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【Ma.K】P.K.A新キット発売決定! 1984年版のP.K.Aを改めて製作して、その魅力に迫る!

2022.12.21

Ma.K. in SF3D 月刊ホビージャパン2023年1月号(11月25日発売)

P.K.A.新キット発売に備えて旧キットを作る

 2022年10月の「第60回全日本模型ホビーショー」でウェーブが新設計1/20 P.K.A.のプラキット化を発表。このアナウンスを受け、原作者・横山宏は1984年に発売された日東製P.K.A.の特集を提案し製作を開始。旧キットの気になる箇所を改修した完成品は派生機の“エミール”と名付けられた。MAX渡辺はノーマル機と各部を延長・短縮したH0型を各1体製作した。
 本連載「Ma.K. in SF3D」では2011年4月号でホルニッセを特集しているが、P.K.A.プラキット単独特集は連載史上初! 旧キットをお持ちの方はこの機会にP.K.A.を製作してその原初的な魅力に浸ってほしい。

日東パッケージがモチーフ

▲上写真の特撮カットは松本州平氏が製作した日東製「P.K.A」プラキット(絶版)のパッケージがモチーフとなっている

シュトラール軍 装甲戦闘服 E型 エミール 製作/横山宏

▲肩アーマーや背面など細部が従来のH型と異なり、E型エミールと設定された横山P.K.A.
▲細やかなチッピングは銀色の水性ボールペンで描いている
▲腰アーマー基部前方の段差はプラ板とパテで滑らかにした
▲5本指型とカギ爪型の2体を製作。カギ爪の1番機は無人型でAIが搭載されている
▲エンジン上部にバルジを追加。フリードリッヒやグスタフのような丸いレーダーが確認できる
▲無人型のキャノピーを開けると搭載AIが顕わに。SF的で不気味な形状だ
▲左右のキャノピー開閉用パーツを真鍮線で連結。グラつかなくなり外れにくくなる
▲ウェーブ製1/20メルジーネにもれなく付いている『Ma.K.』40周年記念バッジを飾り台に固定して展示
▲腕付け根のリングのフチを切り、肩アーマーの基部となるプラ板を真鍮線で固定する
▲ピンポン球を切り出したアーマーを虫ピンで基部に固定。プラ板を細切りしたものをディテールに
▲胴体内部後方にポリ製パイプ受けとなるプラ棒をしっかり接着。パイプに真鍮線を挿して接続
▲キャノピーを支持するパーツはそれぞれ直径1mmと0.5mmの真鍮線で連結する
▲バッジの裏の主軸と回転防止用の小さい針に合わせて飾り台に先に穴をあけておく

 東京のホビーショーでウェーブから新金型でP.K.A.が出ることが発表された今! この連載で日東のP.K.A.特集をしましょうって提案したのは実はわしです。新キットが出る前に旧キットを最新のマテリアルを使って作ってみたかったんです。
 実はP.K.A.のキットって40年近く前に最初にスキンヘッドに改造して以来単体では作ったことないんですよ! いつもホルニッセとして完成させていたし3Qモデルのホルニッセも組み立ててもらったものを塗装していました。今回のP.K.A.も組んだものを用意してもらったけど、気になるところをいろいろいじってるうちに結局バラバラにしたりしてみました。38年前のキットだから作るのが少し難しいんだけど、最新の工具やマテリアルを使ってていねいにチューニングしていく作業がメチャおもしろかった。間違いなく40年前はこんなにカッコよく作れなかったと思うよ。
 この旧P.K.A.キットはいろいろなギミックを盛り込んだ意欲的な製品だったわけでキャノピーを開閉させるというトイプラとしてのギミックがあってワクワクした人も多かったと思います。だけど作り始めると高いスキルを要求するところも多く、ここもやはり外れやすいのが弱点。でもここのパーツを左右で1mmと0.5mmの真鍮線で固定するだけでかなり丈夫になってキャノピーの開閉がスムーズになります。
 サイドキャノピーは水溶性の接着剤で仮止めしておいてある程度位置が決まったら速乾タイプの流し込み接着剤で固定します。またパワーパイプはキットに入っているスプリングと銅線を使わず、ウェーブのグスタフを作ると余るポリ製のパワーパイプに置き換えます。胴体側の受けの部分は腰パーツの横にあって付けにくいので、胴体の内側後方にプラ棒を接着しておいてポリ製のパイプに真鍮線で軸を挿して瞬着で強引に繋げました。
 40年前に作ったオリジナルのP.K.A.はホルニッセのコックピットになる設定だったから実際に運用されたら重量を軽減する必要があったと考えました。しかしP.K.A.単体で運用するようになってからは重量をあまり気にせず装備も増えていくだろうってことで、今回はF型やG型に繋がる文脈のパーツやディテールを追加していきます。肩アーマーはお約束のピンポン球を切り出して虫ピンで固定。プラ板を細切りしてグスタフのアーマーっぽいディテールにします。サイドキャノピーの横には真鍮線でグスタフ風のガードバーを追加。これはもうシュトラール定番工作ですね。エンジンの上部が寂しい感じなので飛行機キットのパーツを超音波カッターで切り出したものを付けて丸いプラパーツを接着するとフリードリッヒやグスタフに繋がる背部になります。細部が変わったのでこのタイプのP.K.A.をF型に続くE型としてエミールと名付けました。
 前回のアーカイブ本発売記念特集にも掲載された「スピアヘッド」のMAXさん製作のパーシング作例がカッコよかったでしょ。本書のクライマックスでパーシングと戦うパンサー戦車を作ろうと思ってパンサーのキットに塗るカラーを調べて用意してたんだけど、その色でこのエミールを塗ってしまいました。パンサーみたいなカッコいい色で塗れたのでもうパンサー戦車は塗らなくてもいいかな(笑)。
 飾り台にはせっかく作った40周年記念バッジを固定してみました。ピンバッジって尖った針を服などに刺して留め具で固定するものなんだけど、「留め具が万が一外れて刺さったらどうしよう!」と抵抗がある人もいると思うんですよ。こうやってマシーネンの完成品を展示する時に、飾り台に固定するのはお勧めなのでぜひやってみてちょうだい。
 日東のP.K.A.はパッケージ用モデルを松本州平センセにメチャカッチョよく作ってもらいました。P.K.A.には常にあのイメージを抱いてるんで、あのニュアンスで特撮カットにしてもらいました。カッチョいいでしょ。
 40年前のホビージャパン誌もP.K.A.の2ヵ月連続掲載だったので、次回もP.K.A.特集だよ。次回は今回チラッと載ってるAI搭載の無人型P.K.A.I.をもっと詳細に見てもらうことにします。この日東のP.K.A.を自宅模型倉庫に在庫してる人はウェーブの新キットが出る前にマイオリジナルな「エミール」にするといいですよ。最新の技術やマテリアルがあるので素晴らしいP.K.A.が完成すると思います。(横山宏)

日東 1/20スケール プラスチックキットP.K.A.H0改造

シュトラール軍 装甲戦闘服 E型 エミール

製作・文/横山宏


『SF3D』にとって大切な存在のムラタ模型

 かつて模型芸人やるならコンビ名を「ムラタ模型」にしようと言った男たちがいたそうです。
 MAX渡辺、横山宏と縁のある東京・府中の老舗模型店「ムラタ模型」が多くの模型ファンに惜しまれつつ2022年11月7日に閉店しました。
 今回は1984年発売の日東製P.K.A.の特集ですが、奇しくもMAX渡辺が最初にP.K.A.のキットを買ったのがムラタ模型で『SF3D』キットの大半を購入した店でもあるそうです。
MAX渡辺:先代のご主人がシュリンクパックされていたA.F.S.を開けてくれて初めてキットの中を見たんです。府中にアパートを借りて模型部屋にしていたので足繁く通ってて。マックスファクトリーもムラタ模型の裏にある銭湯の脇にあったんですよ。
横山宏:40年前にホビージャパンの連載開始した時からムラタ模型にはよく行ってました。工具なんかもここで買ったものが多数あります。本当に最終日に行かれてよかった! この「Ma.K. in SF3D」連載も見てくれてるのがわかって嬉しかったなあ。
MAX:連載を見ててくれてたんですか。嬉しいなあ。閉店が早まって行かれなかったのが残念です。
横山:『SF3D』連載の時に「渡辺君が横山さんの家に遊びに行きたいって言ってるよ」ってムラタ模型から聞いて、「遊びにおいで」って話になったんだよね。
MAX:ホント、全部繋がってるんですよね。

▲先代のご子息である現在の店主と記念撮影。横山氏は半額の閉店セールで飛行機のキットやデカールを大量に購入したのでした
▲店内のキットを選ぶ横山氏。思い入れのある模型店なので店中の品を全部買いたい気分だったという

[Ma.K.in SF3D]EXPLANATIONS Vol.112

シュトラール軍 装甲戦闘服 H型 P.K.A.

文/KATOOO(レインボウエッグ)

 P.K.A.は装甲戦闘服のドイツ語です。シュトラール軍の装甲戦闘服全般がP.K.A.なのですが、単にP.K.A.と呼ぶ場合はシュトラール軍初の装甲服であるH型を意味します。同軍は装甲服搭載型軽戦闘機ホルニッセのコックピットとしてH型を開発。最初のスーツなのになぜH型なのか横山先生にお聞きしたところ「ホルニッセ(HORNISSE)がHで始まるからH型にしたと思うよ」とのことでした。
 H型が地上用スーツとして単独運用されるようになりG型(グスタフ)などに進化を遂げますが、直接視認式でシンプルなフォルムのH型は屈強なスーツにはない原初的な魅力にあふれています。傭兵軍初のA.F.S.のオリジナルモデルが「ミクロマン強化スーツ」を芯にしたのに対し、P.K.A.がヘリコプター(ハセガワ製1/48ディフェンダー)をボディにする奇抜なアイデアから誕生したことも特異性に付加価値を与えていると思います。
 H型にはH0型とH1型があり、それぞれエイチ・ゼロ型、エイチ・ワンorエイチ・イチ型と呼ばれ、設定上はエンジン形式によって区別されます。腹部にエアインテイクがあるものがH0、肩アーマーが追加され、腰前方アーマーが大きいものがH1型とされます。日東『SF3D』プラキットのシリーズNo.2がH0型、No.6のホルニッセのP.K.A.はH1型でした。No.13はH0型の特徴だったエアインテイクの付いたH1型でハインリッヒ(HEINRICH)というHで始まる新名称の機体でした。これは移行期である極初期のH1型と解釈できますが、H0型とH1型を見た目で区別するのは難しく、模型を楽しむ上ではあまり重要ではない区別なのかもしれません。
 今回の特集で横山先生が細部を変更したP.K.A.をE型エミールと命名。ウェーブの新設計P.K.A.が2023年に発売されることもあり、さらなるバリエーション機の誕生に期待したいです。


シュトラール軍 装甲戦闘服 H0型 P.K.A.H0 製作/MAX渡辺

▲ノーマルに組んだP.K.A.H0の8番機。P.K.A.らしいダークイエローと明るめのオリーブドラブ迷彩で仕上げた
▲9番機はボディを延長し太モモやスネの長さを変更している
▲8番機は日東のシリーズNo.2のキットを使用しているのでヒジのシーリングのピッチが広い
▲背面のエグゾーストはキットのパーツを彫り込んで開口している
▲8番機のパイロットはウェーブ製メルジーネのものを使用
▲9番機は彫りの浅い日東製フィギュアを丹念に描き込んだ
▲腰のサイドアーマーは真鍮線を仕込んで可動できるように改造し、脚の可動制限を緩和している
▲胴体下端を延長したことで背面下部のパーツや側面の腰のアーマーの位置が独特なものとなり、印象がガラリと変わる
▲ノーマル機、改造機体の比較画像。プロポーションの印象は大幅に異なる。9番機はサイドキャノピーにガードバーを追加
▲キャノピーを閉じた状態。両機とも手首の基部を彫り込んでいる。9番機は指に表情を付け手の甲もグスタフ風に改造した
▲腹部のエアインテイクはネオジム磁石を仕込み取り外しが可能に
▲延長箇所や短縮箇所が顕著な塗装前の状態。改造機はヒザを深く曲げているので全高はほぼ同じだが、フォルムは大幅に変化する
▲腰はいったん切り離し組立後も取り外し可能になるよう加工。腰をひねることもできるようになった
▲ヒザアーマーのリングの裏側にプラ板を貼って接着を補強した
▲腰のサイドアーマー基部の裏側を彫り込み真鍮線で軸を作った

■天高く馬肥ゆる秋……季節感微妙
 令和4年も残すところあとひと月あまりとなってまいりましたね。夏が長かったのか秋があまり涼しくなかったのか? 2022年は「秋」の存在感がイマイチ薄い気がしている今日この頃ですが皆さんいかがお過ごしですか? ボクは去る11月6日「しろさとTT200」というタイムトライアルレースに出てきました。その名に冠されたとおり、一周5.7kmの自動車テストコースを35周、200kmひたすら漕ぎ続けるという修行のような忍耐のレースです。アキレス腱痛、腰痛を抱えた身にはなかなかに地獄でしたがなんとか制限時間内に完走することが叶い、連続リタイアの悪夢から解放された模型芸人でした♪ さぁ、シーズンオフ♥ シッカリカラダを整えて2023年4月の宮古島に向き合いたいと思います♪ 真面目か?

■P.K.A.、なんて新鮮♥
横山センセ:「完全新金型のP.K.A.が晴れてホビーショーで発表されたコトだし、NITTOの旧キットをやってみるのはどうでしょ?」
 ココでハタと気付いたんです!! 13年目に突入した本連載「Ma.K. in SF3D」、驚いたことに「素のP.K.A.」に取り組んだコトがなかったんですよ!! センセ、MAX、KATOOOさん、担当舟戸クン、一同ビックリですよ!! そんなわけで決まった今回のお題です。たしかホルニッセは2度ほど取り上げているのですが、NITTOのP.K.A.に向き合う内容ではなかったのでとても良い機会をいただいたなぁと思います。

■なかなかに手強いキットNITTO’s P.K.A.
 はい、正直言って組みにくいです彼ww 昨今のスナップフィットに慣れた諸氏には少しハードル高いなぁと、思います。パーツの精度は悪くないので基本工作をキチンと進めれば必ずカタチになるので臆するほどではありませんけど。
①腕の付け根のポリキャップが超キツイ
②パンツパーツがボディに挟み込みなのでボディシェルパーツを接着したら取り外せない。
③ヒザのガードパーツの接着面が小さすぎ、そのままではほぼ100%割れる。
④各関節の分割が面白過ぎる。
 ザッとこのキットのネガティブなポイントを列挙してみましたが、まあ、言うてもこんなもんです。固定ポーズモデルにするならなんてこともないとも言えますので勇気を出して組んじゃいましょう♪

■プロポーション&サイズを 現行グスタフ系に寄せる
 比較用として、また絵作り的にも欲しいので一体はほぼ素組みで用意しました。もう一体のメイン作例はチョイと弄ってますよ。現行ウェーブ1/20グスタフシリーズと並べて違和感の少ない大きさとプロポーションバランスを目指して次のような改修を施しました。
①ボディシェルを下端で3mmほどプラ板で延長。
②腰ブロックを分割独立させ、左右のヒネリが出来るように回転軸を増設
③サイドアーマーに真鍮線で可動軸を設けて左右に開けるように。
④肩の付け根をよりボディに近づけるべく肩関節軸を加工、目立たない所で脇も削り込んで寄せる。
⑤スネが長く見えて腰高感を助長していると感じたので、スネを2mm短縮し、太モモに2mmプラ板をかませて延長。脚の長さは変えてませんが印象はだいぶ変わったはず。
⑥その他、手首の取り付け基部を彫り込んだり、手指の表情をつけたりとチマチマ。キャノピーの可動は横山センセに教えてもらった工作丸パクリ♪
 彩色はサーフェィサー→シルバー→ベースグレー→からの筆塗り。P.K.A.らしいダークイエローをメインカラーにライトなオリーブドラブのツートンで。なんか悪くない雰囲気に塗れたのでご満悦♪ フィギュアは一体はメルジーネからコンバート。NITTOキットのフィギュアはノッペらなので描いちゃいました。濃ゆい面相になりますねぇ。

■『Ma.K.』ファンの諸君♥
 皆さんのお家にもきっといくつかのP.K.A.が眠っているはず。コレをキッカケにウェーブNewキットが出る前にやっちゃいましょう♪(MAX渡辺)

日東 1/20スケール プラスチックキット

シュトラール軍 装甲戦闘服 H0型 P.K.A.H0

製作・文/MAX渡辺
協力/鈴木孝


1/35ランスロット再販

『ロボットバトルV』のランスロットが再販される。コックピットハッチ開放状態にも組むことができ、林浩己氏原型によるハンナ中尉2体が付属。詳細は(http://blog.rainbow-egg.net/)まで。

ランスロット[DX版]

●発売元/レインボウエッグ●30800円、2023年1月予定●1/35、約17cm●レジンキット


“タマミー#11”レポート

 2022年11月13日に『Ma.K.』模型展示会「tamagawa meeting #11」が川崎市文化会館「てくのかわさき」で開催された。3年ぶりの開催に力作が集結。横山宏、MAX渡辺によるトークイベントも行われ、会場は大いに盛り上がった。

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© Kow Yokoyama 2022

MAX渡辺/横山宏/KATOOO(レインボウエッグ)

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