万丈目&十代フィギュア発売記念
松野太紀×KENN対談インタビュー【遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX 】
2022.08.01
ホビージャパンのフィギュアブランド・AMAKUNIより、アニメ『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX』のデュエリストたちが堂々登場! 「一! 十! 百! 千! 万丈目サンダー!」の掛け声でおなじみのライバル「万丈目準」と再販が決定した主人公「遊城十代」がラインナップされている。
8月23日に揃って受注締切を迎える万丈目&十代だが、偶然にもふたりが8月生まれということで、フィギュア発売を記念したキャスト対談インタビューを実施! 万丈目準役・松野太紀さん(左)と遊城十代役・KENNさん(右)に実際にフィギュアをご覧いただきながら作品や役柄への想いをうかがった。
(文・構成/河合宏之)
松野太紀(まつの・たいき)
東京都出身。青二プロダクション所属。10歳で『星の王子様 プチ・フランス』の王子役を演じ、以後声優業を中心に舞台やドラマ、映画など多岐にわたり活躍。主な出演作は『金田一少年の事件簿』(金田一一)、『スポンジ・ボブ』(スポンジ・ボブ)など。主宰する朗読劇「タチヨミ」の10周年記念公演が2023年2月、池袋・サンシャイン劇場にて開催予定。
KENN(けん)
東京都出身。Zynchro所属。『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX』の主人公・遊城十代役で声優デビュー。声優業の以前からアーティストとしても活躍し、『GX』ではEDテーマ「Wake Up Your Heart」のボーカルを担当した。主な出演作は『宇宙兄弟』(南波日々人)、『アイドリッシュセブン』(四葉環)、『キャップ革命ボトルマンDX』(帆狩リョウ)など。
クールで二枚目をつらぬきとおす
──待望の万丈目準のフィギュア化となりましたが、松野さんは万丈目というキャラクターには、どのような印象をお持ちでしたか?
松野 いろいろな作品で役を演じさせてもらってきましたが、ここまでクールでかっこいい役はありませんでした。途中で崩れたときもあったけど、基本的にかっこよかったじゃないですか?
KENN 松野さんがそれまで「クールな二枚目の役はあまり経験がなかった」というのは驚きですね。本当に多彩な役を演じられていらしたので。
松野 いやいや、本当に演じたことがなくて、いつか二枚目はやりたいと思っていたんだ。だから「この機会にすべて出し切ろう」みたいな気持ちがあったかもしれません。今日の取材の前に、過去の映像をちょっと振り返ってみたんだけど、もう気取っているよね~(笑)。自分でも超恥ずかしかった(笑)。
KENN 当時は二枚目を演じるにあたって、悩むことはなかったですか?
松野 それはもう普段から二枚目だから。普段どおり振るまった感じかな?
KENN (笑)。
松野 とにかく見た目通りに、「かっこよくやりたい」という気持ちでした。ただ、ただ、ひたすら かっこ よく演じる。だからカードの名前を言うときも、本当に「キメキメの張りのある声を出そう」と意識したことは覚えていますね。ここまで張った声でカードや技名を言う作品はなかったですから。
KENN 感情を込めてテキストを読むシーンもならではでしたね。
松野 あれも難しいよね。
──そもそもおふたりは『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX(以下『GX』)』に、どのような経緯でご出演されることになったのでしょうか?
松野 僕はこの作品以前に辻(初樹)監督と『赤ずきんチャチャ』という作品でご一緒していて、その流れです。監督から直接「やってほしい」というオーダーがあってオーディションを受けました。ほかにも丸藤翔役の鈴木真仁も、同じ流れだったと思いますよ。
KENN 僕はミュージカルの稽古中にキャスティング担当の方がいらして、「アニメのアフレコや声優さんに興味ありますか?」と声をかけてくださったんです。個人的に中学生のときに、ゲームやアニメで「声優」という仕事があることを認識して、「いつか挑戦してみたい」という気持ちを持ち続けていました。ただ、「まず音楽に進みたい」という気持ちがありまして、そちらを優先していたんです。とはいえ、またとないチャンスをいただけたわけですから、ふたつ返事で「やらせていただきます!」とお答えし、オーディションを受けさせていただきました。
──KENNさんはアフレコも初だったとは思いますが。
KENN そうですね。初めてのアニメの現場ということで、本当に右も左もわからない状況でしたから。松野さんや先輩のみなさん、音響監督の三ツ矢雄二さんに育てていただいたというか…。ただただ、お世話になりっぱなしでした。
松野 でも「なにかを聞いてきた」という印象はなかったよね。それこそ「なにがわからないかわからない」という状態で。
KENN ええ、気持ち的に「やり方をお聞きする」というのは「なにか違うかな」と思っていたんです。まずは遊城十代としての生き方を、まっとうしようという気持ちがありました。カードゲームのルールも知った上で演じたほうがリアルになるだろうと思いまして、実際に遊戯王のカードもプレイして…。あとは「大きい声を出そう」ということしか考えていませんでした。当時、すでにアーティストとしてライブは経験していましたから、「マイクで大きい声で話す」ということについては、それほど物怖じしてなかったのはありますね。
作品のイメージを投影したアフレコ現場の雰囲気
松野 「演じる」ということも初めてだった?
KENN ミュージカルの稽古はアフレコ前から取り組んでいたので、初めてということではなかったですね。
松野 たしか声優独特のリアクションみたいなことは、音響監督の三ツ矢(雄二)さんがブース越しに教えていたよね。
KENN ええ。第1話からいきなり走っていたじゃないですか? 「遅刻、遅刻!」って。校門をくぐって「セーフだよね」というのが最初のセリフだったと記憶しています。特に走っても、実はそれほど息は「はぁはぁ…」とは言わないこともあるじゃないですか? そこは三ツ矢さんもわざわざそのマイクのところにいらして、具体的に教えてくださったんです。最初は緊張していたんですけど、本当にみなさまのおかげで雰囲気が良い現場で、アフレコ自体が好きになりました。
──松野さんはKENNさんの成長をどのように感じていましたか?
松野 最初から「勘がいい」と感じました。音楽に取り組んでいたから、テンポ感という意味では問題なかったんじゃないかな? セリフって、リズム感だったり、グルーブ感だったりが必要ですが、それについてはもう完成していたと思います。あとの課題は、声優の技法的なところだけでした。
KENN ありがとうございます。振り返ってみると、僕に対するダメ出しじゃない場合でも、僕に教えてくださっていたのかな…という風に感じますね。他の方々に指示をされているときも、なにか遠回しに僕にも「こういうときはこうするんだよ」と、教えてくれていたような印象がありました。もちろん基本的なリアクションや技巧的な面に関しては、ダメ出しがある前提ですが。
──我がことのように学んでいったんですね。
KENN 自分の役ではありませんが、「もしこういう役をやるとしたら…」と思って、他の役者さんへのチェックも全部メモっていましたね。それは今でも「やっていて良かったな」って思っています。逆に「あなたはこうだからこうしなさい」と言われたことは、あまりなかったと思います。
松野 おそらく遊城十代という男の子の自由さ、若さみたいな要素を考えたとき、それを封じ込めず、好きにやらせることで、より魅力的に十代らしさを引き出そうと思っていたのかもしれないね。
KENN もう本当おっしゃる通りですね。
松野 十代がリアルに親しみやすいキャラクターで、周囲のキャラクターとのバランスともすごく良かったのは、それが理由じゃないかな? だから、いまだに応援してくれる人もたくさんいる理由にもなっている気がします。あらためて振り返ってみると、そう感じますね。
KENN 本当にそうです。先輩やスタッフのみなさんのお気遣いが、今思い返してもすごく身に沁みています。
──アフレコ現場の雰囲気についていかがでしたか?
松野 役と本人とが何となくリンクするような感覚があったね。マイクを離れたら別人、という感じがあまりしなかったのも、違和感がなかった理由かもしれない。…僕がすごくかっこいい二枚目かは置いといて(笑)。
KENN (笑)。明るく元気で「楽しくデュエルをしたい!」という十代がいて、その周りの仲間たちや、ちょっと意地悪なヤツや先生がいて…と、とにかく描かれる学校生活が楽しかったから、僕も楽しく違和感なく過ごしていた感じがしますね。
──作品からもその雰囲気が伝わってきますね。
KENN キャスティングが素晴らしかったのは感じます。みなさんと、とても仲良くさせてもらって。朝に収録する現場だったのですが、それが終わるとみんなで一緒にご飯を食べにいったり、カードで遊んだり。公私ともにお世話になりましたね。
──現場自体も3年以上続いていますから、みなさん相当仲良くなりそうですね。
松野 でもずっと出ているのは十代だけじゃないですか? 万丈目は途中から出てこなくなるし、(天上院)明日香も途中いなくなるよね。
──万丈目は再登場によって方向性が変わるのも面白かったですね。
松野 ちょっとドジっ子な面も出てきて(笑)。万丈目はカッコよくて気取っていればいいのかと思っていましたが、ちょっと変わりましたね。
KENN 探偵回(「TURN-39 名探偵サンダーVS黒サソリ盗掘団」)なんて、お腹抱えて笑いますよ(笑)。
松野 いや、もうあれは本当にね、「どうしてくれようか」というエピソードでした(笑)。
──視聴者としてはもういろんな意味でネタがわかるので、大丈夫かなと(笑)。
松野 こっちも大丈夫かなって思いますよ(笑)。
KENN でも言ってないですよね。決め台詞は(笑)。
松野 でも「近いような感じのことを言わせたいんだろうな」という雰囲気はヒシヒシ感じましたね(笑)。
──『GX』は作品的にそういう自由度がありますね。
KENN そうですね。バラエティ感が強くて、幅広いエピソードがありましたね。一度、スタッフさんにお話をお聞きしたとき、アニメオリジナルが先行してスタートしているから、楽しく自由にやらせてもらっているということでしたね。
放送から18年が経っても衰えぬ圧倒的な人気
──振り返ってみると、『GX』の放送が2004年になりますから、今年でもう18年ほど経っています。
松野 ええっ! もうその年に生まれた子どもが高校生になるんだね。
KENN 『GX』はもう成人したということですね(笑)。
──(笑)。長い歴史の中で、アニメからゲームなどに媒体も変化していったと思いますが、キャラクターの演じ方に変化はあったのでしょうか?
松野 僕はもう、「変えずにいつまでちゃんと届けられるかな?」という意識です。こうして万丈目を演じるチャンスをいただいたときは、いつもドキドキしますね。「どうかな? 似ているかな?」といつも思っています。
KENN 十代の場合、中学校の卒業から年齢を重ねて、見た目もかなり変わりますからね。アフレコやナレーションの際には、「どの年代の十代でいきますか?」というのは、いつも相談させていただいています。
松野 たしかに。媒体によって、とても大人っぽい十代のときもあるよね。
KENN 使うカードが、初期はフレイム・ウィングマンぐらいしかありませんからね。デッキとの整合性を合わせるという意味でも、どの年代に合わせるか、確認は必要なんです。
松野 外見もどんどん変わったしね。
KENN たとえば髪の毛もどんどん伸びていますからね。最初もっとオカッパっぽかったので。
松野 そうそう、クロノス先生と見間違えちゃった(笑)。
KENN ええっ(笑)。でもクロノス先生! 懐かしい…。
松野 クロノス先生、大好きだった。
KENN つい最近、「なつかしのベストデュエル」でクロノス先生ともう一度、同じシーンを演じさせてもらったんですけど、本当に楽しかったです。『GX』放送当時から清水(宏)さんのアドリブも凄かったですね。誘い水みたいに、ちょっとした台本に書いてあることを、広げてくださって。
松野 清水宏が台本の枠どおりに収まっているのを見たことがない(笑)。
KENN 基本設定はありつつ、自由というオーダーでしたからなおさらですね(笑)。
──こうした新録の現場で、みなさんが一緒にアフレコすることはありますか?
松野 基本的に別々ですね。ゲームの場合は特に個別になります。
KENN 昨夏にPV撮影(遊戯王 デュエルリンクス中国版)で松野さんとご一緒したときは、とても緊張しました。
松野 こうして一緒に取材されるのも、そのとき以来ですね。
劇中以上の再現度を誇る圧倒的なクオリティ
──ここで実際に万丈目準のフィギュアを見た感想をお聞かせください。
松野 これは本当によくできていますね。どこにも隙がありません。本当に画面から出てきた感じがしますもん。このコートから感じる躍動感も素晴らしいです。
KENN 肌の色がかなり色白なんですよね。
松野 そう、色白なんだ(笑)。それに対して黒いコスチュームは深みが合って素晴らしいです。真っ黒ではなく、微妙に変化していて美しい。
──そうなんです。実際に黒はグラデーションで再現されているで、単色の黒ではありません。
松野 あらためて細部を見ていくと驚きますね。最初に未塗装の原型を見せていただいたとき、すでに完成している雰囲気だったから。こうして塗装されると、デッキも再現されていて、さらに完成度が高まった印象があります。また、おジャマトリオのおジャマ・イエロー、おジャマ・グリーン、おジャマ・ブラックも付属されているのもうれしいですね。
KENN このシリーズは本当に作り込まれていて驚きます。細かく見ていくと、鎖骨や肩甲骨の盛り上がりも再現されていて、本当にリアルなんです。
松野 自分が担当したキャラクターのなかで、ここまで本格的なフィギュアになってるものは少ないので見とれちゃいますね。
KENN それは意外ですね。
松野 黄色くて四角いあの子はいっぱいありますけど、リアルという感じではありませんからね(笑)。あの探偵さんもほとんどフィギュアは発売されていませんから(笑)。
──今回は十代も再販になります。
松野 十代を買えなかった人は、本当にうれしいと思いますね。ふたりのセットで、ぜひ並べて飾ってほしいですね。
──『GX』ファンのみなさんへメッセージをお願いします。
KENN 今回は万丈目の素敵なフィギュアが発売されるタイミングで、僕を育てていただいたと言っても過言ではない、松野さんと一緒にお仕事することができてうれしかったです。前回ご好評いただいた遊城十代のフィギュアも再販されるということで、ぜひ万丈目と一緒に楽しんでいただきたいと思います。そして2体とも愛していただければなという風に思っております。『GX』は18歳、今で言えば成人を迎えましたが、これからもさらにみなさまに楽しんでいただけるよう、どんどん新しいこと、楽しいことをやっていきたいと思います。フィギュアとともに、『GX』をよろしくお願いいたします。
松野 長きにわたって応援してくださるファンのみなさんがいらっしゃるおかげで、万丈目君も立体物として、再び登場することができました。これを機会に、ぜひみなさまのおそばに万丈目君を置いていただければうれしいなと思います!
どこに飾ろうかと場所も悩まれるでしょうし、飾る角度もきっと悩まれるでしょう。月曜日は正面向き、火曜日は後ろ向き、という感じで日替わりでディスプレイを変更していただくのも楽しいと思います。どの角度でディスプレイしても満足できるほど、本当によくできているフィギュアですので、ぜひグラスを片手に万丈目君を眺めながら、リラックスした時間を過ごしていただければと思います。そしてたまに十代とデュエルをさせてみるなど、いろいろな楽しみ方ができますので、ぜひ手に取っていただければと思います。
遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX 万丈目準
遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX 万丈目準
●発売元/ホビージャパン●18700円、受注中、8月23日受注締切予定、2023年4月~5月発送予定●1/7、約26cm(頭頂部まで約24cm)●製造/AMAKUNI●原型/ i-con(藍色空色) 、彩色/五日市歩●HJオンラインショップ限定アイテム
遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX 遊城十代【再販】
遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX 遊城十代【再販】
●発売元/ホビージャパン●16500円、受注中、8月23日受注締切予定、2023年5月~6月発送予定●1/7、約23.5cm●製造/AMAKUNI●原型/i-con(藍色空色)、彩色/ピンポイント●HJオンラインショップ限定アイテム
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