重厚感あふれる「MGEX ストライクフリーダムガンダム」を”マイスター”木村直貴がキットレビュー!
2023.01.22ZGMF-X20A ストライクフリーダムガンダム【BANDAI SPIRITS 1/100】●木村直貴 月刊ホビージャパン2023年2月号(12月23日発売)
2022年最高峰キットを
さらにハイエンドに完成させる
BANDAI SPIRITSがこれまで積み重ねてきた技術と、プラスチック+異素材の組み合わせにより、MSの“究極表現”に挑むMGハイエンドブランド「MASTER GRADE EXTREME(MGEX)」。その第2弾アイテムとして発売となった「ZGMF-X20A ストライクフリーダムガンダム」はガンプラ史上最高峰の“金属表現”をテーマとしており、特徴的なゴールドのフレームを3種の特殊加工と2種のメタリック成型、エッチングシールの6パターンでメカニカルに表現している。
木村直貴によるキットレビュー作例は、フレームの金属表現はできる限り活かしつつツヤ消しとウォッシングで重厚感を演出。外装パーツはキット本来のモールドを起点にディテール追加を施すことでさらに情報量を高めている。“マイスター”の手でよりハイエンドに仕上がった2022年最高峰のガンプラをじっくりとご堪能いただきたい。
□頭部、胸部まわりのシャープ化と頭部位置の調整
□フレームの塗装
□外装パーツのディティールアップ
□MDELING PROCESS
□before ⇒ after
■重厚な輝きは、まさに究極!
今回は「究極の金属表現キット」として大注目のMGEXストライクフリーダムガンダムを担当させていただきました。ご存じの通り、このキットは色調の異なる3種のゴールドメッキパーツと渋い金色とグレーのメタリック成型パーツ、さらにエッチングやメタリックシールなども組み合わせた、究極にきらびやかな、ゴージャスな一品であります! 特にゴールドメッキパーツそれぞれの質感がすばらしいです。付属のスタンドにA〜Dランナーを並べて立てておくだけで、とても美しいインテリアです。しかも、きらびやかさを追求しただけのメッキ臭い感じはありません。ツヤを少し落としたやや粒子感のある表面仕上げは重量感もあり、“工業製品としてのムクの合金素材”をイメージさせてくれます。とっても高級感あふれる印象です。光線の具合で劇的に変化するこの質感! これは写真では絶対伝えられません! ぜひ実際に手に取って感じてほしいです!
■スゴイのはフレームだけじゃない!
こだわりのゴールドフレームですが、外装を付けるとほとんど隠れてしまうのが残念なところ。とはいえ外装の隙間からのぞく金色は秘めたるパワーを感じますし、クリアーレッドのカバーからチラ見えする内部メカも好奇心を刺激してワクワクさせてくれます。ナイスなアレンジであります!
プロポーションも力強くて言うことなし! 特に脚のボリューム感は最高! アクションギミックも究極です。細かく分割された複雑なパーツはすべてに意味があって、それらが連動して動くサマは感動ものです。パーツのディテールも徹底的に彫られています。すごくシャープで繊細です。完成後は見えないところにも、びっしり彫られています! 脱帽です!
■じっくりやりましょう
メッキパーツに関してはゲート処理しただけであとはそのままです。巧みな設計で目立たず、また精度よく成型されていますのでパーティングラインもあまり気になりません。どうしても気になる所はディテールを彫ってスミ入れして、そっちが目立たないように処理しちゃいましょう。
通常パーツはいつも通り整形していきますが、胸のインテークのフィンおよび腰部フロントアーマー先端をシャープにとがらせてやると、よりスピード感ある印象になるのでお勧めです。目立つクリアーレッドのカバーは、細かいペーパーで滑らかにしてからコンパウンドで磨き直してやるとプラっぽさが消えてスケール感が上がります。がんばってみてください。
プロポーションに関しては特段の問題はないのですが、横に広がったバックパックを付けると縦に圧縮されて見えるので、今回は腰・太モモ上部・足首関節の3ヵ所にスペーサーを入れて身長を伸ばしてみました。また、首の軸をずらして頭を後ろに引き、たくましさも強調しています。いつもの表面ディテールも各所に追加して精密感もアップさせています。
■もったいないけど汚しちゃうぞ
外装部はいつも通りに仕上げています。白〜黒はサーフェイサーをベースに調色して表面処理兼用。赤はキャラクターレッド+ブラウン、青はキャラクターブルー+スカイブルー+パープルで基本塗りし(すべてMr.カラー)、タミヤエナメルでスミ入れ後、付属デカールを貼って最後に濃度とツヤを調整したスーパークリアーグレートーンで軽めのグラデーションをかけて仕上げています。
一方、こだわりの金属表現がほどこされたメカフレーム部は汚しだけ加えてより重厚な金属表現を目指してみました。具体的には、半ツヤ+ツヤ消しのスーパークリアーを全体に吹いて定着性を上げたうえで、アクリル絵の具(黒+茶+赤少々)を水で薄め、少量の洗剤を加えたものでウォッシングをかけます。キラキラ感は多少損なわれますが、全体のトーンが落ち着き、陰影が強調されてスケール感が上がります。渋い感じが好きな方は、ぜひお試しください!
作例動画はこちら
BANDAI SPIRITS 1/100スケール プラスチックキット “マスターグレードエクストリーム”
ZGMF-X20A ストライクフリーダムガンダム
製作・文/木村直貴
MGEX ストライクフリーダムガンダム
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●15400円、発売中●1/100、約18cm●プラキット
ⓒ創通・サンライズ
木村直貴(キムラナオキ)
工作&塗装ともにミリタリー表現を取り入れたディテールアップを得意とするエースモデラー。和歌山在住の大正琴師範代。