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覇王大系リューナイトから「リューサムライ・疾風丸」を改めて徹底工作!

2023.02.06

サンライズ・メカニック列伝 第49回リューサムライ・疾風丸【バンダイ】 月刊ホビージャパン2023年3月号(1月25日発売)

覇王大系リューナイトから「リューサムライ・疾風丸」を改めて徹底工作!

リューサムライ 疾風丸(『覇王大系リューナイト』より)

 サンライズ作品に登場する数多のメカを模型作例で再現し、改めてその魅力を探る連載企画「サンライズ・メカニック列伝」。今回は2023年7月末にMODEROIDでニューキットの発売も控える『覇王大系リューナイト』から、「リューサムライ・疾風丸」の作例をお届けしよう!
 異世界アースティアに少数存在する、意思を持つロボット・「リュー」。疾風丸はヒノデ国で5本の指に入ると言われるサムライ、月心が召喚する武者属性のリューである。武士道を尊び、気高い志を持ち、名前のとおり疾風のような速さで槍と刀を操る。劇中では「秘技 疾風突き」、「飛竜正眼崩し」、「隼返し」といった複数の必殺技を見せている。
 ミストロットコレクションを使用した作例は田仲正樹が私物を投入して製作。キットのフォルムを大幅に変更すると同時に全身のエッジを調整し、関節機構も刷新。カラーリングにもこだわった徹底工作作例として完成させている。

※放送当時にバンダイ玩具第1事業部より発売されたプラキットを使用

製作途中状態

 組み立て式トイ「ミストロットコレクション」シリーズの疾風丸は、パーツ自体の美しさは大いに評価できるものの、フォルムの捉え方や安全対策のためのエッジの処理等において設定画や劇中の作画と多少の乖離が見られる。作例は各ブロックの位置と形状を入念に吟味して加工し、設定画のバランスに近付けると同時に、各エッジのシャープ化と可動部の刷新を行ったもの。素組み状態と製作途中の画像を見比べると印象が大きく異なっていることがわかるだろう

頭部

 頭部本体と兜を前後に2mmずつ幅詰めして小型化。本体の鋲のモールドは市販の半球状パーツで立体的に変更。兜はエポパテで裏面を作り、全体を削り込んで前後にエッジのある鋭角的な形状に修正。フェイスは目とアゴをプラ材で作り直し、形状を設定画に近付けた。首は二重ボールジョイントで、兜はネオジム磁石でそれぞれ接続している

胴体

 頭部が胴体にめり込んで見えるため、首元にHGギラ・ズールの胸部上面を加工したものを埋めこみ、底上げしたところへ首を接着。胸部下面はエポパテでボリュームアップ。腹部を新造し、ボールジョイントで下半身と接続した。股関節は1/35ランスロットの球体関節に交換。腰前面にはMG Ex-Sガンダム/Sガンダムの不要部品を加工して取り付け、曲面主体の形状に変更した。腰部装甲は上部の帯(ベルト)状の部分の形状とディテールをプラ板で加工し、設定画に近付けている。宝玉は後ハメ加工を施し、ゲート跡をリタッチ。その周辺の各エッジは、よりシンプルに見えるように整理とシャープ化を行っている

腕部

 肩外装はフチにプラ板を接着してひと回り大型化しつつ、上面ラインが設定画のように斜め下へなだらかに下がるように加工。裏には補強を兼ねてジャンクパーツを接着し、エポパテで隙間を埋めた。肩ブロックとヒジ関節はHGリーオーのものに交換。肩関節は胴体側にロールスイングジョイントを内蔵、肩ブロックを引き出し式にして五重関節化し、可動範囲を大幅に拡大させた。上腕は4mm径プラパイプで新造、手首関節はボールジョイント化している

脚部

 足首関節をHGガンプラのボールジョイントに換装して保持力を上げているが、この際に股関節や足首関節のジョイントの位置について細かく調整を重ね、設定画に近い脚部のバランスと可動の両立を図っている。足首関節外装は幅詰め。より設定画のイメージに寄せるため、キットオリジナルのディテールはその大半を削り落とした

武器類

 槍の刃はプラ板を貼り足してから削り出し、柄は真鍮パイプで延長。太刀と鞘はM.S.Gの日本刀を短くしたものに交換して大型化。鞘はネオジム磁石で腰の装甲に接続している。小柄はHGクロスボーン・ガンダムのヒート・ダガーから削り出して自作。シーンによって形状が異なるため雰囲気重視で製作した。拳はHGBC次元ビルドナックルズ(丸)とジオン系MSのものを加工して揃えている

■1994年は侍や忍者が多かった
 底板を外した風呂桶を愛用しているサンライズメカファンのみなさんは、ゼファーとマジドーラのニューキット発売が待ちきれずに、今からハートを激燃(メラメラ)させているはず。こうなったらメインの8機×各2クラスは発売してもらいたいところです。そして本コーナーでは引き続き、本放送当時に発売された「ミストロットコレクション」シリーズを製作して盛り上げたいと思っています。
 シリーズ7番目のアイテムである疾風丸は、金と青緑のメッキパーツ、そして成型色の赤とメタリックグレーの光沢が非常に美しく、軟質部品がほとんど見えないうえに派手な肉抜きもないので、見映えよく組み上がります。ただ、フォルムに関しては首が胴体に埋まって見えるのに加え、腹部の空間も目立ち、バランスが今ひとつです。そこで作例は首が付く位置を上げ、腹部周辺と腰の装甲をボリュームアップ&形状変更。肩の外装、腰の装甲、前腕、足首関節付近は設定画を参考に形状を変更。同時に各エッジ付近の溝を埋め、一部にはプラ材を貼り付けて削り込み、シャープ化しています。材質が硬いのでこれらの工作はとても大変でした。
 槍は柄を延長、穂をシャープ化。太刀は市販パーツを改造。小柄(こづか:徳田新之助が短筒を持った悪党とかに投げているやつ)は適当なパーツから削り出して自作。
 ヒザをどうするかで少し悩みました。映画『戦国自衛隊』『用心棒』『荒野の用心棒』(時代劇のほう)をざっと観なおして出た結論は、「ヒザを伸ばしてスッと立っているだけで、侍は格好いい。動かなくていい」。ということで太モモからスネにかけては1本のプラパイプで作っています。簡単そうですが、最適な脚の長さや、外観と可動範囲を両立させられるジョイントの位置を探るのが難しく、意外に大変です。ちなみに『最強ロボ ダイオージャ』第23話「ぼくらは荒野の用心棒」は面白いけど今回はあまり参考になりませんでした。

■色が変わるMagic
 キットの成型色や近年の資料等では、兜や肩等がわりと鮮やかな青色ですが、当時のアナログTVではグレーに見えていました(『ダンバイン』のボチューン指揮官機と同じ現象だと思います)。作例は集英社刊「覇王大系リューナイト アニメスペシャル」掲載のカラー画稿を参考に、94年に見ていた色を思い出しながら塗りました。
兜、肩外装等=10色くらい混ぜた紫系グレー
顔=クールホワイトにスカイブルー、パワーグリーン、兜の色を各少量、ハーマンレッド微量
アゴ、足首等=ウイノーブラックに兜の色、インディブルー、クールホワイトを各少量
胴体赤=シャインレッド+ハーマンレッドにピンク少量
 上腕や関節はアゴのグレー+顔の色。ヒジ装甲はミッドナイトブルー+コバルトブルー+兜の色。槍や刀はGXホワイトシルバー。額の三日月はスターブライトゴールド+エルドランゴールドにクリアーレッド少量。スミ入れ後に半光沢とツヤ消しを混ぜたクリアーで塗膜をコートし、宝玉(コックピット)を取り付けてメリークリスマス! ケーキを食べるよ、12月24日だけど!
次回はピンク色のメカの作例をお送りします。

バンダイ ノンスケール プラスチックキット “ミストロットコレクション”

リューサムライ・疾風丸

製作・文/田仲正樹

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©伊東岳彦/ 集英社・サンライズ

田仲正樹(タナカマサキ)

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