「1/144 オットリッチ・タイプ」をカラーモジュレーション&ハードウェザリング塗装で戦闘特化のオリジナル設定機体製作【戦闘メカ ザブングル】
2022.06.21HJメカニクス12
悪名高き一匹狼のブレーカー
作例オリジナルでオットリッチ・タイプを
戦闘強化機体に
センドビード・タイプと同じくターレットを持つ、重機的なスタイルが魅力のオットリッチ・タイプ。キットは1/100、1/144の2スケールで発売されているが、作例は1/144を使用。キットはアームのワイヤーに糸を使用し、ドラム缶などの装備品が用意されるなど、秀逸なプロポーションやディテールに加え、遊びごたえもある逸品。作例は作者オリジナル設定のもと、戦闘用に特化した機体として製作。武装をスケールモデルなどのジャンクパーツから流用し、カラーリングも劇中とは異なり、高荷義之氏が描いたグリーンを基調にしたものに変更。カラーモジュレーション&ハードウェザリング塗装と合わせ、よりリアル嗜好なオットリッチ・タイプを完成させている。
COLORING DATA
■基本塗装
塗装はカラーモジュレーション技法で、立体感を強調しつつ退色表現も施し、スケールに見合った繊細な塗装剥げ表現、各種ウェザリング表現にも注力。
本体色グリーン=最初に側面はグリーン、上面はルマングリーンに近い色、下面はモデルカステンカラーロシア戦車色1で塗りその後グラデーションになるようにカラーモジュレーション塗装
ハイライト=ペールグリーンの筆塗り
オレンジ=混色したオレンジ
赤=タミヤエナメル塗料フラットレッドを筆塗り
ドリル部=ガンメタル→Mr.クリスタルカラーサファイアブルー
バーニア=スターブライトジュラルミン→クリアーブルー、クリアーイエロー、クリアーブラウンで焼け表現
■汚し塗装・手順
基本塗装時にエアブラシにてストレーキング表現を施しています。
ウォッシング、ストレーキング=Mr.ウェザリングカラーステインブラウン等
ピンウォッシュ、スミ入れ=Mr.ウェザリングカラーグランドブラウン等
オイル垂れ、錆汚れ=機体各所にリアルタッチマーカーグレー1、2、イエロー1などで描き込み
チッピング=基本的に真鍮ブラシや金属ヤスリによる剥がしでの表現
(下地色やシリコーンバリアーを吹く工程は増えますが、実際に剥がすので描き込みよりも自然かつ早く施すことができます)
土汚れ=地面に近い所にタミヤアクリルデザートイエローをブラシ吹き
煤汚れ=フラットブラックをブラシ吹き
排気管錆表現=焼鉄色→Mr.ウェザリングカラーステインブラウン→Mr.ウェザリングカラーラストオレンジ
荷台錆表現=Mr.ウェザリングカラーラストオレンジ、エナメルカラー黄サビ、リアルタッチマーカーリアルオレンジ1
■はじめに
故石橋謙一氏の迫力のあるパッケージイラストが非常に印象的なこのキット。他のラインナップ同様にアニメ設定と大きくデザインは違い、ディテールもスケール感溢れるものです。また腰高でややコミカルなプロポーションバランスも良く再現されています。今回の作例では好みでプロポーションを大幅に変更し、横幅のある安定感のあるシルエットとしました。
■機体設定(オリジナル)
悪名高い一匹狼のブレーカー「サラーム」のカスタムWM。武装は標準装備の小型ミサイルポッド2基を大型6連ミサイルポッド1基に換装し、前方機関砲2門を追加装備、ターレット横には、イノセントから供給された高性能センサーを装備し戦闘力を大幅に強化している。また胴体前面、スネ前面、コクピット前面に装甲を追加し防御力も強化している。
■胴体
中央で一度切断しプラ材で10㎜ほど幅増ししました。荷台はディテールの入ったプラ板を貼り込み、荷台フック4つは0.5㎜真鍮線で、排気管4本は真鍮パイプで作り直し。前面増加装甲はMGゲルググ Ver.2.0のシールドを加工して製作しました。ライト類は位置を変え、追加装備の前方機関砲は真鍮パイプと金属パーツ(極小ハトメ)の組み合わせで、基部はスケールモデルのジャンクパーツより製作。正面のメカ部上部にはタミヤMMドラゴンワゴン付属の金属メッシュを貼り見せ場のひとつとしました。バーニアは市販のものに交換しシャープ化。後部2連機関砲は、砲身を真鍮パイプと金属パーツ(極小ハトメ)の組み合わせに交換しシャープ化しました。
ターレットは本体とは逆に6㎜ほど幅詰めし小型化。ミサイルポッドはマックスファクトリー1/72ブロックヘッドのものを使用、センサーは1/144サイズのバズーカのセンサーを加工して使用しています。
アームは、中央の合わせ目消しを0.3㎜のプラ材を貼ることで対処。ワイヤーはキット付属の糸は使用せず、手芸屋で見つけた極細の金属製ワイヤーを使用しています。先端ドリルの造形は非常に出来が良いので、中央の機銃部分のみデイテールアップ。
コクピットはフロントウインドウ部分に装甲板を貼り付けました。アンテナは0.3㎜真鍮線と1.0㎜パイプスプリングの組み合わせでシャープ化しています。
■脚部
股間節周りは、本体との間のパーツはMGザクVer.2.0の足首の内部メカをディテールアップしたものに置き換えました。接続はボールジョイントとして可動範囲を大幅に広げています。円形部分中央は一度くりぬいて、タミヤMMジープのホイール部分をはめ込んでディテールアップ。
スネは下端を少しカットして短縮。関節部分はキットのものは切り飛ばし市販パーツを組み合わせたものに置き換えました。
足は4㎜ほど幅詰め。中央パーツは上部をカットして形状を変えました。スネとの接続もボールジョイント(引き出し式)として、可動範囲を大幅に広げました。内部メカはMGガンダムVer.2.0のものを流用。シリンダーも同様です。
■基本的な塗装手順
ウォームグレーに調色したオリジナルサフ→ドリル、足首前面、胴体前面増加装甲のみシルバー→シリコーンバリアー→グラデーション塗装→Mr.ウェザリングカラーでウォッシング、ストレーキング、ピンウォッシュなど→デカール貼り→デカール部分のみフラットクリアー→再びMr.ウェザリングカラーでウォッシング、ストレーキング、ピンウォッシュなどリアルタッチマーカーなどでウェザリングを追加。
■デカール
ワンポイントとして、胴体前面増加装甲にハイキューパーツのディーゼットナンバーデカールのキャラクターを貼り付けました。
■塗料レシピ
カラーリングは高荷義之氏のイラストのようなグリーン単色で、差し色として赤やオレンジを使用しました。あえて基本塗装の彩度は高めにして、ウェザリングが引き立つようにしました。
■おしまいに
リアル感に溢れ最高に渋くてカッコいいオットリッチタイプを目指しました。
BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット
オットリッチ・タイプ
製作・文/更井廣志
こちらの「オットリッチ・タイプ 」は好評発売中の「HJメカニクス12」に掲載されております!
TV放映40周年を迎え、改めて注目が集まっている『戦闘メカ ザブングル』を徹底フィーチャーし、 「ザブングル・タイプ」 や「ウォーカー・ギャリア」をはじめとするウォーカーマシンたちの作例&ディオラマを多数収録。
再販キットを購入した方はもちろん、『ザブングル』を知らなかった方にも魅力が伝わる一冊となっておりますので、ぜひお手に取ってご覧になってみてください!
Ⓒ創通・サンライズ
更井廣志(サライヒロシ)
繊細なディテールアップとウェザリング塗装を得意とするウェザリングマイスター。