあ、爆風の熱や煤で変色してトーンが変わったり、戦闘でダメージを受けて増備タイプなどの補充部品に取り替えた、とでも考えておけばOKね。なにしろ、余裕のないレジスタンス組織ですから!

■激渋仕上げ
 もちろん激戦をくぐり抜けた機体! ということでダメージ&汚し仕上げでまいります。まず下地としてMr.カラー8番のシルバー+焼鉄色を全面に吹き付けます。その上に機体色を重ね吹きします。後の汚し工程でトーンが変わっていますが、一応基本色を書くと、
本体緑=RLM82ライトグリーン+グレーサフ+α
本体紺=MSティターンズブルー+グレー&黒&茶サフ
武器緑=中島系濃緑色
武器黒=黒サフ+グレーサフ+α
 なお、サフ(サーフェイサー)はいつも混色して使っているので正確なレシピは不明であります。
 基本色塗装後にルータービットなど先の尖ったもので塗装面を引っ掻いて傷を入れ、下地を露出させていきます。次はアクリル絵の具の黒+茶+赤を水で薄め、洗剤を加えたものでウォッシングします。最近は時短策として簡易エアブラシ(タミヤ・バジャー)で滴るほど吹き付け、ティッシュや綿棒で余分な液を吸い取っていく方法で進めています。
 ウォッシングの次はマーキング。適当なガンダムデカールやHJモデラーズデカールを貼り付け、半乾き状態でナイフの刃先で破いてダメージを加えます。
 最後にツヤと濃さを調整したスーパークリアー グレートーンで、ダメージ周辺などを焼けて煤けた感じにまだら吹きして全体をまとめて完成であります。

BANDAI SPIRITS 1/100スケール プラスチックキット “REBORN-ONE HUNDRED”

LM111E02 ガンイージ

製作・文/木村直貴

ⓒ創通・サンライズ

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