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『バイファム』序盤の主役!1/144ディルファムを設定画を参考に徹底改修!【銀河漂流バイファム】

2022.11.17

サンライズ・メカニック列伝 第46回 FAM-RV-L7 ディルファム【BANDAI SPIRITS 1/144】 月刊ホビージャパン2022年12月号(10月25日発売)

『バイファム』序盤の主役!1/144ディルファムを設定画を参考に徹底改修!【銀河漂流バイファム】

 サンライズ作品に登場する数多のメカを模型作例で再現し、改めてその魅力を探る連載企画「サンライズ・メカニック列伝」。今回はHGキット発売と旧キット8種の再販が発表され、にわかに盛り上がりを見せる『銀河漂流バイファム』から、ラウンド・バーニアン(RV)「ディルファム」が登場。2023年1月の再販に先んじて、1/144作例をお届けしよう!
 ディルファムは主に局所防衛に用いられる、地上専用のRVである。開発のベースとなった地上用ネオファムと共通の機体構造を有し、性能はほぼ同等。劇中で主役の少年少女たちが初めて搭乗するRVであり、ベルウィック星が舞台となる第4話から第11話においては事実上の主役メカとして、戦闘シーン以外でも印象に残る姿を見せている。
 作例は田仲正樹が私物を3セット投入して製作。設定を吟味してキットのフォルムを1から見直し、多大な労力を投入して機体各部のボリュームを調整。同時に可動機構を刷新し、全身にわたりシャープ化を行った徹底工作作例として完成させている。

製作途中状態

 発売当時から人気の高い1/144ディルファムだが、設定画とは雰囲気が異なるまとめ方のフォルムや、可動範囲の意外な狭さやモールドの甘さ等、現在の目で見れば気になる点も多い。作例は月刊ホビージャパン1984年4月号掲載の佐藤直樹氏による作例も参考にフォルムを見直し、各部のボリュームを徹底的に調整。さらに、より自然な立ちポーズや射撃姿勢を再現できるように可動部を刷新したもの。製作途中の画像からは、各パーツの基本形状をなるべく活かしながら、膨大な手間暇をかけてキットとは異なるバランスを模索し、調整を続けたことが伝わってくることだろう

頭部

 前から見ると台形になっている顔を長方形になるように修正。後頭部はエポパテで形状変更し、頭部全体を直方体に近付けた。高感度TVアイには市販のレンズパーツをはめこみ、アンテナは鉄製の縫い針に交換してシャープ化した

腕部

 肩は永野護氏による構造設定を吟味し、「肩関節ブロックに肩装甲が被さった構造」と判断、HG局地型ガンダムの肩周辺をゲージに自作。肩装甲は独立可動式とし、上腕をロールさせた際の干渉を避けられるようにした。ヒジ関節と手首関節はHG(UC)陸戦型ジム系のものに交換。上腕と前腕は前後左右に幅詰めした後に上下に延長、前腕は手首の軸隠しも追加して細長い形状へ変更しているが、「似た形のものを探して、ディテールを追加したほうが早い」とのこと。拳は市販の丸指ハンドを加工したものに交換した。シールドはボールジョイント接続にし、裏にリブモールドを追加。劇中で形状が確認できる接続部をそれらしく再現した

脚部

 太モモは左右にクサビ形に幅増ししてボリュームアップ。ヒザと足首の関節はHG(UC)陸戦型ジム系のものに交換し、後ハメ化しつつ可動範囲を拡大。ヒザ関節側面のディテールは市販のマイナスモールドで再現。スネは前後左右に1.5mmずつ幅詰めし細長い形に変更、装甲のフチのプラの厚みが見えている箇所を削り込み。靴部は左右で2.5mm、前後に3mm幅詰めして小型化。末端が大きいキットのフォルムを設定画のイメージへと戻している

胴体

 設定画では腹部と腰部が一体化しているように見えるが、劇中の腰をひねった作画や「ネオファムと共通した機体構造」という設定等を勘案し、腰を分割して可動部を追加。首、肩、腰の各関節にはHG(UC)ガンダム(No.191)のものを移植しボールジョイント化。腹部ハッチは真鍮線とプラ板で製作したヒンジや、小型の可動軸を仕込んで開閉可能に。大きめのポッドとその周辺は1/144ネオファムのものに交換。背部ハッチはキットのヒンジが目立つため開閉ギミックをオミットし、ポッドを入れる際は取り外す方式とした。腰部は太モモを動かした際の干渉を最小限にするためのアレンジを加えつつボリュームアップ。サイドアーマーは設定画に描かれた面構成に変更。股関節はHGザクF2とHGBD:Rコアガンダムのものを組み合わせ、可動範囲を拡大させている

武装類

 専用ビームガンは銃身をテーパー付きプラ棒、グリップ周辺をHGジェガンのライフルのものにそれぞれ交換してシャープ化。フォアグリップは小型ポリキャップを仕込み保持力を高めた。第11話で巨大な似顔絵を描いた筆の穂は、短冊状に切った化学繊維製の眼鏡拭きを手芸用のポリエチレンワイヤーで縛り、瞬間接着剤を染み込ませて固定したもの。柄は設定画のメモによれば鉄骨製だが、田仲氏曰く「絵筆や、ジミーのモップになるべく似せたかった」とのことでパイプ状にしている。ペンキ缶はHGガンタンク初期型の余剰部品をそれらしく加工。内部にネオジム磁石を入れ、手に仕込んだ磁石で抱えさせている

■下駄を履いて作ろう
 HGバイファム発売と旧キット再販のニュースを聞いて、サンライズメカファンのみなさんは慌てて133個ずつ注文してしまったり、その辺にあったラバーカップを手に取ったりしておられることと思います。
 本コーナーでは此度再販されるキットを全種製作予定。今回は1/144ディルファムです。全体のフォルムがよかったという記憶がありましたが、現在の目で見ると、腕と脚にボリュームを持たせる一方で腰を小さくして強引にバランスをとっている感もあり、設定画とはやや異なる印象。銃を自然に構えさせることが難しく、エッジやモールドも他のRVに比べて甘いようです。
 そこで、まずは腕部と脚部を幅詰めして細長く加工。同時にHGガンプラの可動部を移植します。肩は他のRVと同様、肩ブロック本体に装甲が被さっていると解釈しました。頭部、胸部、腰装甲の形状を設定画に近付け、腰はプラ板とエポパテで大型化。「基本構造がネオファムと同じ」という設定と、本編の腰をひねった作画を尊重し、腹と腰を分割して腰関節を新造しています。コックピットハッチ開閉とポッド着脱も再現しましたが、腰の関節を入れるスペースを確保するのが難しくなったり、ポッドの大きさを揃えたくてネオファムから移植したら、ひと回り小さいぶん前後にも短いので胴体の奥まったところに配置されてしまったりと、特にいいことはなかった気もするので無理にやらなくていいと思います(個人的にポッド収納部の作りこみは1/100作例で行うべきと考えています)。『バイファム』ファンの誰もが覚えている第11話の筆とペンキ缶は、『ザブングル』第44話でギャリアたちが使っている刷毛と缶とは違い、その辺にあった適当なものを転用している設定なので、適当に作りました。

■トラックの幌で塗ろう
 講談社刊「テレビマガジンアニメスペシャル4 銀河漂流バイファム」、みのり書房刊「バイファム・パーフェクト・メモリー」と、キットのカラー指定を参考に塗装。資料ごとに色味が違っているので、最終的には本放送当時にブラウン管TVで見ていた画面を思い出しながら調色しています。
本体緑=キアライエロー+純色グリーンに、クールホワイト、純色バイオレット、コバルトブルー、ビビッドオレンジ、ハーマンレッドを各少量
上腕、腹部等=自作の青紫系ライトグレー
関節=自作の青紫系グレー
 頭部カメラは市販のレンズパーツにクリアーブルー+クリアーグリーンを上吹き。首元の黄色はモデナイエロー1+ビビッドオレンジにクールホワイト少量。ビームガンは自作の青系グレーと自作のニュートラルグレーで塗り分け。筆とペンキ缶は適当に混ぜたグレー。
 機体番号(付属の水転写デカールは3、5、7の3種)は第8話のロディ搭乗機が3、バーツ搭乗機が5です。他の回では番号が描かれていないカットがほとんどなので、「9話のシャロンは何番機に乗ったのかな?」等と予想しながらマーキングを楽しんでください。
 次回は分離する人型メカの作例でお会いしましょう。

BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット

FAM-RV-L7 ラウンド・バーニアン ディルファム

製作・文/田仲正樹

©サンライズ

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田仲正樹(タナカマサキ)

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