HOME記事スケールモデル出航65周年! 「第二次南極観測船 宗谷」 世界観引き立つ氷海ベースの作り方も教えます!

出航65周年! 「第二次南極観測船 宗谷」 世界観引き立つ氷海ベースの作り方も教えます!

2022.10.18

南極観測船 宗谷“第二次南極観測隊 スーパーディテール”【ハセガワ 1/350】 月刊ホビージャパン2022年11月号(9月24日発売)

スーパーディテール仕様を氷海ベースで魅せる

 第2次南極観測隊出航から2022年で65年。その65周年を記念してハセガワより、ディテールアップ用エッチングパーツがセットになった第二次南極観測船 宗谷が限定特別仕様でリリースされた。第2次南極観測船 宗谷といえば、あの大ヒット映画『南極物語』でタロとジロを含む犬7頭と越冬隊を昭和基地に送り込んだ船としても有名だ。キットは、第二次改装後の手摺り、梯子、飛行甲板周囲の救助網、レーダー、ベル47G用のトラスとローター、DHC-2ビーバー用のプロペラ、乗員などがエッチングパーツで用意されたスーパーディテール仕様。作例はそのエッチングパーツをフル活用し、氷海から脱出する様を切り取ったビネットとして仕上げた。

▲キットは海上保安庁所属 南極観測船 宗谷「PL107」第2次南極観測時(1957年9月30日改装工事完了 1957年10月21日出航)の姿を忠実に再現。作例は氷海をイメージしたベースを製作し、氷の中にビセット(氷結域で閉じ込められた)された宗谷の姿を表現している。ベースサイズは横40cm×縦22.5cm×高さ11cmほどとなっている
▲氷海をイメージしたベースは、透明プラ板で箱を組み、内側にクリアーブルーを吹いて海中に。天面を切り取って船体を喫水線まで沈め航行中の状態を再現。スクリューのキャビテーションは綿をほぐして作り、海面航走波はシリコーンシーラントにクリアーブルーで色付けしたもので流れを作り、白波は筆で描いている
▲エッチングパーツで用意された隊員、犬、猫は船上に。ペンギンはベースの氷上に配置した
▲海中の底面にアルミホイルを敷き、ディープクリアーブルーを吹き付け海面の深度を表現した

▲木甲板はタンにエナメル塗料で木目を描き、エナメル溶剤を含ませた筆でブレンディングして木材っぽく表現。随所に配置された隊員、犬、猫が確認できるだろうか

▲ベースの氷山はスタイロフォームでおおまかに形作り、石膏や紙粘土で整形。海面の密群氷は石膏を固めて砕いたものを木工用ボンドを混ぜた石膏で海面に固定。仕上げに重曹をふりかけてそれらしく表現している

▲レーダーベル47Gの1機は真鍮線でヘリポートから飛び立った様子を再現
▲︎宗谷は用意されたエッチングパーツをすべて活用。張り線はすべて伸ばしランナー。船体はエナメル塗料でウェザリングを施し、リアルな使用感を演出している

 南極観測船宗谷。今回は「第2次観測隊」仕様です。船体の加工、後に増築されるヘリ甲板と繋ぐステーを切り取り整形します。まずビギナーのみなさんはここが難関ですが、ニッパーで大まかに切って丁寧にヤスリで削ればちゃんとできます。それとハセガワさんのキットは穴あけをしておかなければならない箇所が数多くありますので、忘れないよう事前に加工しておきましょう。組み付けたあとだと穴がどこだか分からなくなります。
 この宗谷はブリッジがすべてクリアーパーツで成型されており、窓をマスキングして塗ることになります。これもなかなかハードルが高いのですが、地道にやれば不可能ではありません。窓にマスキングゾルを塗るのですが、爪楊枝で小窓にたらして窓の形に伸ばして覆います。裏側は少し大雑把で良く、なんなら横1列が繋がっててもOK。ゾルが乾いたら光止めの黒をスプレーし、光に透かして光止めがちゃんとできているか確認、後にグレーサフ→白を吹いてマスクを剥がせば窓の塗り分けの基礎は完了です。窓枠のデカールが付属しますので、これで縁取りができます。はみ出しや抜けがあれば適時筆で修正します。その他組み立て・塗装は指示のまま進め、色指定もそのままです。木甲板はタンにエナメル塗料のブラウン、オーカー等で板目に沿って木目を描き、エナメル溶剤を含ませた筆でブレンディングして木材っぽくしています。船体にはエナメル塗料の黒で汚しを入れ使い込んだ感じにしています。アンカーのサビ、艦首の剥げなども忘れずにエナメル塗料で描き込みます。
 エッチングパーツは私考案の特殊セメントですべて組んでいます。コニシのGボンドクリアPPをVカラー用シンナーで稀釈し、プラセメント程度の粘度にしたものです。プラパーツを組むのとさほど変わらない難易度でエッチングが組めますのでお試しあれ。エッチングの組立説明書にいくつか注意点があります。MA11碇見台は2個しかないためヘリ甲板には付けられません。MA45、46は艦橋2層目の階段に、MA62滑車は不使用となってますが、図面と箱絵にあるため貼り線をしたら使いましょう。左舷のMA87は指定の位置だとカッターにぶつかってしまうため付けられません。箱絵によると動力艇のすぐ後ろあたりが正しいようです。張り線はすべて伸ばしランナーを使用しています。図面と箱絵を参考にじっくり張っていきます。三面図は分かりにくいので1本1本解読しながら張ります。
 ビネットに、とのオーダーなので氷海を作りましょう。透明プラ板で箱を組み、内側にクリアーブルーを吹いて海中に。船体がはまるよう型取りゲージで船体の喫水形状を写し取り、透明プラ板に穴を開けます。すっぽりはまるよう調整したら氷の海面を石膏で作ります。板状に固めた石膏を砕いて敷き詰め、さらに薄めに溶いた石膏を流して固めます。石膏には木工用ボンドを混ぜておくと強度や接着性が増します。氷山はスタイロフォームを削ったものに石膏や紙粘土で形を作っていきます。石膏色だけでは味気ないので所々水色を吹き付け寒々しく。仕上げに雪として重曹をふりかけて薄めた木工用ボンドを染み込ませて固めてあります。海中はベースの底面にアルミホイルを敷き、ディープクリアーブルーを吹き付け深海に。スクリューのキャビテーションは綿をほぐして作ります。海面航走波はシリコーンシーラントにクリアーブルーで色付けしたもので流れを作り、白波は筆で描きます。ヘリ、ビーバー機にも使えるエッチングパーツはすべて使い、人間、犬、ペンギン、猫等もすべて使用しています、どこにいるかわかるかな?

ハセガワ 1/350スケール プラスチックキット

南極観測船 宗谷“第二次南極観測隊 スーパーディテール”

製作・文/澤武慎一郎

南極観測船 宗谷“第二次南極観測隊 スーパーディテール”
●発売元/ハセガワ●7480円、発売中●1/350、約23.8cm●プラキット●限定品特別仕様 ※現在、店頭在庫のみ

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澤武慎一郎(サワタケシンイチロウ)

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