【水星の魔女 PROLOGUE】「ガンダム・ルブリス 量産試作モデル」を製作! ガンビットと大型ランチャーをフルスクラッチ
2022.11.20XGF-01 ガンダム・ルブリス 量産試作モデル【BANDAI SPIRITS 1/144】 月刊ホビージャパン2022年12月号(10月25日発売)
高精度工作でルブリス量産試作モデルを再現!
前日譚「PROLOGUE」に登場した「ガンダム・ルブリス量産試作モデル」。ミリタリーチックで重厚感あるルックスや、ドミニコス隊を相手に善戦した活躍ぶりなどが印象に残る機体だ。本機の1/144作例を田中康貴が製作。得意とする高い精度のスクラッチビルドで、大型かつ複雑なギミックを持つ独自装備を再現している。キット化が待ちきれない熱心なファン諸君は、ぜひ本記事を参考に製作にチャレンジしていただきたい。
■はじめに
待望の新作である『機動戦士ガンダム 水星の魔女』作例にさっそく関わることができて嬉しく思います。本編開始前での製作ですが、「PROLOGUE」を観てこれは絶対面白いに違いない! と感じましたし、モチベーションアップにもなりました。今回はガンダムルブリス量産試作モデルを担当させていただきました。機体の格好よさに加え、ガンビット関係も頑張って再現することを目標にHGガンダムルブリスに手を加えています。
■本体の製作
量産型はブレードアンテナがないのでこれをカット、隙間をプラ板で埋めています。また設定画では後頭部からコメカミ部分にかけて段モールドが入っているのでプラ板を貼ってラインを繋ぎました。さらに側面△モールド後ろのパネルライン部分も段があるようなので、0.3mmのプラ板で再現。その他各部にある肉抜き穴をエポパテやプラ板で埋めています。太モモ外装の合わせ目消しは、内部フレームを上下分割して後ハメできるようにしました。またフレームは余分な部分を切って空間を設け、中に錘を詰め込んで背中とのバランスが取れるようにしています。
■バックパック、ランチャーの製作
バックパック部分はプラ板の箱組みで、ランチャー接続アームの可動部に(途中画像とは異なりますが)関節技ボールジョイントミニを使用しています。ランチャーは中央に向かってわずかに膨らんでいく形状で、緩やかな曲面で構成されている印象を受けました。今回はハッチの開閉と内部にガンビットを収納するスペースを設ける必要があるので肉厚確保のため3mm厚に貼り合わせたプラ板を箱組みしたものを削り込んで面を出す方法を採りました。具体的にはまず本体とフタを別々に作ってから双方のきれいな分割ラインが出るよう擦り合わせを行い、その後全パーツを瞬間接着剤で仮止めしてからまとめて削り込んで表面を整えています。なおギミックに関しては可動部を組み込む空間が設けられなかったため、展開状態のパーツに差し替えて再現という方法にいたしました。底面にはガンビット固定用のマグネットを埋め込んでいます。
■武器類の製作
20基もあるガンビットですが、本体とツメをジャンクパーツと市販パーツの加工で原型を製作、ゴム型も7つ用意してひたすらレジンで複製しています。とにかく大量なうえ、特にツメが欠けや気泡だらけでなかなかいいものが出来ず、諦めて瞬間接着パテで埋めつつ使っていたら1基作るのに約1時間かかり相当大変でした(複製品なのに全部個性的な形になってしまい、まだまだ勉強が必要だと感じます)。中央のセンサーは100円ショップで見つけたジュエルシールを使用。こちらも中に固定用のマグネットを入れており、またこれを利用して射出状態を再現するエフェクトパーツも用意しました。ビームライフルはプラ板の箱組みメインで丸形状に市販パーツ、グリップはキットから流用しています。
■塗装
設定画を参考に調色しています。
本体青=シャロウオーシャンブルー+機体内部色ブルー+クリアーグリーン+クールホワイト+ウイノーブラック
本体白=ライトブルー+クリアーグリーン+クールホワイト
胸部黄=黄橙色+イエロー
フレーム等=サーフェイサー1500(ブラック+ホワイト)
額・胸部プレート=クリアーブラック
エナメルでスミ入れ後、半光沢に調整したクリアーで仕上げています。あとは頭部センサー類にキット付属のシールを、肩とライフルにラピーを貼って完成させました。
BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット “ハイグレード”ガンダムルブリス 使用
XGF-01 ガンダム・ルブリス 量産試作モデル
製作・文/田中康貴
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』設定解説
構成・文/河合宏之
GUNDフォーマットとガンダム
GUNDとは、宇宙環境で生じる身体機能障害の補助を目的として開発された身体機能拡張技術。新元素パーメットを利用する。
GUNDの研究を手掛けるヴァナディース機関は、オックス・アース社からの資金提供を引き換えに、GUNDをモビルスーツ開発に軍事転用した「GUNDフォーマット」の開発に着手。GUNDフォーマットを搭載したモビルスーツ「GUND-ARM」、通称ガンダムを作り上げた。
GUNDフォーマットを搭載したガンダムは、パイロットへ多大な負荷をかけることが、社会的に生命倫理問題として懸念されている。負荷がかかるのは事実としても、この問題定義自体には不穏な空気が漂っている。モビルスーツ開発評議会はガンダムの存在を危険視しており、その開発を凍結することになる。
革新的な技術進歩をもたらす新元素「パーメット」
太陽系内に広く存在する鉱物から発見された新元素。個々のパーメット間で情報を共有する性質があり、パーメットを素材や推進剤などに混合させて制御することによって、新たな技術が開発される。また、パーメットを人体に流入させることによって身体機能拡張を行う技術は、宇宙に進出する際の基盤として考えられている。
ガンダムの機能
ガンダムは、GUNDフォーマットを搭載することによって、優れた戦闘能力を獲得したモビルスーツである。GUNDフォーマットがもたらした象徴的な機能としては、次世代群体遠隔操作兵器システム「ガンビット」が挙げられる。「ビットステイヴ」と呼ばれるスラスターやビーム兵器を搭載した小型端末を遠隔操作し、多彩な立体攻防を行う。
ガンビット
シェルユニット
ヴァナディース機関とは?
GUNDの研究を行っている組織。GUNDの宇宙環境における身体の補助を目的とした研究を行っていたが、モビルスーツ製造企業のオックスアース社に買収され、GUND技術の軍事転用を行うことになる。
カルド・ナボ
エアリアルはガンダムではない?
エアリアルは戦闘時にパーメット流入値の基準を超えるなど、GUNDフォーマットの特徴を有しているが、開発元のシン・セーは、あくまで水星採掘用のドローン技術を使用したモビルスーツだと主張する。実際のところ、GUNDフォーマットの特徴であるデータストームは検出されておらず、ガンダムとは断定できない。ベネリットグループ総裁デリングは直ちにエアリアルの廃棄処分を決定するが、ヴィム・ジェタークの進言によって学園での実証実験が継続されることになる。
Ⓒ創通・サンライズ・MBS
田中康貴(タナカヤスタカ)/河合宏之
月刊ホビージャパンを代表するスクラッチモデラーのひとり。プラ板を使用したパーツ製作を得意とし、細かな可動ギミックにも秀でている。