出航65周年! 「第二次南極観測船 宗谷」 世界観引き立つ氷海ベースの作り方も教えます!
2022.10.18スーパーディテール仕様を氷海ベースで魅せる
第2次南極観測隊出航から2022年で65年。その65周年を記念してハセガワより、ディテールアップ用エッチングパーツがセットになった第二次南極観測船 宗谷が限定特別仕様でリリースされた。第2次南極観測船 宗谷といえば、あの大ヒット映画『南極物語』でタロとジロを含む犬7頭と越冬隊を昭和基地に送り込んだ船としても有名だ。キットは、第二次改装後の手摺り、梯子、飛行甲板周囲の救助網、レーダー、ベル47G用のトラスとローター、DHC-2ビーバー用のプロペラ、乗員などがエッチングパーツで用意されたスーパーディテール仕様。作例はそのエッチングパーツをフル活用し、氷海から脱出する様を切り取ったビネットとして仕上げた。
南極観測船宗谷。今回は「第2次観測隊」仕様です。船体の加工、後に増築されるヘリ甲板と繋ぐステーを切り取り整形します。まずビギナーのみなさんはここが難関ですが、ニッパーで大まかに切って丁寧にヤスリで削ればちゃんとできます。それとハセガワさんのキットは穴あけをしておかなければならない箇所が数多くありますので、忘れないよう事前に加工しておきましょう。組み付けたあとだと穴がどこだか分からなくなります。
この宗谷はブリッジがすべてクリアーパーツで成型されており、窓をマスキングして塗ることになります。これもなかなかハードルが高いのですが、地道にやれば不可能ではありません。窓にマスキングゾルを塗るのですが、爪楊枝で小窓にたらして窓の形に伸ばして覆います。裏側は少し大雑把で良く、なんなら横1列が繋がっててもOK。ゾルが乾いたら光止めの黒をスプレーし、光に透かして光止めがちゃんとできているか確認、後にグレーサフ→白を吹いてマスクを剥がせば窓の塗り分けの基礎は完了です。窓枠のデカールが付属しますので、これで縁取りができます。はみ出しや抜けがあれば適時筆で修正します。その他組み立て・塗装は指示のまま進め、色指定もそのままです。木甲板はタンにエナメル塗料のブラウン、オーカー等で板目に沿って木目を描き、エナメル溶剤を含ませた筆でブレンディングして木材っぽくしています。船体にはエナメル塗料の黒で汚しを入れ使い込んだ感じにしています。アンカーのサビ、艦首の剥げなども忘れずにエナメル塗料で描き込みます。
エッチングパーツは私考案の特殊セメントですべて組んでいます。コニシのGボンドクリアPPをVカラー用シンナーで稀釈し、プラセメント程度の粘度にしたものです。プラパーツを組むのとさほど変わらない難易度でエッチングが組めますのでお試しあれ。エッチングの組立説明書にいくつか注意点があります。MA11碇見台は2個しかないためヘリ甲板には付けられません。MA45、46は艦橋2層目の階段に、MA62滑車は不使用となってますが、図面と箱絵にあるため貼り線をしたら使いましょう。左舷のMA87は指定の位置だとカッターにぶつかってしまうため付けられません。箱絵によると動力艇のすぐ後ろあたりが正しいようです。張り線はすべて伸ばしランナーを使用しています。図面と箱絵を参考にじっくり張っていきます。三面図は分かりにくいので1本1本解読しながら張ります。
ビネットに、とのオーダーなので氷海を作りましょう。透明プラ板で箱を組み、内側にクリアーブルーを吹いて海中に。船体がはまるよう型取りゲージで船体の喫水形状を写し取り、透明プラ板に穴を開けます。すっぽりはまるよう調整したら氷の海面を石膏で作ります。板状に固めた石膏を砕いて敷き詰め、さらに薄めに溶いた石膏を流して固めます。石膏には木工用ボンドを混ぜておくと強度や接着性が増します。氷山はスタイロフォームを削ったものに石膏や紙粘土で形を作っていきます。石膏色だけでは味気ないので所々水色を吹き付け寒々しく。仕上げに雪として重曹をふりかけて薄めた木工用ボンドを染み込ませて固めてあります。海中はベースの底面にアルミホイルを敷き、ディープクリアーブルーを吹き付け深海に。スクリューのキャビテーションは綿をほぐして作ります。海面航走波はシリコーンシーラントにクリアーブルーで色付けしたもので流れを作り、白波は筆で描きます。ヘリ、ビーバー機にも使えるエッチングパーツはすべて使い、人間、犬、ペンギン、猫等もすべて使用しています、どこにいるかわかるかな?
ハセガワ 1/350スケール プラスチックキット
南極観測船 宗谷“第二次南極観測隊 スーパーディテール”
製作・文/澤武慎一郎
南極観測船 宗谷“第二次南極観測隊 スーパーディテール”
●発売元/ハセガワ●7480円、発売中●1/350、約23.8cm●プラキット●限定品特別仕様 ※現在、店頭在庫のみ
澤武慎一郎(サワタケシンイチロウ)
船やSFもの特撮ものを製作するマルチモデラー。電飾やディオラマも手掛けるなど幅広いテクニックと知識を持つ。