タミヤの新作「ドゥカティ スーパーレッジェーラV4」をキットレビュー! 新技術のチェーン構造も見逃すな!
2022.12.20超軽量・超特別。タミヤの新作をストレートに製作
イタリア語で「超軽量」という意味の名を冠するドゥカティの「スーパーレッジェーラV4」は、名の通りパニガーレV4をベースに徹底的な軽量化を図った公道仕様のバイクである。大部分におけるカーボンの使用とネジ1本レベルまで見直された設計により実現した乾燥重量は約159kgと250㏄バイク並。この軽さでありながらもMotoGPマシンの技術が惜しみなく投入されており、レーシングエキゾースト装着時の最高出力は234馬力、パワーウェイトレシオは0.65kg/psと驚異的な数字を叩き出す。ひとつひとつが熟練工の技で組み立てられているため、世界でわずか500台のみが限定販売された。
そんな超特別なバイクがタミヤからキット化。組みやすさと再現度の高さについてはもはや語るまでもないが、今回特に注目すべきはチェーンパーツの構造。この記事では、新技術を引っ提げて誕生したキットの素性が分かりやすいように一ノ戸晃治によるストレート製作の作例をお送りする。
今回はタミヤのニューキット、ドゥカティのスーパーレッジェーラV4です。先だって発売された「バイク模型製作指南書」で製作したCBR1000RR-Rがとても楽しかったので、今回のキットの製作も楽しみにしておりました。キットレビューということで、ほぼディテールアップは控えてでの製作ですが、期待通りの完成度でした。
■キットレビュー
エンジンのカバー類は主要なネジ頭のセンターに凹モールドが入っているのでディテールアップいらずです。バフとチタンゴールドを1:1で塗装してネジ頭はクロームシルバーの指定でしたが、より金属感の強いスパークリングシルバーで塗装しています。リアダンパーはユニットを組んだ後にエンジンに差し込むという独特の構造、こういう所がわかるのもプラモならではですね。
フレームは3色の塗り分けですが、NATOブラック→セミグロスブラック→バフとチタンゴールドを1:1、の順番で塗装するのがやりやすいかと思います。ちなみにこのバイク、実車は黒い部分が全部カーボンです。フレームも、スイングアームも、ホイールもです。カウル類のカーボン部分はデカールが付属していますが、時間と根気がある方は他の黒い部分をカーボンデカールで仕上げてみてはいかがでしょうか。タミヤのカーボンデカール(平織り・極細)が付属デカールのカーボン部分とほぼ同じです。
■チェーンがスゴイ
このキットで注目したいのがチェーンのパーツです。左右貼り合わせのパーツになっていて、従来のものと比べて立体感が格段にアップしています。スミ入れをしてやればさらに立体感が増しますよ。今後のバイクキットのチェーンはすべてこうなればいいなあ。
スイングアームは直接エンジンに取り付けられます。エンジンをフレームの一部として使用する考えはドゥカティの特徴ですね。フロントフォークは通常であればディテールアップパーツが発売される所ですが、今回は塗装色が黒であることと、フォークトップの形状が複雑で金属化するコストが大きいとのことでこのキットに関しては出さないようですね。
■塗装と仕上げ
カウルはピュアレッドで塗装してデカールを貼りますが、貼ってみると赤い部分はスケスケのクリアーです。これなら下地の赤がどんな色の赤でも貼れば3色にできるからでしょうね。
カーボンの部分ですが、エッジまではカバーされていないのでタッチアップが必要になります。合わせ目にも隙間ができますが、無理に合わせようとせずに諦めてタッチアップしたほうが早いです。今回はNATOブラックに黒を少し混ぜた塗料でタッチアップしました。クリアーコートして研ぎ出しを行い、赤い部分だけをマスキングしてカーボン部分にスポンジシートの3000を当ててツヤを落としています。マスキングのガイドはデカールをコピーしておきました。
組み立ては全くのストレスフリー、収まるべきところにバチピタで収まってくれます。カウルを止めるネジをウイングで隠すところもナイスですね。
このキットならもう一個、時間をかけてフルカーボン仕様で作ってみてもいいなあ。
タミヤ 1/12スケール プラスチックキット
ドゥカティ スーパーレッジェーラV4
製作・文/一ノ戸晃治
1/12 ドゥカティ スーパーレッジェーラV4
●発売元/タミヤ●4620円、発売中●1/12、約17.6cm●プラキット
一ノ戸晃治(イチノへコウジ)
月刊ホビージャパンで長年バイク・カーモデルを担当。レースシーンの取材も行う。実直で破綻のない安定した仕上げがウリである。