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【モスピーダ外伝】 02 The Sniper ─スナイパー─ 【GENESIS BREAKER】

2022.10.11

機甲創世記モスピーダ外伝 ジェネシスブレイカー●柿沼秀樹、マーシーラビット 月刊ホビージャパン2022年11月号(9月24日発売)

【モスピーダ外伝】 02 The Sniper ─スナイパー─ 【GENESIS BREAKER】

 機甲創世記モスピーダ公式外伝第2話!

 TV放映より来年で40周年を迎える『機甲創世記モスピーダ』。本作のメインクリエイターである荒牧伸志、柿沼秀樹両氏を迎えた公式外伝小説『GENESIS BREAKER』の第2話。2083年1月、インビットから地球を奪還するため、人類史上最大規模の地球降下作戦「ラージスケールオペレーション2083」が開始された。インビットの反撃で大打撃を受けた艦隊だったが、なんとか特務隊を収納したカプセルを地球に向け射出する。地球に降り立った特務隊のゲイトは、地球全土を占拠するインビットを制圧し、北米大陸にある敵の拠点とされる“レフレックス・ポイント”を目指す。

STAFF

原作/タツノコプロ
企画協力/千値練
キャラクター原案/湖川友謙
小説・ストーリー構成・設定/柿沼秀樹(DARTS)
メカニカルデザイン・設定/荒牧伸志
メカニカルデザイン協力・設計/前野圭一郎(T-REX)
イラストレーション/マーシーラビット
スペシャルサンクス/戸張雄太(T.E.S.T)

『機甲創世記モスピーダ』のまとめ動画が観られる!
QRコードでCHECK!

QRコード モスピーダ

https://youtu.be/vmBSPvN5kCI

02
 The Sniper ─スナイパー─

 

 目的地は集合地点と決めた人類軍の補給基地だ。インビットのパトロールとの接触を避け、道程の半分は来たはずだ。飲料水の確保が急務であった。数分前に放ったドローンが周囲3マイルの地形状況を送って来る。勾配のある森を下ったところに集落がある。それは小さな川の畔に位置していた。
 パワーユニットを停止すると愛車のモスピーダ・イントルーダーを木の枝でカモフラージュし、徒歩で集落へと続く獣道を下る。
 対物センサーを過敏モードに設定していたせいで、森に生息する小動物、種別不明の虫たちの影を捉えたが、その他の脅威は感知されない。暫く進むと視界は開け、集落の全貌が見渡せた。
 
 
 
 地球上の近代文明が崩壊して30年程が経過しているとはいえ、木片と石の壁で囲われた村には、崩れかけた石造りの家が十数戸と、風車、錆びた煙突以外のなにものも見当たらない。その光景は、中世の様相を呈しており、ゲイトは衝撃を受けた。煙突から登る白い煙には、食料を煮炊きする生活の匂いがした。
 地球訛りのイントネーションも記憶バンクから引き出して用意した。奪還作戦こそ至上命題であるため、地球に残存した者たちは、作戦行動に必要とされるものを提供する義務があり、協力を要請する際は、必ず高圧的な命令口調で接すべし、とする地球人との“接触マニュアル”も暗記している。しかし水を確保するには銃は必要ないだろう、などと思いを巡らせ歩を進めるうちに、枯れ枝を踏んだ。想定外の乾いた音がした。ゲイトは反射的に自分の足元に目線を落とした、その刹那。頭部に激しい衝撃を受けると、彼女は地面に転がった。ヴァイザーには“Shooting!銃撃”の文字が浮かび、けたたましくアラートが鳴った。
 メットのこめかみに直撃を受けたのだ。初速は音速を超えるライフル弾だ。入射角度があと10度ほど深かったのならメットを貫通していたかも知れない。ヴァイザーの視界に弾道の音跡が示される。それは前方10時方向・距離350ヤードの岩陰からの正確無比の狙撃だった。混濁する意識が正常化するには十数秒を要したが、メットのレコーダーは敵の挙動を正確に捉えていた。
 敵は陽の当たる岩を遮蔽物としているため体温検知が難しかったが、ゲイトはブラスターを引き抜くと、敵が潜んでいる真上の木の枝を薙ぎ払った。火花と共に太い枝が頭上に落下するとスナイパーはたまらず悲鳴と共に走り出した。
 この時、勝敗は決した。動いている限り敵の正確な位置とベクトルは把握できる。ゲイトは逃走する敵を、円錐軌道を描いて追跡し真横から黒豹のように飛び掛かると、首根っこを押さえ地面に押し付け、その後頭部にブラスターの銃口を向けた。しかし引き金を6割程まで引き絞った段階で動きを止めた。なぜなら敵は想定の半分の大きさもなく、首は小枝のように細かったからだ。
 
 
 

|  残された村 

 ゲイトは村の中央の井戸の前に立つと、正面に並んだ数名の村人たちに銃口を向けていた。


「軍人に対しては何時もこんな歓迎なのか?」


 と恫喝じみた低い声でゲイトが問う。
 髭に顔を占領された一番年を食った村長がそれに答える。


「違う…違うんだ。“奴ら”が来るんで警戒していたのだ。まさか火星の兵隊さんとは知らなかったのだ」


 銃口を向けられた順に、村人たちは応えて行った。続いて村長の隣の若者が口を開く。


「村の正面の森から来るのは“盗賊団”どもしか居ない。だからシンディーは撃ったんだ」


 答えたのはシンディーの兄のロバートだ。ゲイトは次にそのシンディーなる少女に銃口を向けた。


「だって…その赤っぽい軍服は…正規軍のじゃないでしょ」


 手を上げたままそう応えた、その12~13歳と見える少女が、スナイパーの正体であった。
 ようやくゲイトにも、村人達の置かれた状況の入り口ぐらいは理解できた。そこで改めて自身のメットの弾痕を確認した。見事に急所に必中している。


「正確な射撃だ。何処で習った?」との質問に。

「習ったんじゃない。シンディーは突進してくる灰色狼でも仕留められる」


 ロバートに言われてから注視すると、少女の胸には狼の牙と思しきアクセサリーが七つか八つ、ぶら下がっていた。敵を倒した勲章だろう。続いてライフルの出どころも尋ねた。少女の身長ほどもある長銃身ライフルは、ガスオペレーション式、軍仕様の狙撃銃で、とても旧式だが粗悪品では無かったからだ。
 武器の類は“西の谷”と呼ばれる“第一次降下作戦”の激戦地へ足を運べば手に入る。墜落した物資輸送用シャトルが幾つも転がっているからだと言う。村は日々の生活を送っているだけならインビットには襲われない。村人たちの脅威はむしろ無法化した軍人たち、つまりは“第一次降下隊”の生き残りの元軍人たちで、周期的に村を強襲し、必要なものをすべて奪って行くのだと言う。ひととおりの経緯を聞いたゲイトが、目線を夕日の射す小高い丘に移すと、そこには十数の墓標が見て取れた。既に村人の半数が命を落とし、今度襲撃を受けたら恐らく持ちこたえられない。と村長は付け加えた。以前の村も同じ理由で追われ、そしてここに定住したのだ、と聞くに至って、ゲイトはようやく彼らに向けていた銃を下した。
 そんなゲイトに村長は。


「水なら好きなだけ持って行くといい。そしてあんたも直ぐに立ち去った方が身のためじゃ」


 と井戸を指さしたのだが、しかしゲイトは井戸には見向かずに言い放った。「村人を全員集めろ」
 
 
 

|  スモールオペレーション 

 村人は老若男女、合わせて40名程だった。しかし戦えるであろう若者は半数も居ない。ライフルの類が3、アサルトライフル1、狩猟用ショットガン2、そして軍用迫撃砲と砲弾6。起爆するか否か不明の錆びついたグレネードが十数発。それが武器の全てだった。熊や狼の襲撃なら事足りるかも知れないが、襲って来る“盗賊団”は可変装甲バイクとブラスターで武装していると言う。村長の言うとおり、襲われたらひとたまりもないだろう。しかし村人たちを前に、井戸の縁に立ったゲイトは言う。


「水を貰う代わりに加担するわけではない。私の兄も“第一次降下作戦”で戦死した。そんな命がけの作戦に参加したはずが盗賊に成り果てた軍人どもは捨て置けない。おそらく奴らは正規の軍人からも略奪を繰り返している。従って」そこまで大声で告げると最後に呟くように付け加えた。「取り除く」


モスピーダ外伝-2 地図

 ゲイトはドローンに、村周囲の情報を集めさせると、地面に地図を書かせた。空撮で得た情報をトーチビームで砂に焼き付けるのだ。ゲイトは村人たちから聞き及んだ情報に従って対策を提案する。


「この際、冬に備えて蓄えた薪は残らず3フィートくらいに切って、村の正面に、8フィート間隔で突き立てる。森を出たところにだ。バイクの前後輪の軸距離に対してこれが一番乗り越えにくい障害となる。ただし中央に走り抜けられる隙間を残し、それをだんだん狭くして、奴らを村正面のここに誘導する」


 枝を使っての解説だ。


「スマートボールのように丘を下って森を抜けて来た奴らを、真正面の一点に誘導するのだ。銃器担当者たちはそこにのみ照準を合わせ侵入してくる奴から狙い撃て」


 そして右手でホルスターからブラスターを引き抜き、肩には持つのがやっとのバイク装着用重火器を担ぐと。


「私は屋根の上からイレギュラーな動きをする奴らを仕留めて行く。村の後方を見て回ったが、小川と岩だらけの枯れ場だからバイクでの侵入は不可能だ。従って前方のみ防備する。奴らも一撃で勝負に撃ってくるはずだ。明るいうちにカタを付けて夕食時には勝鬨を上げられる。以上だ」


 決意の籠った物言いにロバートが一歩進んで言った。


「なんだか…あんたのお陰で戦えそうな…そんな気がしてきたよ」


 しかしゲイトはグラブをはめたままの利き腕でその頬を軽く叩くと、彼の眼をのぞき込んで。


「勝たないと全滅なんだぞ。部下だったらぶっ飛ばしてるところだ。お前が指揮を執って障害物を構築しろ。」 と命じ、続いてシンディーともう一人をライフルマンに指名して村の前方を見渡せる木に陣取らせ、警戒させた。その他にも夜を徹して石を積み上げ、小さな簡易的隠蔽壕を幾つか作らせた。気づくと空は白んでいた。
 
 
 

|  決戦 

 上空1600フィートまで上昇したドローンが敵の動きを、ゲイトのヴァイザーに伝えて来た。武装バイク集団は、ほぼ一塊となって村に迫って来るのが見て取れた。全部で16騎だ。予測通りの真正面からの襲撃だ。なだらかなスロープをバイクで走り降りてくる敵の一人一人にズームする。鉄板で追加した装甲、サイケデリックなペイントの施されたメット。威嚇のつもりか滑稽なドクロマークも見て取れた。そして奇声を上げて突っ込んでくるその様子は、野生化した人間そのものだ。ゲイトは、敵が排除すべき存在であるとの確証を得ると、昨夜取り決めた軍用サインを皆に送った。
 持ち場について火器の安全装置を解除せよ、のサインだ。そして自身も石造りの家の屋根に腹這いとなって、ブラスターを連射モードにセットすると息を懲らした。

モスピーダ外伝-2 

 戦いは短時間で終了する。そう確信したゲイトの予想どおり、最接近した数台は見事に村、正面でシンディーたちの銃撃に倒れたが、そこは奴らも元軍人だ。後続の一群は停車すると隊列を組み直し、遠距離からブラスターの連射攻撃に切り替えて来た。こちらのマズルファイアーの位置、目掛けて撃ち込んできたのだ。降り注ぐ光弾に土や木や石の破片が飛散り、村人の何人かが弾けて飛んだ。敵は手ごたえありと見るや、そのまま勢いに任せてふたたび奇声を上げて突っ込んで来る。しかしゲイトは敵が射程入ると躊躇なくブラスターの連射で瞬く間に3台を始末した。ようやく高性能火器の存在に気付いた残敵は、あわてて撤退を開始したが、ゲイトは立ち上がると敗走するその背中に照準し、そして無慈悲に引き金を引いた。



 戦いは終わったかに思えた。有視界の敵影は排除されたからだ。しかしその時、村の裏手で爆発音が鳴り響くと、飛来した光の弾が、ゲイトのすぐそばで炸裂し、ゲイトは石榑と共に飛ばされて地面にたたきつけられた。
 その場の全員が振り返る。
 青ざめた村人の一人が必死の形相で走っては来たものの、背後からのビームに貫かれて絶命した。ゲイトの耳に届いた爆音は、直ちに記憶バンクと照合されると、第一次降下隊仕様の装甲可変バイクのエグゾーストだと結論づけられた。二台のバイクはジャンプとホバリングを繰り返し、ゲイトが走破不可能と断じた枯れ場を、巧みに超えて村に侵入して来たのだった。フロントカウルにはバイク搭載のロケットランチャーが見て取れた。あれに暴れられたら村は全滅だ。ゲイトは起き上がると応射の姿勢を取ったものの、再び膝から崩れ落ちた。地面にたたきつけられた衝撃は短時間では回復に至らなかったのだ。
 敵を甘く見た代償だった。
 しかし窮地を救ったものは思わぬ伏兵の存在だった。2両の装甲バイクは、いずれも跳ね上がった放物線の最高点で、思わぬ方向から飛来した紫色の眩しい閃光の直撃を受けると、ライダーもろとも、粉々に吹き飛んだのだ。そして火の玉となったパワーユニットが隕石のように飛んできて、ゲイトの目の前に落下した。



 村側面の生け垣を突き破って現われたのは、傾きかけた日差しを青くはじくライドアーマーだった。ウイザーには空を映している。村人たちの衆目を集めたまま、バイクから降りるとゆっくり進んで、ゲイトへと向かい、挨拶とも敬礼とも取れる仕草を見せた。メットを被ったままのスピーカーの抑揚のない声が言う。
「通り過ぎようかとも思ったが、あまりに不甲斐ないので割り込んじまった。もう一人、村を俯瞰できる位置にスナイパーを配置するべきだったな。しかしまあ、半日でシロウトを組織化したのはたいしたもんだ」
 と、言いつつメットを取ると周囲を見回した。
 ゲイトよりは痩身の女である。
「エブリ…」と、ようやく立ち上がったゲイトの声を受けると伏兵は続けた。


「感謝ならいらないよ。作戦終了まであんたの指揮下で働くと言う契約で“出獄”を許された身だからな。こんなところで死なれちゃ困るんだよ。で、ほかの連中は?」


 体の砂を払いながら立ち上がったゲイトが応える。


「レコーダーにも正確なログが残っていない。恐らく切り離された直後に空中で四散した。そして予定降下地点から数百マイル流された。暫定的集合地点の第17補給基地まで行くしかない」


 との報告を聞くと、やれやれと肩をすくめてから。


「その補給基地が残ってればいいけどな。まあいいさ、で…夕食くらいは振舞ってもらえるのかな」


|  出発 

丘の上の墓標の数は増えてしまったが、村は辛うじて守られた。太陽がまだ登らないと言うのに水の補給を済ませたゲイトとエブリは、バイクに跨るとそのパワーユニットを始動させた。
 村から伸びる一本道は“西の谷”に向かっている。そこはインビットの支配領域だ、と村長の声に対し。


「奴らと接触するのが、我々の任務なんだ」


 とゲイトが言い放つと、見送りに集まった村人たちは一様に仰天した。


「エブリ…先導しろ」と、ゲイトはエブリを先に行かせた。


 すると走りだそうとするゲイトにシンディーが駆け寄って、墓標に手向けたと同じ紫色のスターチスの花束を持ってきた。そして言葉少なに。


「お兄さんに」と告げた。


 確かにゲイトは“兄は戦死した”と言った。しかし。


「死んだという報告は受けたが…まだ信じちゃいないんだよ」


 とゲイトがシンディーの耳元で漏らすと、シンディーはその花束を自分の胸に引き戻した。
 回転数が上がり切り、爆音が村に響く。それに搔き消されない大声で、ゲイトは振り向かないままロバートに言った。


「ロバート!やり方は覚えたな、次はお前が村を守るんだ」


 言い終わらぬうちにゲイトは前輪を浮かせてダッシュすると、既に遠ざかったエブリのバイクを、追撃する速さで走り出し、そして村を後にした。



つづく


CHARACTERS
 登場人物

#2 エブリ・ジェットソン

モスピーダ外伝-2 登場人物 エヴリ

インビットとのコンタクトに不可欠なエンジニア

 元は精神医療機器を専門とする臨床工学技士だったが、木星コロニーのWoodpeckerというテロ集団に加わる。階級制を固定化しようとする新政権に反旗を翻した組織で、その志に共感。当初は通信・破壊工作などのテクニカルアドバイザーとして間接的に活動していたが、やがて実動員となる。衛星ガニメデに設置されたリアクターの破壊を試みて逮捕。政府機関施設を多数爆破した前歴から、冷凍禁固300年の実刑を受けるが、情報局・特務部隊に随伴する契約で解放。インビットとのコンタクトにおけるテクニカル面でのアドバイザーとなる。Magnetoencephalography(脳磁計)における特許も持っている秀才エンジニア。格闘技・剣術にも秀でる。「磁気共鳴画像の美術」「格闘脳の成立」などの著書あり。禁固刑20年目に解凍・解放されたため出生から46年経っているが実年齢は26歳。

モスピーダ外伝-2 ライドアーマーTYPHOON
モスピーダ外伝-2 ライドアーマー タイフーン

【 GENESIS BREAKER 】

01  侵入者 ─イントルーダー─

02 The Sniper ─スナイパー─ ←いまココ

03 デスポイント ─Dess point─ new

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