コモリプロジェクト 特殊造形班フチノカオルを紹介!
2022.07.21コモリプロジェクト 特殊造型班
フチノカオリ隊員
コモリプロジェクトHP
Youichi Komori Official Web(y-komori.net)
コモリプロジェクトには特殊技能を有した優秀なメンバーが集っています。
今回はそのひとり、特殊造型班で腕を揮うメンバーを紹介したいと思います。
なんと卒業制作で作った作品を大学側が買い上げるという快挙。当時から類まれな素質を発揮していたフチノカオリさんの行く末は、扇のごとく、大海のように、どこまで広がっていました。そんな中で彼女が選んだのは九州、その片隅にあるフライトギアでした。理由は後の師となる土井眞一氏の存在です。
僕がカオリさんと一緒に作業を行った最初の作品はボークスOHキングギドラでした。和紙と針金で巨大な羽根を工作するという今では考えられない暴挙、いや、ハードなキットなのですが、カオリさんは土井さんと一緒に実に見事な形に仕上げてくれました。そこから立て続けに横山先生のトリビュート展に出展するデカマシーネンの製作に取りかかりました。大きな発泡スチロールに大まかなラインを描き、変圧器で電圧を調整してニクロム線を熱し、それを使って発泡スチロールをカットしていきます。カットしたパーツをヤスリで磨きながら形を整えていくのですが、これがまた途方もない……。でもカオリさんはほんとに黙々とやるんです。丁寧に、妥協せず、全身返り血ならぬ返りスチロールを浴びて真っ白になりながら。そうかと思えば差し入れの飲み物や食べ物を出してくれたり、お喋りだって楽しく付き合ってくれます。集中力、周囲への目配りと気遣い。これはもう超人級です。
そうそう、忘れもしないのは『S 最後の警官』の撮影中、香椎秀樹役の大森南朋さんのフィギュアを作ってくれたこと。素体から服まですべてが手作りで驚きました。聞けば南朋さんのファンだということで、だからこれほどの想いが籠められているワケだと納得しました。南朋さんにそのことを伝え、フィギュアをプレゼントしたんですよ。ご本人も驚きつつとても喜んでおられました。
コモリプロジェクトを立ち上げてからは、インストの組み立て図を担当してくれています。カオリさんはイラストも描けるんです。また、「円谷イマジネイション」のデジタルディオラマで使用するキットの彩色もやってくれています。『ウルトラQ』の悪魔ッ子や『ウルトラセブン』のマゼラン星人マヤなんかがそうです。どうです、この万能さ。とてもこの枠では収まらないエピソード、技能の持ち主です。
カオリさん、ありがとう。これからもプロジェクトのバックアップをよろしくお願いします。
フチノカオリ プロフィール
19XX年生まれ X歳 福岡県出身
九州産業大学芸術学部で彫刻科を専行。
文/小森陽一
構成・制作・写真/土井眞一
小森陽一(コモリヨウイチ)
●1967年生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業後、東映に入社。その後、コラムや小説、漫画原作や映画の原作脚本を手がける。大阪芸術大学映像学科客員教授。『海猿』『トッキュー!!』『S-最後の警官-』『BORDER66』『ジャイガンティス』など著作多数。