IMS 1/100「ザ・ナイト・オブ・ゴールド」をコラボ塗料「F.S.S.カラーコレクション」を駆使して製作!!
2022.06.01最新のゴールド塗料で黄金の騎体を彩る
F.S.S.を代表するモーターヘッドの1騎、ザ・ナイト・オブ・ゴールド。星団暦2988年、アドラー星でのファティマお披露目会からラキシスを救出するため、レディオス・ソープ(天照)が持ち出した黄金の電気騎士である。キットは先に発売された「=デルタ・ベルン 3007=」をベースに、展開時で全長65cmを超えるバスターランチャーを新規金型で追加。GTM「カイゼリン」で培ったABSOMEC(アブソメック:絶対機構)を一部関節機構に採用することで、劇中のバスターランチャーを構える一連の動作を見事に再現できる傑作キットである。作例は、これまでも数々のモーターヘッドを手掛けてきた桜井信之が担当。キットと合わせて発売されたF.S.S.カラーコレクション2色を使い、最新版K.O.G.を完成させている。
IMS 1/100 ザ・ナイト・オブ・ゴールド(通常版)
●発売元/ボークス●11000円、2022年5月発売●1/100、約35.5cm●プラキット●原型/造形村F.S.S.プロジェクトチーム
F.S.S.カラーコレクション K.O.G.ゴールド、K.O.G.カッパー
●発売元/ボークス、製造元/トアミル●660円、2022年5月発売●15ml●ラッカー系塗料15ml●ラッカー系塗料
儀礼用の大弓を携えた式典仕様=デルタ・ベルン 3007=に続き、待望のバスターランチャー装備状態でのザ・ナイト・オブ・ゴールドが発売となりました。単行本第1巻終盤での初登場シーンを見たときの衝撃は、35年を経過した今でも鮮明に焼きついています。その後、細部デザインのマイナーチェンジを繰り返しながらも、やはりバスターランチャーを装備した雄姿こそがザ・ナイト・オブ・ゴールドと感じている人も多いことでしょう。光栄にも本キットの製作を依頼いただいたので、数年ぶりにチャレンジいたします。
キットの仕様はIMSシリーズで積み上げてきた成型技術と、類まれな原型製作チームが築き上げたスタイリングで唯一無二の完成度を持っています。そのためインジェクション成型により制約を受けた部分を修正するだけにとどめています。
今回バスターランチャーと、それを装着するブロックが新規ランナーとして追加されていますが、加えて展開状態のヒールも付属しているので、バスターランチャーを構えても安定したポージングを取らせることが可能です。ただしこの靴は選択式のため、差し替え式にするにはひと工夫する必要があります。交換式にするのはD-2(×2)とB-4・5パーツ。B4・5は接着せず、D2は差し込みリングの一部を切り欠くことで簡単に差し替えが可能になります。問題はP-14・15のポリキャップ。安定性の観点からもこのパーツの差し替えは避けるべきなので、不要パーツであるP-16・17を流用することにしました。しかしこのポリキャップは足首パーツのボールジョイントとは直径が合いません。本来のこのポリキャップは前シリーズのL.E.D.ミラージュの可動股関節用のパーツです。そこで以前製作したL.E.D.ミラージュの股間用ボールジョイント軸を流用しました。恐らく皆さんもL.E.D.ミラージュ製作時には固定用股関節を使用している(と思われる)ので、それを移植することをお勧めいたします。付け加えるなら本キットの購入者の多くがL.E.D.ミラージュも購入されていると思いますので(笑)、有効な活用法可と思います。お持ちでない方は市販の別売ボールジョイントを利用してください。
さて問題の塗装です。ここ数年モーターヘッドを製作していると、90年代・20世紀ともっとも異なるのが、メタリック系やパール系塗料の圧倒的な進歩と言えるでしょう。“あの頃”どんなに工夫しても再現できなかった輝きと光沢を簡単に手に入れることができます。これらの模型用塗料が究極の進化を遂げた現代こそ、F.S.S.モデリングを存分に楽しむにはいい季節なのかもしれません。あとはメッキ調・ミラー調のゴールドのみと言えるでしょう…。
さて、今回はキットと同時に発売されるF.S.S.カラーコレクション K.O.G.ゴールドとカッパーを使用しました。本カラーは巷で話題のBORN PAINTとのコラボ商品で、そのまま使用するだけで完成見本のような発色と輝きを得られる塗料です。BORN PAINTの塗料は通常の油性アクリル系溶剤(通称ラッカー系)ではなく、専用うすめ液の使用を強くお薦めいたします。他の溶剤を使用すると塗料が持つ本来の性能が充分に発揮されないこともあります。僕は個人的好みでK.O.G.を塗装する時は“青金”もしくは“黄系のシャンパンゴールド”で塗ることが多いのですが、本塗料のような“赤金”も新鮮で僕には目新しく映りました。今回はK.O.G.ゴールドの上からガイアカラーパールゴールドを軽く吹いています。これはK.O.G.ゴールドの色味・輝度に問題があるからではなく、“印刷映え”を考えたブースター的なコーティングです。以前、印刷関係の仕事をしていた知識とモーターヘッドの作例を長年担当した経験からの判断で、撮影時のライティングでハイライト部分の輝度をより強く反応させるためですので、通常の展示の場合はK.O.G.ゴールドとカッパーだけでも充分でしょう。
まさか月刊ホビージャパンで、ザ・ナイト・オブ・ゴールドを製作できる日が来るとは思っていませんでした(笑)。本当に感無量です。このような機会を与えてくれたY・K氏、ありがとう。どこかで見てくれていると信じている。無事、任務完了したよ!
作例を動画でチェック!
ボークス 1/100スケール プラスチックキット “INJECTION ASSEMBLY MORTAR HEADD SERIES”
ザ・ナイト・オブ・ゴールド
製作・文/桜井信之
ⓒEDIT ,All rights reserved. 創作造形ⓒ造形村/ボークス
桜井信之(サクライノブユキ)
さまざまなメディアで活躍する模型の伝道師。あらゆるジャンルの模型に精通。F.S.S.の作例も多数。